ヒーラーガール#10

 緑髪の過去話とハロウィンで小イベントを開催する話。うーん、なんかもうアイドルの日常&活動記録になってるな。色づくでもう夢を追いかけることを積極的に肯定する時代は終わりなんじゃないかと述べたのだが、だからと言って夢を最初っから諦めろというのもアレな話だし、せっかく夢を追いかけることを描くのなら地味な仕事を取り上げてしょぼくれたものにしなくてもよいのはその通りなんだけど、アイドルと医者というのは、もう今となっては親の経済力が決定的な要因になってるので、そういうカネ持ち限定なお話をされても正直ポカーンでしかないと自分は思う。緑髪の実家が農家といえども、子供をバカスカ産んで、それでなお子供に夢を諦めなくてもよいと言えるだけの経済力があるのであり、東京で一人暮らしさせて、当然医療に関する知識や音楽レッスンを受けさせるだけのカネまであるということになるから、あれ、自分の住んでるところでもそういう農家があるが、補助金で日本家屋を新築したり、その家では大層な新車を数台買えるほどの農家でしかないんだよなー。
 自分としてはシリーズ構成としてもっと挫折を味わうことになるのかと思ってたら、なんか基本的に大きな波乱まではない様子。次号予告を見る限り、なんらかの限界を感じるシナリオになりそうだし、今回も自分で歌のクォリティをコントロールできない旨の発言があって、決して順風満帆という流れでもないんだけど、元々恵まれた者が恵まれた環境で、ちょっとしたつまづきがあっても結局乗り越えてHEとか、まぁ美しい話ではあるけどサ…。
 今回も絵と歌のクォリティは素晴らしかったというか、キャラ絵が全然崩れないし、画面の構図としてそれぞれのシーンが止め絵としても全然整ってるし、歌の声の伸びも効いていて確かにそれ自体に聞き惚れるものではあるんだけど、シナリオ…というよりストーリーがもう個人的にはスッカスカという感じ。カネ持ちだけにしか許されない選択肢を見せられて素敵だろと言われても、どうだ明るくなったろうでしかないんだよなー。説教臭くなるんで別にアニメで社会問題を深く掘り下げなくてもよいけど、庶民に対してケンカ売ることないと思うがなー。

司書#35

 神殿長が動きを見せるが、姿を隠してた神官長が現れて形勢が逆転する話。最近はスカッとした展開が全然なかったから、さすがにこの展開はカタルシスが得られてメートル上がる。強制的に血判を押されそうになって「そろそろだぞ」と先が読めてもそのへんはまぁ。ただ、どんなにうまく立ち回ろうと、結局モノを言うのは身分が上かどうかだけなんだよな…。で、おそらくそれがテーマになってるんだと思う。で、そういう身分が上かどうかですべてが決まる前近代のありかた、これ残念なことに現代日本でもあてはまるというのが昨今の状況なんだよな。この物語でいうと、神官長のいないあの物語世界。かといって物語のように貴族が何らかの形で庶民に富をもたらすものでもないという、この日本がそういう物語以下のディストピア世界になってるのが事実は小説より奇なりの現状。