自民盗による地方の解体が進み、おそらく終焉段階に。

 んHKの17時台のニュースでハロウィン特集をやっていて、これがハロウィンに好意的な解説委員を前面に押し出していてびっくりした。理屈としてハロウィンは欧米の収穫祭であって、日本の収穫祭と性質は変わらないから、あとは全年齢層がどれだけモラルを守って発展させていくか…という自分的にはとんでもない方向に論が進められていて開いた口が塞がらない気分だ。なんとなれば、それは日本人による在来文化の放棄と宗主国の文化の積極的な受け入れであり、そこにはおそらく文化的な包摂は存在しない性質のものだからだ。いや、もちろん日本は元来のあり方として外来文化を積極的に取り入れる気質なので、そう今に始まったことではなく、2000年ほどの歴史が存在する。とはいえ、これまでの文化輸入というものは、それまで日本が持っていなかったものを和風にリファインして取り入れるという形だったのに対して、ハロウィンは、もともと日本が持っていたものをわざわざ放棄して新しいものに入れ替えるという意味において新段階にあるものと思われる。日本の在来の秋祭りというのは、農村での収穫感謝祭というものであって、いまや若者は地方で農業に従事するものも少なく、かといって農業従事者が地元の文化を守ろうにも人はおらず、祭りの担い手にも事欠く有様で、保存するのを諦めたという段階なのだろう、では都市部に吸い取られた若者が、形ばかりは地方の秋祭りに似せた擬似秋祭りにも(生活実態と合わないがゆえに)親近感を抱くことができず、かといって動物としての人間が秋に羽目を外す機会をどう得るか*1というところに、外国文化であるところのハロウィンが心の隙間をちょうど埋めるものとしてやってきたというのが現状なのだろう。
 これが面白いのは、やはり地方が在来文化の担い手を失うほどに衰退し、今や消滅期に入っていることが大きいのだと思う。もうずっと地方には就職がない状態が続いていたが、それでも年老いた両親の面倒を見るために地方に帰る場面が極小量ながらも存在していたのだろうが、その人間の還流が今や完全に途絶したのだろう。地方もロードサイド文化が普遍化することによって、衰退はするけども、その勢いは緩やかだったのが、おそらく加速度的に衰退する段階に入っていると思われる。すなわち、もう都市が地方から吸い上げられるものはすべて吸いつくして、見向きもしなくなった段階なのだと思う。
 いやぁ、なんというか、自民盗は子鼠政権のころから都市政党化し、地方は切り捨てにかゝっており、やり方は稚拙であったが福田麻生民主盗政権時にはまだ地方の活性化がなされていたのが、アベ政権になって、地方切捨てが激しくなったのはフクイチへの対策がおざなりになったことや、TPPへの対処、そして選挙区の合区を見れば明らか。地方創生というのも、結局やったのは一部の人間にしか恩恵のなかった商品券であって、地方が活性化するようなことは何一つやってないのが実情だ。TPPでは主要五品目以外は戦う前から白旗を上げるような有様で、主要五品目ですら何年後かには関税撤廃になる模様。アベはTPPで切り捨てる産業にはチャンスだという言葉を使って、切捨て色を無くしているが、当の農奴はわかってない様子。まだ自民盗に投票すれば何とかしてくれるとか思っているらしい。おそらく一度も選挙区に住んだことのないアベが地方のことなどに思いを致すはずがないのだが、争点はアベノミクスとかいう前の選挙で騙されて、TPPで農業自由化、戦争法案の強行を目の当たりにしてもまた自民盗に投票するんだろうなと思うと、地方どころかもう日本には安住の地は得られないんだろうなと思わされる。
 ハロウィンの話でいうと、別に事態が深刻化しているというわけでもなく、地方は「ハロウィン?、なにそれ?」といったところがほとんどで、都市部でのムーヴメントだとは思うが、なにしろマスの経済的方向性を決めるものである。戦前にはほとんどの家庭で顧みられることのなかったクリスマスという行事が今や当たり前*2になったことを考えると、時間はかゝっても、日本の秋祭りが伝統として地元民が受け継ぐものとしては存在しなくなり、すべての祭りが住民の生活を基盤としない、言わばゼニを巻き上げる経済的な収奪装置として一般化する結末が決定してしまったんだろうなとは思う。
 なんか自分も地方が勢いづかなくてもかつかつにやっていけるかもしれない方法は、少なくとも自民盗政権が続く限り考えても無駄であることに気がついた。そもそも地方の衰退は大きな流れであって、小手先の手法ではまったく意味がないこと。政府が少しでも日本全体のバランスの取れた発展を考えて政治をしているのならともかく、現実はまったく反対であって、地方に負担ばかり押し付けるものであるから、現状で効果のあることを考えついても、数年もすればそれすら全く役に立たないものになるので、空しいだけだわな。今地方と呼ばれているところが滅びてそれで問題は終わりなのではなくて、都市である所が分化して今の都市と地方の格差問題に変化するだけであり、またその期間は10年単位ではあるので、今日本の衰退を食い止めて安定化するためのグランドデザインを描くよりは、自分がよりよく過ごすために衰退化する地方に巻き込まれず、かといって軋轢の激しい都市部を避けてどこにどう住むかを考えたほうがよっぽど合理的ではあるんだよな。

*1:肉体的機能が低下する真夏や真冬ではなく、過ごしやすい気候で体力が回復し、しかも食べ物が豊富な秋に動物としてのエネルギーを発散させる場として秋祭りがあったりする。

*2:欧州ではクリスマスは聖夜だが、宗教的な背景がない日本では性夜になってしまっているが