冴えない彼女の育てかた ♭ 第9話

 正直なところ、個人的にはJRPG業界自体をそれほど評価してないからなぁ。
 絵描きのそこそこのレヴェルの人は、まづ速さありきだからなぁ。ワナビーが多くて、今だとネットに玉石混淆というか、石や砂泥が多量に溢れているわけなんだが、クォリティが高いってだけではあまり意味がなくて、そこそこのクォリティの絵を、そこいらに転がってるイラレとは桁違いのスピードで仕上げられる人種が世の中には居るわけで、そういうのがあたりまえの人からすると時間をかければクォリティをというのはちゃんちゃらおかしいというか、もどかしいのだろう。しかし、スカウトをかけるからには、やはりその人が持っているものに魅力があるわけだ。そこそこクォリティの高い絵をすばやく描ける才能があったとしても、その作品が人を惹きつけるかどうかはこれまた非情なことに運であって、それを大抵の人は才能と呼ぶわけなんだが、そういうのがないと単に綺麗なだけで心に残らないという仕打ちにあうわけで、もうこれは本当に水物というしかない。
 今回の話(というか作品に通底しているテーマ)が面白いのは、クリエーターが目先のカネや名誉に惑わされて世俗的な評価を求めるというのではなく、まさに作品性を支える才能自体に彼らクリエーターが惑わされる様子を描いていることで、前回の主人公の萌芽がもうまるでお話にならないほど今回と前回の話との対比があって、これはやはり読者(視聴者)に油断を許さない構成だというしかない。
 ちょっと気になったのはテキストがイラストの引き立てという役回り。普通逆だろうと思うのだが、そのへん丸戸がどう考えてこういう設定にしたのかちょっと興味がある。絵だけで感動することは稀で、感動するにしても絵の中に物語性を発見するからって要素が大きくて、やっぱ感情のスイッチを押しやすいのはテキストのような気がする。そうではなく絵そのものに力があり、その才能を澤村に見出したとでもいうのなら、なんで紅坂本人が引き出し役をやらないのか、もしくはそういう絵を紅坂本人が描かないのかって話になると思うんだよね。