異世界食堂 第9話

 職人だと、大量生産に必要な精度とか理解できるのかな?。
 ん?、なんかドラマ部分がまともになってきたぞ。とはいえ、深夜食堂が庶民のペーソスを含みながら推移するのに対して、こちらはそういうテンプレ以上の味わいは少なめ。浅いと言われたら浅いんだけど、中高生向け+アルファだと考えるとこの程度で構わないと思う。
 しかしなんだな、砂漠の地に住まう人々を取り上げてコーヒーが普及しているってもろアラブ社会なわけだが、そういう設定を取り入れるんだったらホント現実の外国人でよくね?とは思う。が、なんというかグローバル化で各国の文化が均質化してきてはいるので、今となっては過去の文化として描かなくてはならないのかネェ。自分が大学生のころ中国を旅行したときには人民服というか中山装があたりまえだったんんだけど、その後旅行するたびに劇的に減り、おそらく今となっては着ている人のほうが少なくて、そして日本人と変わらない服装になっているはず。今中高生ぐらいの世代だと中国人といえば人民服っていう認識は全くないんじゃなかろうか。ブルースリーやジャッキーチェンよりも後だから、旗袍長袍のイメーヂも希薄かな。日本人ですら着流しでいるのを見かけることはないわけだし。
 そうなると各国の文化の違いは昔ほど顕著でなく、しかし洋食を驚くわけなのでそれを強調して敢えて顕著な文化の違いは存在することにして、ならばその極端な例としてファンタジーを取り入れたってことなのかね。なんかしちめんどくさいな。
 ドワーフの描き方も好意的で、これがいちゃもんつけるのは無粋ではあるのだが、力仕事を請け負ってなおかつ背が低いって普通に考えると被差別階級ってことだろうからね。人の嫌がる仕事をさせられて、しかもそれに対する正当な報酬がもらえないから栄養状態が悪く、中世ぐらいだとそれが体格につながるわけで、本来なら存在自体が悲しみを伴うものであるはず。人間扱いされないからドワーフという別種族なわけで。
 ほんでもって今回ちらっと塩辛い魚しか食ってないって台詞があったから、これはどう考えても保存技術が拙かった昔のことを想定して書いているわけで、これは他国のことゝいうよりは日本でもかつては山村部では保存が利くように大量の塩を使った干物などを差しているはず。そういうのが刺身でも食えるような海産物を調理した料理を食ったらそりゃあの反応になるでしょというのは納得なんだけど、けどそれが実感として理解できるのはもう現代ではいないといってもよいのでは…。だからなんなんだといわれても困るが。
 まぁいろいろありはするんだけど、今あたりまえに食えているための技術が実は昔はあたりまえではなかったんだよってほのめかしは、押し付けがましくもなく個人的には微笑ましいものではあり、またこの誰でも知っている料理の再発見という意味ではそれほど悪くもないので、この作品の評価は徐々に上がってきているというところ。