ぼくリメ#12

 10年前世界に戻っていま一度やり直しEND。なんか新キャラとしてメインストーリーに絡みそうな人たちがいるようだし、もしかして続編ありきって話なのかな。まぁそうなるかどうかは別にして、この全12話で終わりってことだとすると、ちょっとこれはいただけないって感じ。元に戻るのが、物語の最初である2016年当時だったら、これまでの話は胡蝶の夢だとか一炊の夢だとかで終わる話で、なるほど異世界探検をしてそれで得た体験を今後の自分の指針にするってことなら、彼が体験した異世界が彼を成長させるための捨て石だとしても、それは彼の夢というか妄想(夢を見るのは自分だから、都合よく世界が組み立てられていても何の不思議もない)なのだから、別になにも他に迷惑をかけてるわけではない。でも、こういう終わり方だと、やはり前回言った通り、世界は彼の都合で振り回されている、キャラのすべてが彼の成長のための捨て石になっているという構造で、彼自身がチートを使いたいわけではない、ヒーローになりたいわけではないと言ったその妄言と真っ向矛盾する。芸大に行かずに無職になってしまった現実と、やり直しをして芸大に入りプラチナ世代と早い段階から知り合って自分のそれまでの体験を利用して上手く立ち回るという二つの構造があって、そりゃ無職と比べたらやり直しのほうを選ぶでしょうよ大半の人は…ってなもんで、そこからもう考えが矛盾してるし、芸大で過ごしてやらかしたから、挽回可能なセーブポイントまで戻ってまたやり直しをできるって、もうそれ自体がチートでしかない。こんな物語、氷河期世代がみたら鼻で笑われると思うわ。2018年世界の、絵を描くモチベを取り戻した妻に全力でサポートするとか言ってるのに逃げ出してるわけで、なんだかなぁといった感じ。
 それで、本人は一生懸命で、今までの態度を反省しているように見えながら、その実中身は全然ともなってないという主人公を笑い飛ばす作品というワケでもないと思うので、そのへんこの作品が目指しているものがなにかよくわからん感じではあるのだが、そうやってまとめてみるとなるほど、これは人間失格の大庭葉蔵と考えたらしっくり来るというか…。まぁ原作者がこのストーリーラインを王道展開として正しいと考えているとはちょっと思えないので、まぁそのへんよな。主人公が引き起こす一つ一つのエピソードにはそれなりにテーマが設定されてるし、それ自体は特に文句をつけることもないわけで、彼自身の悪意の無さと、周囲からみたらこう「無能な働き者」って立ち位置なので、そのへんをわかって生暖かく見守るって態度が吉なのだと思う。というか、でも原作自体はそれなりに売り上げがあってこそのこのアニメ化なんだから、そもそも原作を購読してる層、そのへんわかって楽しんでるのかな?って感じ。主人公のやってることは歳とったものとしてはバカだなぁと思いながらも、でも自分も同じことをやったことあるよ、ダメなのはそうだが、人間聖人君子ではないのだから、そういう間違いがあってもおかしくないとかそんなの。そういった意味では主人公は珍プレー集を演じさせられているだけだとはいえる。

かげき#13

 オーディションの結果発表の巻。もうね、たった一言ですべてが腑に落ちるのセリフで劇笑。なるほど、この作品、シリアスとコメディが、こう水に砂糖が溶けるようにまじりあってるんじゃなくて、まるでマーブル模様のように混然一体としてるからメリハリがついてるんだなと思った。
 まぁ原作の出来が良いのが一番なんだろうけど、アニメとして動きがつき、声優の演技までプラスされるんだから、気合入れて作ったらそりゃさらに面白くなるでしょという単純な感想。個人的には花守ゆみりの演技が、スッと入ってくる感じでなかなか良かった感じ。あんま言葉を尽くしても言い切れないだろうから面白かったの一言で終わることにする。