プランダラ#4

 うーん、勘違い男登場の回で、物語的には踊り場なのかな?。ちょっと微妙な感じ。OP映像で顔見せはしてたから、こうやって実際にキャラ造形を見てしまうとやっぱりという感じだが、まぁ初回から軍服のデザインがいかにもハガレンを想起させるもので、原作者なかなか意地悪やなとは思っていた。
 のっけから数字がどうのとかぶち上げてて、その末にジェイルが1万超えの数字持ちだから、これ読者を驚かす仕掛けだと思うんだけど、わざわざミニスカ曹長に黒水晶持ちだと言わせてるから、なんのことはない、こいつの数字は黒水晶で水増しされてるってだけの話だ。まぁ別に黒水晶一個あたり10,000という明示があったわけではないのでそのへん保留せねばとは思うが、仮にそうだと考えるとジェイルの数字はリヒトーの半分なのであって、リヒトーが黒水晶を手に入れて1万足せばちょうど数割上回ってバランス取ってるんだろうなという感じがする。
 なんか数字が大きいと勝手に出世させられると言ってはいたが、なんのことはない、黒水晶で水増しした数字なのであって、水増し前の数字でも出世の原動力にはなるんだろうけど、結局の所読者が二人を目の当たりにして純粋な実力を比べた場合、リヒトーが倍の実力を持ってるってことになるんだろう。そして、ジェイルの部下はジェイルその人とか彼の実力にひれ伏してるんじゃなくて、彼が履いている黒水晶という下駄のほうにひれ伏してるだけなのであって、ジェイルが偉そうなのもとんだ勘違いなんだよなという構造が見えてしまって、ちょっと戸惑った。まぁだから、ハガレン風の軍服でもしかすると軍側のおえらいさんにもマシな人間が居るかもと期待させてたんだろうなという。まぁなによりジェイルの周囲にホークアイのような人間がいないわけで、そのへん明らかという感じ。
 まだまだ断定には早いんだけど、この分だとあの黒水晶も、書いてある数字の分だけおそらく弱者から搾取して取り上げた数字を集約したもんなんだろうなと予想してる。なので、ジェイルは弱者から取り上げた諸々のもので特権を得て、力を振り回す日本の上級国民のメタファー…いやメタファーどころか直喩そのものになってるんだろうねぇ。出世が嫌だから数字を捏造してるって言ってるが、現場からしたら夜な夜な町人を試し切りして喜ぶ辻切り武士が上司になっているようなもんで、迷惑どころかキチガイの実害受けてタマランってなもんだろう。
 ミニスカ曹長を見つめる村人たちの視線もなんかしたたかさが感じられてそれはそれで期待できるんだけど、話の本筋としてリヒトーとジェイルの対決構造をダラダラやられるとちょっとなという感じではある。

防振り#4

 なんかゲームのリプレイ構造のストーリーに入れあげるのも何だが、なんか自分には合うような感じ。主人公ペアが守備特化と避け特化で、フツーのパーティーに見られる殴り役がいないというのも妙に感心する。現実社会だと、これは結局の所どんなに弱小企業が工夫を凝らしても、大企業の資本力で殴られたらひとたまりもなくて、それは経済経営的なところでなくても、現実の人間関係でもそんな構造なわけで、いわゆる、「一見生き残りにくいスキルしか持ってない組み合わせで世の中を渡っていく」という構図になってる。
 で、中途半端に二人が同じスキルを身につけるんじゃなくて、もうほとんど徹底的に分業体制になってるわけで、その代わり分業してるスキルの熟練度が半端ない。これも、一見役に立ちにくいスキルでも突き抜けた能力でお互いを補完し合うという提示になってる。
 あとは信頼関係だよな。大体どの職場でもホウレンソウだとかいって、工程を言語化し入念な打ち合わせをしてお互いの連携を深めるというのが至上命題かのように語られているが、大きな組織ならともかく、主人公ペアのようなほぼ最小単位のような組織だと打てば響くような関係性でないと成果を挙げられない。物語では同性ペアだが、これはむしろ夫婦関係にもあてはまるようなもんで、家事育児分担をきちんと話し合って決めましょという態度が、まぁ現実問題としてどれだけ効果があるかって話にもつながる。世の中(ゲーム)がどのようなシステムで動いていて、どのような状況ではどのような対処方法(攻略)が有効で、そのために効果的なシークェンスはどのように取らなきゃならないかというのがお互いわかって臨機応変に動けないといけないわけで、攻撃順は平等にだとか、そういうのはむしろより良い結果を出すことから阻害する要因にしかならない。主人公ペアは友達ではあるが、別に一心同体な関係では(まだ)ないので、結局の所ゲームについての一般的知識があって、ルールを知っていて、どう動くのが一番良い方法なのか合理的に理解できる知識があってお互い信頼し合っていてあのようなプレイができるのであって、なにか超絶な方法があるってわけではない。
 あとは攻略順を譲っていたが、その貸し借り関係よな。今まで日本スゴイ論でいかにもお互い助け合ってるみたいな風潮が流布されてるが、実は日本人かなりエゴが強くてなかなか協力関係が築きにくい国民だと、かなり昔の心理学実験でいろいろ実証されてる。クレクレ厨のような態度ばかりだと周囲に恨まれるのは必至で、略奪関係なのは社会がギスギスするし、貸し借り関係よりは、むしろ贈与返礼関係という、未開文化に逆戻りするほうが良いという知見も、なんかゲーム世界で提示されると鱗が落ちる感じ。
 なので、閉塞した日本の社会問題に対するアンチテーゼが、こうやって仮想世界でポジティブに提示されていると考えると、よくあるラノベ構造とはいえちょっとやられたって感じがする。