異世界食堂2#12

 異世界食堂の由来とお祭り騒ぎ。まぁ無難に終わった感じ。終盤になって気づいたように、洋食は西洋料理の和風アレンジなので、西洋ファンタジーの和風アレンジがJRPGだとするとなるほど構造的に一致させてたのねという感じ。1期での、森の民エルフがヴィーガンのメタファーだというのもよく仮託させてたね…。
 とは思うのだが、やはり終わってみたらなんか新しい切り口を見せてくれるとか、社会的メッセージに何か見るべきところがあったとか、というかそもそもそういうのは最初っからないみたいな感じ。料理に絡める物語性ってのも、もうどうでもええ感じで、そういう意味ではこれはそういう外面に何の興味も持てない人にとっては見るべきところがなんもない作品ってことにいなろうが、個人的にはキルタイム作品としてそれなりに楽しんでた。なんつーか、高度経済成長期にまだ貧乏だった日本人が洋食に対する憧れを持っていた時期を自分は知ってるわけで、普段の料理に比べて洋食が贅沢品でそれ自体ヨソ行きの雰囲気を持っていたこと、クリームソーダなんてものが象徴的なのだが、そういったところでのデザートもまた独特の雰囲気を持っていて、在来の甘味、ぜんざいだとか団子なんかより圧倒的にきらびやかに見えたこと、そして日本が豊かになって洋食の種類も増えて多彩になり、また同じ洋食でもアレンジが増えてより進化していったところなどの経緯が込められているので、そういう洋食の集大成みたいなものを見ることができて感慨深いものがあった。たとえば、これがもうちょっと、ハンバーグだのオムライスが家庭料理としてカジュアル化した世代だと分らん感覚だろうなと思う。リザードマンのオムライス、これもまだ卵自体が贅沢品だった頃を知っている世代とそうでない世代では感じるものがやはり違うと思う。
 そういう意味では、洋食がもう洋食としてのジャンルを失いかけてる今、こういう作品にする意味はあったのかなという感じはした。料理をテーマにするんだから、調理法を示して、読者にもおいしくするちょっとしたコツだの、もっと料理の由来についてトリビアを開示するなんて方向性があってもよさそうなものなのだが、そういうのを一切排してただ、それを喰ったことがないキャラを最初に持ってきて、料理に対する憧れだけをクローズアップさせるという手法は、それなりに抑制も効いていてそれこそが原作者が示したかったことなんだなというのはなるほどといった感じ。

やくも2#12

 主人公が人間としての現状を肯定し、以後背伸びしないで頑張る宣言して〆。おーちょっとびっくりした。視聴前はバランスは優れてるが特にテキストとして優れてるところはなかったな…と思っていたので、結論を一つの形として示さず、要素に分解してその組み合わせ…というか構造で示すという形にしたのは意外も意外。そしてその分解された要素はそれぞれのキャラに割り振られていたから、シナリオライター結構頑張ったな…みたいな。高校生の物語にしたので、前期もそうだったのだが、大人が作り事として高校生がどう悩んでどう結論付けるのか…という部分に世代間のズレは起こるだろうと思っていたのだけども、その辺の処理もよく違和感を少なくできたよな…という感じ。
 高校生をキャラとして使う話だと、割とスポ根ものが多くて、それは他者を打倒することを通じて切磋琢磨という自己成長を遂げる物語が多いのだが、そういう競争という形でもなく成長をどう描くか…みたいな命題を立てて考えると、なるほどこれも一つの理想の形として示したんだなとぼんやり思ってた。
 まぁ取り立ててこれを視聴しなきゃなんないって程のもんでもないのだろうが、ショートアニメで到達した、達成したものを考えるとよくぞここまでという評価。
 実写パート?、二期になってからの陶芸では素人の声優に作品を作らせるという企画は個人的にはイマイチだったかな。バラエティ番組レベルの紹介モノだったとしても、多治見紹介を眺めている方が個人的には楽しめてた。