ブレイブウィッチーズ 第12話

 前回までとは別の話かと思うぐらい別物。
 どうしてこうなったのか。前回までは陳腐でもそれなりに形になっていたのに、今話は雑オヴ雑といってよいほど。ラストなんだからこそリソースを全力投入すべきとは思うんだけど、製作が間に合ってなかったんだろうなぐらいの予想はつく。とはいえ、脚本というかシリーズ構成というか、もう話の展開が淡々と処理すべき要素を急いで処理しましたっていう出来で、テキスト自体のクォリティがよくないから、絵もそれにつられて切り貼りしましたって感が強かった。おそらく板の段階で大幅に手直しするんだろうが、そうだとしても脚本も手直しが必要なレヴェル。尺が足りないというのは明らかなんだけど、問題は尺を長くすれば解決する問題でもないだろうなと思われること。正直あまりあげつらってもしょうがないのだが、主人公が戻ってくるのは軍紀違反になるはずだが、それでよしだと前回のコンペが無意味になるし、それにしても主人公が戻ってきたことに何の反発も戸惑いもないってのはどーなんだ?と思わざるを得ない。違反させるならさせるで、葛藤だのいろいろやらねばならないことがあるはずだが、それを全部すっ飛ばして全肯定とか、やはりそれまでの筋立てを一切台無しにするのでなんとも。
 全体像を振り返っても、中盤を過ぎて終盤あたりから勢いでなんとかするというテキストになっていて、やれ組織論だのというのもどこへいったやらというもの。結局自分が途中で言及したとおり、フミカネ絵を動かすということが目的であって、物語部分はたんなるおまけと見たほうがよいというのが明らかだと思う。第1期ですらメインはそれなんだから、やれ敵との和解がどうだのというのも大局で見るとはぐらかしでしかなく、設定からして馬鹿げてるんだからストーリーやメッセージ性に期待するほうが筋違いというしかない。そのへんむしろAkiba's Tripとは対照的で、アキバのほうはゲームのほうでアニメのストーリーに対する注文など何もなく、テキスト担当は制約が少ないのならアキバというネタを自由に調理してむしろ現代社会の病理に対して強いメッセージ性を込めていた。なんだかなぁ。
 というわけで、第1期がそれなりに世間の目をひきつけることができたから、ファン層に対してのサーヴィスとしてもう一度動く姿(アニメーション)を提供してみましたということを超えて何かゞ込められているとは感じなかった。前半部分ではそういう要素もあったような気がするが、後半からの展開でそれに対する回答なり提言なり、投げたものを回収してるようには思えなかった。
 まぁなんというか、タイムスケジュールどおり事態を進行させてそのときがきたら〆るべき話は時間通りに終わらせるって態度は、途中議論を深めることもせず。質問者への回答ものらりくらり自分の主張だけして誠実に答えることもせず、とにかく時間がきたから採決して成立させる政権のあり方そのものなので、もしかしてこの作品のそういう構造こそが壮大な社会(政権)批判要素なのかなと思わなくもないが、それはさすがに考えすぎかなぁとは思う。ファンディスクのようなものとわかっているのならそういう心積もりで視聴もするが、いちおう世界設定を共有する別部隊のアナザーストーリーで、最低でもスピンオフぐらいのもんだと思っていたし、最初のうちはそれなりのスタートをしてたと思うんで、視聴者のほうで勝手に期待したと言われるのなら仕方がないが、看板に偽りありぐらいの認識にはなってる。前作ほどではないにしてもそれなりの人気が出たという話も聞かなかったし、視聴するにあたってそんなに期待してもしょうがないという認識の下で視聴を続けたんでそれほどショックは受けなかったかなと。いろいろよくばって話も凝ってみたけどそれも小手先でしかなくて全体としては破綻してたんじゃネェの?とは思った。終わり2話ぐらいが残念で、これをなんとか形にしたらファンサーヴィスとしてこんなもんだろうというぐらいにはなってたと思う。