フジワイナリーのワイン呑み比べ。

 イチジクワインを造った勢いで、ちょっと他のフルーツワインにも興味が湧いて試しに入手してみた。ggってみると、割と町おこしの一環で、その土地で取れる果物をワイン化する企画はそこそこヒットする。が、いかんせんその地域に一種類の果物ワインしかなく、種類飲んでみたい自分としてはどうにもめんどくさいのが先に立つ。そういうのを考慮すると北海道のワインがいろんな種類のワインを作っているのだが、どうにも食指が動かない。そこで見つけたのがフジッコのお豆さんのフジッコがワイナリーを持って実験的なワインを作っているようで、取り寄せてみた。



 本数ある割には、ブドウ以外のものは2つ。いちおう品種別に羅列してみると、ブドウワインが甲州デラウェア、ナイアガラ、巨峰。そして桃ワインにキウイワイン。


 瓶の底に白っぽいものが沈殿しているのがわかるだろうか。これが澱らしい。あまり精製せず、昔ながらの処理で作られているというのも一つのウリらしい。

 ちなみに購入したもう一つの理由がコレ。瓶が目的でもあるのだ。自家製のワインを入れるにしろ、使用済みの瓶を利用するとして、コルクなり王冠なりを使うのがめんどくさいので、こういう密栓できる構造のものが欲しかったというのもある。




 いちおう最初は普通のぶどう酒をということでリファレンスとして甲州を飲んでみたが、これはビックリしたことに全然口に合わなかった。なんかエグい味しかしない。送られてきたときはクール便なので、しかも到着してスグに飲んだから痛んでいたということはないのだが、もしかすると店での保管が悪かったという可能性もある。が、一緒に購入したほかの四種がこういう味ではなかったので、これだけ痛んでいたというのも考えにくい。





 これは巨峰。これは普通の味だったかも。本などを読むと、生食用のブドウとワイン用のブドウはやはり用途が違うだけのことはあり、あまり生食用のブドウからワインを作ってもたいしたものはできないとかあるのだが、これはそういう感じはしなかった。




 これはナイアガラ。デラウェアの画像は用意してないが、基本的に見かけはデラウェアとナイアガラのはほゞ一緒。味はデラウェアもナイアガラも生食のブドウの風味が残っていてこれぞフルーツワインの醍醐味といったところ。甘口に作られているがおそらく全部アルコール発酵させるのではなく、途中で発酵を止めているのだろう。アルコール度数も10%未満。

 ちなみにこれは瓶を横にして保存したときの澱の様子。




 で、これが桃ワイン。これも発酵をかなり早い段階で止めているらしく、そのおかげか桃の風味はかなり残っている。いうなればネクターの酒版という味で、ネクターより水っぽくてちょっと辛めといった感じ。が、正直なところ(前にも自分は別に酒が好きではないと言ったが)、普通に桃ジュースを飲んだほうがうまいと感じる。このワインが不味いというわけでは全然ないのだが、なにもこの桃ワインに1600円も払うより、桃ジュースを普通に買えばもっと安いし、酒にしたいのなら桃ジュースを使ったカクテルだとか酎ハイで十分じゃね?と思う。




 これはキウイワイン。独特の味わい。どこかで飲んだことがある味だな…と思っていたのだが、飲んでしばらくして思い出したのが紹興酒。キウイの味はほとんどしない。というかキウイの味だと言われたらそういうのが少しぐらい残っているかもしれないが、それ以外の味が強くてまったくキウイの風味が感じられない。もしかして、これも製造してから時間が経ち味が変質しているのかも。この味を肯定するのなら、やはりこのワインに1600円から払うんじゃなくて最初から紹興酒を買う。


 まぁそんなこんなで、ブドウ以外の果物ワインってのは割と難しいのかも。北海道ワインあたりの果物ワインはあまりエグみはなく、元の果物の風味をうまく残して作ってはいるんだけど、甘ったるいという印象があって今一な感じ。とはいえ北海道のはかなり昔にちょっとだけ飲んだ記憶しかないので今は改良されているのかもしれないが。
 果物ワインってのは、やはりブドウ以外の味を試したくて購入するという場合が多いだろうから、期待していた果物の風味が感じられないとがっかりするだろうし、そうなると糖分を全てアルコールに変えるような発酵ではなく、途中で発酵を止めて糖分も風味も残すという製法になるのだろう。そうすると甘みがべたつく感じも残るだろうし、酒というよりはジュースに近くなり、そうなると桃ワインで述べたように、なぜ果物ジュースじゃなくて果物ワインなの?ということになる。果物の風味が多く残っていたり、糖分が多いと料理に合わせるのに苦労もするのだろう。ほとんどの果物がワインの原料になるのに、ぶどう酒だけが広く飲まれているというのはそういうところに理由があるのかもしれない。



 フジッコワイナリーの別のワインは知らないが、このクラノオトシリーズと荒ろ過キウイワインの6本だと、デラウェア=ナイアガラ>巨峰という順で、他のワインはやめとけといったところ。個人的にはナイアガラの風味が良かったのだが、その風味がキツく、おそらく料理に合わせるのがむずかしくて、単体で飲んでも飽きがくるだろうから、デラウェアのほうがお勧めではある。それでも甘ったるいワインが好きでないなら買うべきではないとしか。逆に自分のように元の果物の風味が色濃く残っているジュースのようなワインが好きなら、このデラウェアとかナイアガラはお勧め。