天使の3P 第12話

 身体の部分カットが多いのは…。
 最終回としては響よりは演奏者に焦点をあてた作り。後半はライヴ描写が主なのは定番だろうし、そこそこ手堅い感じ。前回から作曲の手引き編って流れだけど、これは素人にもわかりやすい。しかも小説・漫画と違って実際に音が聞けるのでアニメならでは。
 この作品を視聴すると決めたときは、雑破業が脚本をやっているからというのが理由で、実はそれ以上の動機がなかったのだが、ロリバスケの原作者ということでどうしてもそれとの比較をしてしまう。結論としてはロリバスケより次元の違う出来というもので、なんか感慨深い。バスケのほうはテーマがスポ根でないスポーツものという風に捉えていたのだが、個人的にはそういう切り口は大事だと考えていても一般ウケはそれほどしないだろうなという感じ。が、この作品だとひきこもりからの脱却という如何にも今風の問題であって、これは自分なんかはそれで困っている人にぜひ見てもらいたいと思うぐらいのもの。何度も言及しているが、本人を直接助けるんじゃなくて、本人が得意分野で他人を助けようとすることによって結果的に自分も助かるという構造、というかそういう環境にすべきというのは条件を満たしているのであればかなり有効と思われるので、救いになる人もいるんじゃないかと思うのである。なので、なんで露骨なロリ描写?というのが残念なのだが、そのへんは大人の事情云々なのかな。児童養護施設というかこれならむしろ里親制度に近いと思うが、そのへんの子供の貧困問題も扱っていて、さすがにこれについてはあんまり参考になることは少ないかなとは思うんだけど、如何にも現代の社会問題に切り込む態度はやはりバスケと比べると評価したい。なので、これはもともと素材が良かったのか、それとも素材は今一だが雑破業の仕事っぷりがよかったのかは今一判断つかないな。まぁ片方どっちかだけの功ってことはなさそうだから、そのへんはあまりツッコんでも仕方がないだろう。
 まぁそんなわけで、やはりこの作品も最初の数話を切り抜けるかというのが勝負。自分は最初の2話分視聴した段階ではこりゃダメだと判断してたぐらい。が、話が進むにつれ、主人公が主ではあるが各キャラが重層的に成長していく様は圧巻なので、構造に注目する限り断然高評価。
 あとは、これも前述したが、物事がうまくいってないなら外部の風を思い切って入れるべしってのも注目すべき視点。内部の人間だけで解決できないからうまくいってないわけで、そこだけでうだうだやっていても同じことの繰り返し。まぁ町おこしあたりなんかは町が必死で捻出したカネを外部のコンサルがでたらめな助言をしてつまむだけつまんでドロンってことも多いので、そのへん信頼にたる相手なのか見極めが必要だとは思う。が、外部の人間が臆面もなく主張することは、もしかすると内部の人間であっても周囲を憚って口をつぐんでいた事を代弁してくれるという作用もあるわけで、そのへんのきっかけ作りと考えても効果は侮れないというのも希美の回で見たとおり。
 まぁなんにせよ、惜しいというよりはそこを一歩進んで食わず嫌いしないでちょっと視聴しても損はないぐらいの出来だとは思った。