ひぐなく卒#15

 沙都子のにぃにが目覚める話。自分は高校生編をやると思ってたからこれでお終いになるのがちょっと肩透かし。とはいえ、業のときに述べたように、高校生以降のお話は日本のバブル期以降の話であって、それは昭和期の振り返りをやってからの今後の指針って意味合いが強いだろうと考えていたので、まぁそれをやる気が最初っからなかったんだなというのと、別にそれはやらなくてもいいとはいえる。今回、結局沙都子は梨花を外形的には諦めたという結末だったように思うし、それは結局地方を出て行く人間を引き留めてはならないという結論だとも思うんで、なら今後についてうだうだ描写をやるというのは野暮というもの。
 物語がバブル直前の、田舎が限界集落になる直前のお話で、卒パートではもう沙都子が人が居つかない頑迷な地方の象徴として描かれていたので、結局のところこれは現代日本のUターンやIターンで地方に移住していった人たちが村八分のような目にあって決して移住が成功してるわけでもない現状はあるので、そういうものなのかも。あと、沙都子のDV叔父があんなに人間丸くなりというのも、これまた現代でいうところの、孤独死問題や、その老人を誰が面倒みるのかという問題に対する回答の一つだと思うんで、別に高校生編をやらずとも現代日本の病理を昭和期にあったことをどうやり直したらよいかについての提言は別に描写してるとはいえる。
 まぁこの最終回で別にいくら沙都子が勉強が嫌だといっても、そもそも最初に梨花に付き合って聖ルチーア学園の受験勉強を頑張って、入学試験に合格したのだからやってやれないことはないはずだがとずっと引っかかってた。だが、結論が上記の通り、地方を去る人間を引き留めてはならないというならば、あそこで沙都子も今一度梨花と一緒に聖ルチーア学園に入学させて、今度こそ梨花が沙都子を鞭打っても勉強させるシナリオにすることの意味はないということになる。業の時には描かれてなかった聖ルチーア学園に行くときに新幹線に乗るシーンも、あれは結局梨花は最終的に東京に行くだろうという暗示なのであって、故郷を捨てるという象徴なのだと思う。
 結局言いたかったことは何だろうと考えてみて、まぁ沙都子が繰り返すものになってからの話だから、業に対するドラマ部分の深層に対する何らかの答えが卒ではないというのも明らかだろうし、まだはっきりと自分の中でまとまってるわけではないけど、都市と地方の断絶はもうどうしようもないって話なんだろうかとぼんやり考えてる。ラストで雛見沢の穏やかな情景を描いて見せてもどうせああいう地方は今だと限界集落待ったなしだというのは視聴者にはわかってる話だし、都市に憧れて故郷を捨てた梨花にしても、あの直後おきたはずのバブル崩壊以降、日本の失われた30年が確定してることも視聴者にはわかってる話で、都市がその都市だけの繁栄を維持するためにさらに地方からの搾取の度を高めているというのも皮肉な話ではあるが、これまた現代日本でまさに起こってる問題で、物語上どうしたらそれを避けることができたのかという考察はあまりにファンタジー過ぎて、現状を肯定するわけじゃないんだけど、とりあえずお花畑な物語を仕立てるよりは現状把握や過去の振り返り程度でとどめたのかなとかなんとか。しかしまぁ、相手に思うところがあるなら裏で手を回して邪魔したり嫌がらせをするんじゃなくて、言いたいことは直接相手にぶつけろってのがドラマ的結論だろうし、でもそれで相手が自分の考えを変えるわけでもないってのはまぁそうなんだろうねぇというしか。
 自分でもよくわからんのが、あれだけ羽入にキセキキセキ言わせてたから、圭一が村全体を動かして児童相談所にかけあって沙都子を救う…以上のカタルシスを見せてくれると思っていたから、そのへんどうにもスッキリしない。だが、別にスッキリさせてくれるシナリオがいいお話だとも限らないので、あまり結論をはっきりさせず含みのあるENDにしたのは悪くは無いんじゃないかとは思ってる。

アクアトープ#13

 一気に半年以上時間が進んで水族館勤務から始まるの巻。元館長代理、企画広報の部署に割り当てられ、てっきり飼育員の仕事だと思っていたから憤懣やるかたないという流れ。まぁあるあるって話で、こういう物語にありがちだよなと思うのだが、しかし今ドキ望みの職業どころか就職にありつくことすら困難な時代に何を贅沢なことを…みたいには思った。研修に来てた職員にもコネ組と言われてたし、そのへんさすがにシナリオには反映されてるっぽいが、正直メインキャラが揃いも揃って同じ職場とかやり過ぎにもほどがあるという感じ。
 しかし、水族館側としては、元館長代理は飼育員としてのスキルを既に持ってるだけでなく、閉館間際になんとか水族館を続けることができないか奮闘してたわけで、むしろその苦しい中人を呼ぶ工夫をしてたその頑張りぶりに期待ってことだろうと思うんだが(はっきり言って飼育スキルは教育すればどんな新人でも身に着けさせることが可能なんでまぁ下っ端の仕事とはいえる)、本人にはわからんだろうなという感じ。元館長の祖父も、おそらくそういう意図を教えてないハズで、そのへんも大人独特の仕草。
 副館長の「お客様が何度も来たくなるような施設」というのは、無料パスを買って毎日居場所にしてたあの水族館が既に実現していたことであって、このへんわかる人にはわかるって作りになってるのが個人的には面白いなとは思ってる。でもこの新水族館の副館長が目指してるのはネズミーランドのようなものなんだろうなとか。とはいえ、館長が副館長のことを買ってるようだし、そうでもなければ副館長に据えるはずもないので、彼の良さはあとあと示されるんだろうなという。
 そして満を持して元アイドル再臨。OP映像などでは水族館勤務になるのか今一わかりにくいが、どうせ次にはわかるだろうし来週までじっと我慢の子。