アクアトープ#12

 ついに水族館営業停止すの巻。行事でもやってもうちょっと盛り上げるんかなとも思っていたので、あまり日常と変わるというほどのものでもなくって、個人的にはそこが逆にいいとは思ってしまった。まぁ明日から営業するわけでもないんだから、そんなに力入れる必要もないだろみたいなもんで、地元密着型というのは自分も望ましいとは思っていながら、だからこそ利益を上げるのは難しいだろうなとも思う。
 作品とは離れるのだが、自分は父親の実家があったという関係で昔とある水族館に行ったことがあり、で、展示がどうだったかというと、そこは施設というにはあまりにも粗末なもので、展示水槽も少ないし、基本露天で、展示してる魚もよく見る魚ばっかで、飼育員も見たことない。要するに魚屋のいけすに毛が生えた程度のものだったのだが、不思議なことに幼少時の自分もしょぼいのはしょぼくてもそういうところに魅力を感じていて、里帰りのたびに顔を出してたりしてた。それでもその水族館はほどなくなくなってしまって、今はなんか高校で水族館を運営して話題にもなり、漫画にもなっているようなのだが、なんかどーなのよみたいな感じではある。まぁ好きな人が好きなことをやる分には勝手にやってくれってものなのだが、高校なら展示物以上に人の入れ替わりに気を遣わねばならず、運営には金銭的コスト以上のものがかかってしまうワケで、そうやって絶えず必要以上の底支えする必要がある運営とか正直危なっかしいと思っている。で、魚屋のいけすどころか、フツーの水族館以上に展示物を見るのにハードルは高いわけで、そこに自分が幼少時に気安いと感じていた水族館の手軽さはない。なので、この作品の、子供が遊び場になっていても、近所のおばちゃんたちの集会所になっていても気にしない、館長の地元密着型の運営には実は最初っから愛着があったというワケ。見たければいつでも見られる、日常として魚を気安くみられるそういう生活になっているというのがもうそういう自分の体験にぴったりマッチしてた。
 で、これもこの作品から離れてしまうのだが、ちょうど昨日ラジオを聴いていたら水族館プロデューサーという肩書の中村元のインタビュー番組があって聞いていたのだが、なにやら最近はペンギンが泳ぐ水槽を下から見上げて、まるで飛べないペンギンが空を飛んでいるように見える演出で話題を得てるとあって、これまたうーんと考えてしまったという。経営不振の水族館を立て直す手法とか、新規立ち上げの企画を成功させるということで、自分も昔からちょこちょこ耳にしていた人なのではあるが、まぁそういうのが悪いとも言わないんだけども、自分の水族館の原体験が上記の通りなので、水族館に物珍しさとか楽しさというよりは、人と魚との距離の近さをどうやら自分は優先しているようなので、これもなんだかなぁという感じ。ただ、自分のそういう感じ方を重要視してたら、そりゃどんなコストカットをしてもとても商売としてやってけないというのはわかりすぎるほどわかるんで、まぁ自分のほうこそ夢物語を言ってるんだろうとは思うのだが、これもまた、やはりこの作品を見れば見るほど館長の運営方針に共感が深くなっていった自分にとっては、演出で人気取りしてもなぁみたいな感じはどうしても抜けない。まぁふる~い人間なんでございますよ自分は。
 館長代理が昔家探しして見つけてた母子手帳の謎も明かされて、それ元アイドルの同席のもと本人に告げるのもどーなのよと思わなくもなかったのだけども、よくよく考えてみたら、元アイドルが家に来た時点で、あの祖母は亡くなった館長代理の姉妹の化身とでも思っていたんだろうし、実際そう機能してたんだから、そうは言わないけれどもそう扱ったという話なんだと思う。なので引き直前の展開もそれはそれは腑に落ちたという感じ。
 自分てっきり新水族館には行かないんだと思っていたから、拍子抜け。思えば奇跡で見てた姿は未来の姿ではなく、あの白衣はとんだミスリードだったよとは思うんだけども、こうやって種明かしされてみるとそれはそれで辻褄があっているから、逆にヘンな先入観とか予想とかせずにぼんやり眺めて展開を受け入れるだけだったら余計なこともなかったのかなという。
 しかしそうなると前に研修生にしでかしたことのしっぺ返しあたりでコメディ展開になるんかな。自分はやっぱり海洋学者あたりでも目指してくれた方が夢という点ではなんか明るい話になりそうだったのになと思わなくもないという。まぁ海洋学者なんてリアリティの欠片もないんだけども。
 

ひぐなく卒#14

 やっぱり梨花にバレてましたからの壮絶な殴り合いの巻。卒になって沙都子ばかりが思い通りに事を進めるって話になってたから、どうしても露悪的なせいもあって沙都子悪役と考えたくなるんだけど、よくよく考えたら、うまくいかなかったら何度でもやり直しをするというズルをやってたのは梨花が先なのであって、ある意味最初のうちは沙都子が梨花に振り回されていたということになる。なので、こうやって両者が対等の位置に立って今までのことを整理してみたら、梨花梨花の、沙都子は沙都子の理屈があると相対化できるというワケで、ここにきて両方が思いのたけを正直にぶちまけるという展開は、では問題を整理してここから今までとは同じでない別の道を行くためには?という準備段階に入っているといえる。
 まぁ日本現代史の視点からすると、梨花の立場は個人の自己決定権からすると間違ってはないんだけど、でもそういうことの積み重ねが今の日本の都市と地方の断絶を決定的にしたんだよ…、個人の合理的行動が必ずしも全体の利益にはならないという合成の誤謬ではあるし、沙都子の立場は、まぁいわば自民盗の減反政策や野放図な地方交付金のあり方で働かずともカネが貰えるという仕組みが地方の創意工夫を阻害してきたから、勉強しなかったアンタが悪いといわれるのも無理はないのだが、そうできなかった理由もあるにはあるわなって感じで、でも結果として中央優遇による地方からの収奪政治という大きな流れに国民は逆らえないし、地方はあの当時ですら過疎化と言われていたのに、今や限界集落と言われてしまうほど衰退が決定化したのだから、今までのあり方が正しかったとは言えないでしょフツーってなもんで、これ以降の展開どうするんだろというのは気になるところ。
 まぁ繰り返すものを殺す剣が出てきたし、これを使って相手を殺すかどうかは別にしてもおそらくこれ以後の話はもう剣の機能を使って繰り返すのはもうナシねということなんだろうと思うし、あれほど羽入に奇跡奇跡と言わせてるからには、今後、最終的にはそれなりに視聴者を驚かすほどの奇跡らしきものは見せてくるんだろうなとぼんやり思ってはいる。奇跡に関しては圭一が児童相談所にかけあってなんとかするというエピソードを既に見せてるわけで、まあこれを超えるような何かなんだろうなという感じ。もしかしてそうではなく、血みどろの格闘がこれからも続くって?。まぁその可能性がないとは言わないんだけど、そのへん安易な予想はせずに展開を待つのが吉なのかねぇ。