夢見る男子#10

 ヒロインの本音が明かされる話。うーん、なんかやられた…という感じ。今回ヒロインの秘めたる思いが読者にだけ明かされたわけなんだけど、ちょっと前に中学時代の主人公がヒロインに情けをかけられるシーンがちょろっと開示されていて、それを深掘りしたわけなんだけど、なんつーか、これでいろいろつながったなという形。かといって、今までいろいろ伏線が仕込まれて、今回全てが回収された…というわけでもないんだよな。伏線らしきものはその中学時代の食堂でのエピソードだけど、主人公が告白してヒロインが実は彼に救われてたという要素は描かれてなかったので、あれが伏線か?といわれるとそれも違うなって感じで、なるほど、こういう処理は確かに他の作品では見なかった本作のオリジナリティと言われたらそうかも。
 主人公の造形もよく考えられていて、今までの流れをざっと振り返ると彼はリア充っぽく感じられなくもないんだけど、ヒロインにしつこくつきまとってた当時の彼はむしろストーカー紛いというか、今ドキの流行でいえば発達障害っぽくてとてもイケメンには見えなかったし、いろいろ他者を手助けして好感度を上げていくにしても、それで彼がモテようだとか、他人に貸しを作って自分が有利になり隊だとか、何らかの承認欲求を満たしたいってわけでもなく、なんか腐れ縁だとか巻き込まれたからだとかで仕方なく助けたりしてる要素が大きくて、まぁどこにでもいそうな一般的なキャラなのであって、女にモテたくてガツガツしてる様子は見受けられない。
 ヒロインもねぇ、妹の世話だとか言ってるけど、これはなろう系サブカル作品なのであって、彼女はヤングケアラーなんですよということなのであって、別に妹でなく祖母や祖父の介護であっても構わないんだろうけど、それやっちゃぁ話が深刻になるので妹にしちゃってますぅみたいな感じかな。これも今まで彼女にそんな要素があると開示してなかったからまぁ驚きだよってところだけど…。で、気が付いてみたら主人公に救われていたことに早い段階から気付いていた…ってことだけど、返礼しようにもそういう状況ではなくなっていたからああいう態度にならざるを得ないってのも十分納得のいく範囲。
 なんか難しいな。最近Youtubeアニ感動画を見てると三話切りの作品の中に必ず入るってポジションだけど、個人的にはもったいないというか、まぁ自分も2~3話ぐらいまではこの作品全然アカンかも…とは思っていたから見切られるのも仕方がないというか。そしてなんか今シチュエーションとか演出でカタルシスをを作り出してるようだけど、仮に自分が物語に立場で入り込むことができても、第三者的に二人を眺めるとそう大きな変動はないから、そんなことがあったのか程度にスルーすると思う。そういうものを面白いストーリーと大半の観客が思わないことに何の不思議もないので、まぁニッチなものと言われたらそのような気がするというかなんというか。