ピーチボーイ#9

 ミコトの過去話。また時間軸を乱してる…。しかし残り3話か…。どー考えても物語の構造でいえば序盤で終わり、なわけだがもしかして変則2クールとかそんなのか?。もう1クールあったとしてもそれで話がまとまるとも思えないんで、気になる人は原作読んでねENDなんだろうと思うが。
 ただ、構造はわりとぼんやりとではあるがわかってきたことがあって、鬼はその本質からして人間を食らうことはやめられなくて、仮に人間のほうで歩み寄ったとしてもエサになるだけ、というかだからこそ人間は鬼を対等の存在ではなく脅威としてしか見てないから、そもそもが和解不可能。サリーやフラウが共生云々いえるのは、彼女たちが鬼にとって脅威であるほどの能力を持っているからでしかなくって、人間は鬼に食らわれるだけの能力しか与えられてないから、サリーやフラウが人間のその恐怖を理解できるはずがない。キャロットが人間に同情的なのも彼女が鬼としての能力を失っているから、人間に集団でかかられるとおそらくキャロットはひとたまりもない。
 ミコトについてはちょっとばかし見当違いをしてた感じ。初回視聴した感じ、ミコトもある種の鬼であると感じていたのだが、むしろ鬼そのものだったという。今回の話で親代わりの彦がまだ鬼の気質を失ってないミコトに食われなかったのも、おそらく彦が桃太郎としての能力を持っていたからで、仮に何の能力もないお人よしの人間がミコトを引き取って育てていたら、ミコトの実の親のようにその養親を食い殺していた可能性はある。
 最初彦がミコトと出会ったときにミコトに角が生えていたから、これ、今のミコトにはないよな…どうやって取ったんだろ?とずっと思っていたが、クライマックスで答え合わせ。でもあのシーンでは彦から桃太郎としての気質を引き継いだという描写があったので、その辺がどう処理されるんだろうという感じではある。角を処理したシーンはあれはミコトが鬼と対立するということの象徴的な意味が持たされていると考えるべきだから、鬼に対する異常なまでの敵愾心はここで発生したと考えてよいとは思うが、ただ、彦から受け継いだ桃太郎としての気質がどう作用してるかはわかんない。で、角を取れば鬼としての気質を失うってのはここでもわかる。そこに和解とか共生のカギはありそうだが、でもまぁやっぱり上記の通り、特殊な能力を持った限られたキャラ達でしかその要素が取りざたされていないので、やっぱり人間社会全体と鬼社会全体との共生は正直ムリなんじゃね?とは思う。ミコトも、犬の言によればミコトを受け入れる存在が現れたら救われるとかそんな感じみたいだが、じゃぁ今回のミコトの父親や前の吸血鬼のように、ミコトにとって彦に置き換わるだけのかけがえのない存在が鬼の側から提供されるってことになったら、まぁ葛藤の一つや二つはさせるんだろうけど、別にそれでミコトが鬼の敵をやめるってことになっても不思議はない。まぁそのへんは原作者がどのように物語を転がすかという事情でしかないわな。
 と考えてみると、もしかするとアニメ版がここで終わるのは案外キリが良いのかも。サリーやフラウは実現不可能な理想を目指しているし、物語の結論としてもロミジュリのようにお互いが反省して和解しましたってことにはならんだろうというのが今回でぼんやり見えてきたってワケ。世の中は結局力関係で動いているのであって、力のないものがいくら理想を振りかざしたところでそれが実現することはない…世の中変えたかったらとにかく力をつけろ…といったら、まぁ身もふたもない話だよなとは思うんだが、まぁそうなるわなといえばそんな感じ。鬼は人間を食らうのをやめられないんだから、鬼と対等な力をつける程度では全然ダメで、むしろ鬼を圧倒するぐらいの力をつけないと鬼のほうで交渉のテーブルに着くはずがないでしょ。で、仮に人間の側が鬼を圧倒する力を持ったとしたら、話し合いで交渉するようなまどろっこしいことをしなくても、その力で鬼を滅ぼしちゃえばいいんだよという結論になるのは明らか。まぁ今後フラウがサリーに助けられて関係性が構築される…というようないかにも共生実現の可能性はありそうなエピソードをところどころに混ぜて読者の共感を獲得しながらも、結局大局において力の強いものが世界のあり方を決めるって筋立てから変わらないんだったら、まぁ後の話は見なくてもよいよね…ということにはなる。