現国アニメ#22

 奴隷商の話。全体的な構成はよくある浪花節だしまさに日本の時代劇って感じ。なのだが個人的にはなかなか楽しんで視聴してた。なんというか、人材が足りないからというところで、そりゃ教育でしょという流れは視聴者に読める作りながら、そこからいきなり奴隷システムに行くのがちょっと工夫してる。基本は合衆国の奴隷解放をモチーフとしながら、そこから一歩改良してあってこのへんがなかなか。civil war以降の奴隷解放宣言で、解放された奴隷がどうなったか?というと、かなりの数の奴隷が元の奴隷主のところに戻ったのだが、その理由が、奴隷以外の生活の仕方を知らなかったから、で、要するに学がなかったから。その辺を踏まえてこの作品なりのリファインをしてる。ただ、今まで文字の読めるキャラばっか登場してて庶民がどうなのかはほとんど触れてなかったから、ここでいきなりこの世界には奴隷がいて…というのはさすがに唐突には感じてた。あと、学校制度を奴隷以外の平民にも施してから…じゃないとという気もしたのだが、まず奴隷身分に教育を施して彼らが実力を示し始めて、それで平民が羨ましがり教育を自分たちも…みたいな流れだと確かに身分制度も変更しやすいのかなと思ったり思わなかったり。
 しかしなんだな、今の日本だと中流以上はまだマシだが、動物園化した学校だと児童生徒が教員にわかりやすい授業を求めて偉そうに教員を評価し、聞いただけで分かったような気になり、帰宅しても宿題をやるなり自分で知識の定着のための努力をしないから学力が向上せず、それでいて成績が悪くても進級卒業を既得権益として要求するからアホのまま社会に出るという、もう主体性の欠片もないバカを量産してしまっており、それ自体がバカ自身の自業自得になっている。で、政府は政府で、かつては教育に力を入れてそれなりのレベルを保っていた国民を過労で使い倒し、こともあろうに労働者の稼ぎの上前をハネるために奴隷商人を政府に招き入れて賃金が大幅に低下してる始末。それでとる対策が「幼児教育の無償化」とか「子育て世帯へのえこひいき」なのだから呆れる。そのための予算はどうせ税金を上げて貧乏人の負担にするだけだし、それで学力が向上するはずもない。今や若者の半数以上が非正規雇用で、そのような状態では結婚すらできないし、現状は結婚すれば大抵子供を二人以上産むらしいから、基本カネ持ちだけが結婚して子供を複数持ち、貧乏人は結婚すらできないから、貧乏人からカネ持ちへの所得移転になってる。
 失格紋も教育がテーマのようだけど、今回のこの話の方がより真摯に日本の教育問題に向き合ってるような気はした。まぁあと数話だし、タイミング的にここらが山場なんだけど、普通なら展開が劇的になるこのあたりに教育問題を持ってくるあたり、原作はともかくアニメスタッフはこの重要度が高いと思ってるんだろうねぇ。