ゆるキャン 第5話

 そうそう、寒いから温泉にといって原付で出かけるとマヂで死ぬんだよ。
 うーん、やっぱり二元中継の構造で、最后に(心が)一つにつながるという構図はよかったな。前回も述べたとおり、視聴者に選択肢が複数示されているのもよい。寒い時期にキャンプだから温泉は必然性が出てくるんだけど、そうなると石鹸アニメになるのもまた必然で、だからといって一般的な石鹸アニメの底の浅さはあまり見られない。
 紹介アニメだと、やはりろんぐらいだぁすや南鎌倉高校女子自転車部ヤマノススメなどを思い出すのだが、それとくらべると頭二つ分ぐらいは抜けてる感じ。でもネットを徘徊していると、ろんぐらいだぁすで自転車に興味を持ったという例も見かけるので、そのへんどの作品のどの要素がフックになるのか人によって違うってことではある。自転車に関しては自分はレースに出るわけではないが経験者と言って差し支えないほどの知識はあるだろうし、そういう経験のある人間が経験のない人向けの紹介モノをその視座で評価するのはおかしいのだろう。
 今回の話を視聴してふと思ったのが、この作品は紹介アニメというよりは提案型のものなんだろうなということ。経験者が未経験者を慮ってこの程度の知識を与えれば良いんじゃね?というのではなく、自分がこうやってみて楽しかったから(読者にも)やってみない?というのが重要なのではないかということ。前回も言及したが、この作品で面白いのが、キャラたちが選択しなかったこともちゃんと選択肢として紹介されていて、それは読者の側で脳内で自分なりの組み合わせを無理なく組み立てられること。今までの紹介モノだと、基本的には王道の選択があって、そこから外れるものはすべて「間違い」とされていて、確かにそういう作り方だと窮屈に感じる。実は今回の話は以前に外国人がパスタを折るかどうかで掲示板で論争しているってペーヂを読んでいたことがあって、こうやってこの作品を視聴してなるほどゝ納得した。要するになでしこにスパゲッティを折らせているのは、そういう描写にすることによって折らない選択も暗示しているわけだ。初心者はスパゲッティを折るという知識を持ってないのだからそれを示すだけでよく、折らずに調理することにこだわりたい人はそうすればよいだけのこと。折って調理していることを示してはいるが、だからといって折らずに調理することを否定していない。これが今までの紹介モノだと、初心者が間違いやすい例をわざわざ選ぶ(もちろんそういう態度も重要だが)ことによって、正しいか間違いかの二元論にしてしまう。そうなると視聴者の選択が奪われることになるから楽しみ方の広がりは最初っから捨てゝいることになる。この作品でも直火はNGと、やってはいけないことにも触れているのだが、そこには極力アクセントをつけずに、楽しみ方のほうになるべく焦点を当てゝいる。そういう、読者を決まった型に嵌めるのではなく、ゆるさがあるのが本作の特徴なのかなと思ってみたり。この作品のその部分が評価されたからなのかどうかはわからないが、この時期のアニメではこの作品が評価されたらしいから、今後初心者向けの作品にはこういう要素が取り入れられていくとは思う。