86#19・20

 列車砲襲撃作戦のその後。うーん、逃げる列車砲という段階で口あんぐり。そもそも数の力押しで勝てるのに、それでなお列車砲というのは分業という観点からすると理解に苦しむ。その強大な打撃力を行使できるのは機動力を犠牲にしてるからで、安全地帯からのアウトレンジなので防御力も全く考慮に入れてない、そういう存在が列車砲なので、というかそういう他の要素一切無視して打撃力に全振りしてる存在だから、普通破壊能力のあるユニットが当該地点に到達した段階で勝負アリ、それが勝利条件のハズ。しかも退却中の列車砲についても、レールへの攻撃が無駄だと断じていたが、それでも軌道上でしか移動できないというのであれば、ちょちょっと数か所寸断すればたちまちにして移動能力を奪えるのであって、立ち往生してる間にタコ殴りすればよいハズ。そういう戦術が無効であるほど列車砲に移動能力があるというのなら、それこそこの列車砲を量産して前線に送り込めば済む話なので、なんか設定的に無理があるというか、シリーズを無理やり続けるために、超人的な活躍を遂げる主人公たちとのバランスを取るために強大な敵をなんとかひねり出したとかそんな感じ?。
 正直なところ、1クール目の範囲で、原作者がやりたかった、主張したかったことは尽くされていたんじゃなかろうか。ラノベ原作ということだが、漫画にしろこういうのは生き死ににシビアな世界ではあるんだけど、一度企画を立てたからにはある一定以上の義理みたいなものがあって、よっぽどのやらかしがない限り、例えば漫画でいえば二巻作家という言い方があるように、あまりヒットしなくてもある程度の連載、もしくは巻数だけは発表の機会があるとか無いとか。最初に企画を持ち込まれた段階で、あんまり売れなくても一巻だけで打ち切りではなく、二巻三巻は出してあげますから、それで構成を考えてください、それでヒットすれば続巻を出しますけど、当たらなければそこで終わりと考えてください見たいな約束があって、この作品の場合、作者自身はまさか大ヒットするとは思わずに、与えられた機会を最大限生かして、打ち切りされても後悔しないように二巻分か三巻分に全力を投入したとかそんなの。
 1クール目の部分は劣悪な環境下でしかも差別的に抑圧されその中で頑張るしかないというのはブラック労働あたりで社会との接点もあるし、十分読者層にに訴求力があった。そして一旦支配下から逃れて自由の身になれた…という段階でちゃんと区切りはついてるんだよ。で、ブラック企業で使い倒されても有能だからといって大企業がホイホイと行き倒れを雇ってくれるなんて現状夢物語の日本だと、2クール目以降の展開は、ちょっとファンタジー色が濃いんだよね。人間やり馴れたやり方を使っていろいろやりくりしていくしかないという側面はそりゃそうなんだろうけど、こう1クール目と繋げて、窮地を脱してはみたものの、精神的にそこから脱却することができない愚かさというか、どうしようもない構造というものをシリーズ全体で原作者が訴えかけたいと思ってるとはあんまり見えないんだよね…。やっぱり、人気が出てからの、テーマの再設定に失敗してるというか、最初の構想段階でそういう余力のない設定をしてしまってるというか。それとも10巻も20巻も続いてそれでシリーズがようやく完結するときに、今やってるところがちゃんと意味を持つようなそういう大構想をしてるとも限らないんだけど、上記一切がすべて自分の妄想なんでよくわからんところ。
 共和国のねーちゃんと再会するまで寝てるのが正解だったとは思うんだが、かといって本当に寝てるわけにもいかんし、しかし首都が陥落してから一切共和国側の描写をなくしてしまってるのも、クライマックスに向けてのサプライズと思うしかないが、それにしてもあと3話でどうまとまりつけんの?みたいな。いちおうアニメシリーズの集大成として感動ポルノに仕立て上げて終わりかもしれんのだが、まだ感動ポルノになるんだったらそれでもマシなほうで、それすら覚束ないgdgd加減になりはしないかとちょっと心配してる。総集編にお休みまで挟んで、まさかシナリオの見直しからやり直したはずはないと思うからなんか嫌な予感はするが…。

見える子ちゃん#10・11

 代用教員の真相の巻。うっかり口を滑らせた金髪ツインテの発言から主人公が、誰が何が見えて何が見えてないのかを悟るシーンはなかなか良かったかな。この作品の場合霊魂だとかそういうモノを使ってはいるんだけど、霊が見える見えないではなく、もっと一般的に敷衍してると見ると、こう自分が主体的に関心を持って自分の周囲や世の中にアンテナを張り、ちょっとした変化も見逃さず、自分には見えないことも補助線を引いて浮かび上がらせる…という展開はなかなかこのクライマックスのタイミングでよく主張してきたな…という感じ。
 ただ、代用教員に関してミスリードはちょっと困惑した。もちろん情報が錯綜してる中、物事を見誤る場合もあるだとか、だれしも先入観はあって、世の中すべてを見通せるなんて過信もいいところなんて、ちゃんと要素として機能はするのだが、主人公をメインに据えて力強い主張をしてる時に、集中を乱されたような感覚。いろんな情報が錯綜して頭がいっぱいいっぱいになっているから、そこに思い込みが紛れ込むというのもわかるんだけどね…。友人が公園で無邪気に子供と対応してたから、主人公もつられて手を振ったらそれが引っ掛けだった…とかよくできてたからなぁ。