回復術士#12

 ノルン姫も調略してEND。父王と妹姫がラスボスに近いと思っていたので拍子抜け。個人的にはブレットを倒して魔王を味方につけて王国を滅ぼす総決算に父王と妹姫を血祭りにあげて復讐のフィナーレにするのかと思ってた。人気が出ずに話を〆るのならその方向性だったのだろうが、アニメになるぐらいだからなろう作品としては大成功なわけで、続けるにあたっては主人公の目標を設定しなおしたのだと思う。まぁわからんけど。
 最終回のヒキがどっちにでも転びそうな結末だったので、原作者がツイで二期決定ではないが検討はしてると表明してたから、おそらく続編あるのではと思った。仕事だとお願いしたことを上司が検討といった場合にはほぼ脈なしだが、こういうものだと検討してるといった手前、やはりありませんでした…みたいな落とし方は信用を無くすので、ないなら最初っから言及すらしないハズ。しかし原作者、暗殺貴族という他の作品もアニメ化とか書いてたから、元々文筆関係の仕事をしてたのかな。タイトルで回復術士という単語を見たときにはパッとしねぇなという印象だったのだけども、蓋を開けたら物静かなというよりは復讐の炎をメラメラ燃やすという、単語の印象からすると逆の激しさだったから、わからんもんである。展開は平凡と感じたが、キャラが独特だったからバランスをとったのだと思う。視聴者(読者)に二つのものを見せるとして、両方を奇抜にしてしまうと明後日の方向を向いてるとそっぽを向かれるので、キャラを奇抜にすればストーリーは平凡に、ストーリーを奇抜にすればキャラは平凡にするのが鉄則。シナリオに深みは感じられなかったのだけども、それはもしかしたら原作には行間を読ませるだけのものがありながら、アニメ化でそれを再現すると説明っぽくなってテンポ感が失われるとか、省略するだけの判断をしたか、表現する実力がなかったか。正直なところ、なろうは何でもやって構わないのであって、商業化して衆目にさらすのはそりゃ業界の判断の是非でしょとも思うからそのへんはなんとも。盗作疑惑があるというのを目にしたのだが、そんな世の中なんらかの手本はあるのであって、重なり部分のどこまでを盗作と判断するかだけの違いであり、そんなこといったらストーリーは変えてもキャラの設定は丸々拝借してる二次創作なんて許されないことになってしまう。別に本歌取りというか既存のものの焼き直しであっても、それを喜んで支持してる人がいるんなら需要があるってことだし、商業作家ならまだしも、なろうだったら好きにすれば?みたいな感じではある。
 しかし最後の最後でよくわからんのが、ブレイドは(おそらく)殺して、ノルンは味方にするその基準がよくわからん。生かすのは利用価値があるからというエクスキューズがつくものの、別にブレイドだって記憶や性格を改変して手駒として使えば?と思わなくもない。今回の嫌がってるのに強制的に殺すとノルンに投げかけたセリフからは、なろうでこの連載が始まった頃までのアベの強行採決の連発が想起されるわけで、アベに仮に利用価値があるのだとしても、岸信介からの流れがあるから、後顧の憂いを断つためにやっぱ一族誅滅しとけという結論にしかならない。折しも桜を見る会の件で不起訴とかフザケタ報道がなされてるタイミングなので、これもまた奇なりみたいな感じはある。モリカケはあれだけネトウヨが法律的に問題ないといってたのに、桜の件については法律違反ではないからオッケーと言ってるのは一人としていなかったので、あー上級国民治外法権ですかぁーみたいな腑の落ち方ではある。ノルンが打倒されるタイミングとアベがのさばるタイミングが交錯するのは日本国民としては思うところがあるが、逆に主人公の復讐の旅は続くという展開からは、日本もまた日暮れて途遠しという意味では奇妙に一致してるとはいえる。そのへん、原作者も世の中の雰囲気をよく読んで、感情を突き抜けさせる才能はあるんだろうなといった感じ。二期決定してるはめふらも防振りも、何の工夫もなければおそらくストーリーは階段を単に上っていくだけの単調なものなのだろうけど、これもその範疇ではありながら、ちょこちょこ考えさせるところがあってそう悪くはなかった。エロ描写は今一だったが、個人的にはイヴが一番エロかったような気がする。いやよいやよといいながら、興味だけは深々だったのがこう外形的には全く逆なんだけど、それ以外のヒロインズが下品に見えてしまうから、その踏み込みがあって一段と精神的なエロさが際立ってたというか。毎回入れるのがノルマだったんだろうけど、間延びしてたんでもうちょっと減らした方がという気はするが、前々から言ってる通り、減らしたところでシナリオを充実させるだけの尺が稼げるわけでもないのでなんとも。