薔薇王#17

 ついに主人公が王になる話。まぁ怒涛の展開といったところで、前回のようにサブキャラにもエピソードが欲しいと思っていたことも今回は頭に上ることもなかった。やっぱり白眉は、母親に扇動された民が暴徒化し押し寄せた前で行う演説。主人公は二人で示し合わせて演技をすると決め、そうしてるはずなのだが、彼の胸中に去来する想いをクローズアップして、実はあの演説は演技なのではなく彼の本心でもあったという構図が素晴らしい。主人公が本心を語ったからか、それとも単に民が演説に心打たれたのかはわかんないが、それで主人公を歓呼で迎えるのも納得の流れになっている。しかも原作は戯曲だから劇中劇がそれを踏まえたものであるというのもなかなか。
 主人公の半陰半陽設定も今回も輝いていて、臣下と王妃を天秤にかける仕組みを作って、今回は臣下に嫉妬させる、しかし王妃もねんがんの日を迎えたというのに感動のシーンという演出でもない。臣下との絡みだとBL好きにマッチするし、王妃との絡みだと純愛モノ好きにマッチするからそつがないというか。主人公の言動も、これは男由来のものだとか、女由来のものだからというジェンダー要素を排除して中性化しているのも上手い感じ。元ネタのシェークスピアもそれはそれで優れているのだけども、それを再構成した原作もエライ巧妙に組み立てたもんだなと感じ入った次第。


モブせか#6

 学園祭でドタバタするがなんか助けを求められる話でヒキ。まぁ滅茶苦茶な話なんだけど、これが楽しいというか。主人公にコテンパンにされた貴族連中がホストクラブというのも笑っちゃうし、それに資金力のある貴族の娘たちが殺到するのも無理ないわ…みたいな妙な納得もアリで、ナニコレ?って感じ。王妃へのプロポーズも現代の倫理観でいえばオカシイのだけども、別に前近代では王は王で、王妃は王妃で複数の恋人がいたというのも割とよくある話だし、プロポーズというのもそれはそれで王妃の権威が上がるだけで別に他の連中が本気にすることもないし、あーみたいな。で、別にこの世界は史実に則った中世世界ではなく、荒唐無稽なゲームなんだから好きにやっちゃって全然構わないという。やっぱり物語の転がし方を心得てるんだろうなという感想。

このヒーラー#5

 宿屋と魔女とのコント二題。今回はギャグのかけあいというか切り返しにキレがあって、そう悪くはなかった。ただ、やっぱり違和感はあって、しかしその違和感もどうやらこの作品の構造にあるらしいというのがちょっとわかってきたというか。この作品のかけあいは基本ハイテンションスピードであるはずなのだが、ヒロインがそれに合ったキャラ付けではないんだよな。彼女はマイペースで怒ったり喜んだりの感情の起伏が乏しいキャラなので、元々喰い合わせが悪いという。相方がハイテンションなので視聴者はそこで一旦感情モードが昂るのだが、ヒロインのターンになると冷や水を浴びせられてしまうから、クライマックスに達することがない。なので、テンポ感やネタそのものの面白さで勝負するしかない。男の方はなんとでもなるけど、ヒロインの方はこれ結構難しい役なんだといういうことに今更気付いてしまったというか。まぁお笑いのライブとは違って、ダメなら何度でもやり直してるんだろうし、注意深く聞くとやるべき演技はやり尽くしてるんだなということが分かるんで、あんま安易に三次のお笑いと比較してもいかんなという。
 しかし、ヒロイン役の@大西亜玖璃、まえせつのメガネの役もやってたんだな。ggってビックリだったのはまえせつの主人公が赤髪のほうではなくメガネだったこと。歌の歌える声優というポジションらしくて、OPEDも担当してるし、この難しい役柄をよーこなしとるわという感じはする。