トモダチゲーム#1

 心理ゲームを通じて友情とは何かを問いかける話。初回は面白かった。まぁ心理学ではよくあるゲームの一つで、参加者がお互いを信じあい全体の利益のために行動すれば全体が得をするが、抜け駆けをして一人だけが得をする選択を誰か一人でも行えば、全体が得られる利益は途端に少なくなり、利己的な選択をしたプレーヤーも実際に自分だけが得をするとは限らない結果になる…というもの。こういう研究は今までいろいろなされていて、新書文庫などでもよく取り上げられる題材なのだが、心理学で実際にテストしてみると割と「日本人は利己的な選択をするものが多く、意外なことに外国人は全体の利益を考えるプレーヤーが日本人より割合が高い」らしい。なので、こういうストーリーは残念ながら日本人こそ楽しめるものに、構造的になってるんだなと思うと感慨深い。
 なんつーか、こういう作品の常として、そもそもディーラーがズルをしてる可能性があって、但しそういう話だと途端に白けるのがわかっているのか、今のところゲームに仕掛けはしているけども、ズルはおそらくしてないように見える。あと、主人公以外にプレーヤーが四人いるのだが、主人公以外どういう選択をしてるのかは決して読者に対してあきらかにしてないだろうというように見える。この前提が崩れてしまえば、この作品自体見る価値そんなにないだろうと思うのだが、おそらくそれは守っているはずなので、最初っからいわゆる「裏切り者」がいる展開とか、最初っからブン回してるなって感じでなかなか心躍る展開だった。
 ヒキの主人公のセリフがちょっとビックリで、なるほど、これ主人公にとっては落ち込んでる場合ではない、なんとか知恵を振り絞って手段を選ばず最善な結果を得ようとしてるように見えるのが力強く感じる。もう他の四人のうち少なくとも一人は利己的な選択をするものがいるのがわかっているから、自分だけが助かるように努力してもよいし、それでもなお全体を救おうとするのでもよい。ただ、この手のお話の常として、種類がいくら増えてもゲームの基本構造はあまりかわらないので、何個かやってしまうとゲームの内容にマンネリを感じてしまう可能性が高いこと。そのへんはキャラクターの関係性を大きく揺さぶって合従連衡をやることで退屈を回避するんだとは思うが、そういう部分もその通りだとすると、もう話の流れがわかってしまっていつ飽きるか?という問題になってしまう。原作は19巻まで続いているようなのでなんとかなっているのだろうけど、まぁそのへん割り切って楽しむことにしたい。