テスラノート#10・11

 欠片を奪われる…からの奪取作戦まで。あーやっぱりなんか惜しい感じ。描こうとしてる要素部分はなるほどと思うところ十分なんだけど、見せ方の問題だろうなと思ってしまう。スパイの本質は、忍者でいうところの乱破ではなくて草の者であって、現代的に言うと特殊工作部隊というよりは産業スパイってところ。忍者とかスパイだとかいうと、どうしてもアクション的に見栄えのする殺陣部分に目が行きがちなんだけど、むしろそれは全然本質ではなくって、いかに相手に悟られずに目的を遂行するか…なので、それをスマートさでつきつめていけば、なるほどそれは映像的に地味でしかない。だから、アクション過多にして視聴者の目を惹くしかないし、今ドキのサブカルだと真面目一辺倒だと息が詰まるのでギャグを入れ込むのだろう。でもそれをすればするほどスパイの本質から遠ざかるし、そのへん冒険活劇をメインにして、むしろスパイ要素をそこに混ぜ込むことこそがエンタメとしての宿命みたいなもんだろう。
 ただ、初期の頃、アニメの印象があまりに酷いので、原作無料公開部分を読んだら結構マトモだったから、まぁ原作全部目を通したわけではないからそのへんは推測でしかないが、正直アニメはもっとなんとかならなかったのかとは思う。
 なんつーか、オーバーテクノロジーを扱って入るんだけど、自分が見る限りこれは徹頭徹尾人と人との信用問題がテーマだと思うしかないので、そのテーマに関しての一貫性とかよくできてると思うし、その辺を深刻さを高めたくはないんだろうけど、茶化さずにうまく処理できていたら見ごたえのある作品になっていただろうなとは思う。アニメよりは三次ドラマ向けのテキストだと思うし、アニメはアニメでもCGではなく手描きでやるべきだったんだろうなという気はする。ポリゴン処理だと省略すべきところは積極的に省略すべきなのに、結局物体としてデータ化されてしまうと、連続処理してしまうので、余計なものを描写してしまわざるを得ないんだろう。でも結局CGというのは企画段階でのメインだったのだろうから、最初っからハードルを高くしたというか、約束された失敗…というか、限界ってな感じのように見受けられる。
 骨格の部分はそう悪くないのに、肉付けの部分というか、見せ方がもう全然アウトというのが妥当な評価なのでは?。原作漫画がそれなりに人気があったからこそのアニメ化だろうし、テスラの欠片なんて荒唐無稽の何物でもないんだから、むしろテキストのまま、文字情報で読んだ方がはるかに楽しめそうな気はする。