異世界食堂 第12話

 あ〜、29日であることゝ同時に土曜日でもあることはめったにないからやれるのか。
 いよいよ最終回だが、そういう雰囲気は感じられず。続編あるのかな。豚汁はともかく、コロッケはもっとキャラとの因縁が語られるのかと思っていたらそうでもなかった。が、最終回としてこういうありふれた料理を出すのはなるほど。
 終わってみればそこそこ悪くなかった感じ。個人的な転回点はキャラ達が自分の好みの料理をめぐって喧嘩した回から。それ以降はキャラと自分が馴染んだのかしっとりした雰囲気で穏やかに楽しめた。それまでが大変。
 個人的には西欧ファンタジーモチーフのキャラに今一必然性を感じなかったのだが、前にも述べたとおり、今となってはグローバリズムの進展とJRPGの影響とで却ってこういうキャラクターのほうが馴染みの深い世代が増えているのかも。西欧メインとはいえ、アラブも出てきたんだったら、中華ファンタジーでもワールドワイドに取り上げてもよさそうなもんだが、どうなんだろ?。原作者の引き出しがある程度なくなったら出てくるのかもしれないが…。まぁキャラクターはファンタジーでもドラマ部分では別にファンタジー由来というよりは人間ドラマそのものであることがほとんどなので、原作者の中ではファンタジー由来のキャラクターにそれほど拘泥しているというわけでもなさそう。
 この作品を見て面白かったのが、料理のうまさを、いわゆる映像(音響)の表現技法を尽くすのではなく、視聴者の体験から引き出していたこと。料理をモチーフとした作品といえば自分はどうしても幸腹グラフィティを思い出すのだが、あれは結構絵に凝っていながらそれほど食欲を喚起させるってことがなかった。これもそうだが、甘々と稲妻なんかも幸腹〜よりうまそうに感じたのだが、やはり視聴者の記憶に働きかけて、いわば条件反射を利用したとでもいったらよいのか、人間の記憶から味を再現するって手法のようにも思える。が、そう考えても、別に幸腹〜のほうだって、別に真新しい料理を取り上げているわけではないし、ならば何が違うのか?というところだろう。まぁまだ自分で突き詰め切れてないが、幸腹〜のほうは食べている箇所をクローズアップしていたから、視聴者の意識を記憶から遠ざけてそのシーンに釘付けにしているから、これもいうなれば記憶から味を再現している途中で気を散らしているというのが考えられるのだが、まぁこれは自分でも自信はない。少なくとも異世界食堂のほうは記憶から味を再現する際の邪魔はしないで、美味しいと思われる表現でうまく刺激しているぐらいのことは言えると思う。で、これは例えば物語の解釈は各人それぞれである、なぜならば読者はその経験に即して物語を読み解くからであって、だから物語の肝だとか結論部分はあまり具体的にせず、敢えてあいまいにして読者の解釈方法に任せるという手段をとるというのと似ている。
 ドラマ部分だって、基本的にはありきたりだし、メッセーヂ性なんて気にしたほうが負けって感じで、そうそうこの作品ならではみたいなものは見つけにくい。が、馴染みが深くて別にそれ自体が高級料理のようにうまいとは意識しない家庭料理のよさを再発見するだとか、上記の味の再現技法だとか、声優の演技の使い方だとか、そういった統合手法は結構面白いものを感じた。慣れてしまったら居心地がよいのも加点要素だな。