チート薬師#8

 貴族のオッサンのお悩み解決と幽霊の気晴らし。香水入り石鹸は現実味たっぷりと思いきや、直後の三分死者召喚薬とかなんやねん!という。テイストはいつも通りなんだけど、前半は現代の父親に寄り添うコメディとして、後半は子育て層向けといちおうドラマ性を深める努力はしてるんだなとは思った。薬に関しては香水入り石鹸は個人的に高評価。ああいう、実現性があってちょっとした気遣いをスパイスにした仕立てが薬そのものに対する印象も上げると思うんだよな。自分、この作品をどちらかというとモン娘医のようなトラブルシュートものなんだろうなと予想してたから、まぁあっちほどシリアスじゃなくてドタバタコメディにしたのはそれはそれで構わないんだけど、なら、この世界観で薬が薬として存在感を持っているものになってるの?と言われたら、そのバランスは悪いと感じてる。そういう意味で、後半はもうどこからツッコんでよいのかわからん。まず、本当に幽霊の母親を三分間だけでも呼び戻せるのであれば、それは実在するどの薬にもそういう薬効はありえないというしかない。ファンタジーにしたって程がある。というかそういうのはファンタジーだと魔法の領分では?とも思う。今の今まで魔法を描いてこなかったから、そのへんこの作品での魔法の扱い、そもそも魔法なるものがあるのかどうかすらわからないわけだが、ただ、現段階では魔法を登場させない姿勢は正しいとは思ってる。で、今までが実在する薬をそれなりにモチーフにしてきたと思っているので、このぶっ飛びようはせっかく踏ん張ってたのに自ら崩してしまったよな…という感じ。
 で、無理やりあれが薬の効能だとすると、母親の日記を掘り出してきて、ところどころかすれて読みにくくなってるとはいうものの、その日記を手渡して娘がその日記を読み、娘なりの母親像をイメージさせて薬を投入し、白昼夢を見せていた*1…というのならまぁ理屈は合わせられないわけではない。でもそれって幻覚剤ってことでしょ…。魔王に採取させてた材料の中に怪しげな色彩のキノコがあったから、そう考えた方がしっくりくるよね。
 しかし、魔王に関しては「モフモフさせてもらえるかどうか交渉する権利」とでも言っとけばよかったのにとは思うが、いやまぁ騙さないとやる気を出さないだろうしな。

*1:なのであのセリフは娘が母親はそう思っていたに違いないという合理化の産物