君が僕を 3 (ガガガ文庫)、読了。

 これは正真正銘今読み終わったところ。うーん、泣きました。ヒロインは第1巻だと切れがあるんだけど何するかわかんないといった、抜き身の刀っぽい雰囲気だったのだが、なんつーか、もう巻を重ねるごとにそういう雰囲気が抜けている。かといって節度があるような感じで、まぁでも本卷では主人公より、ヒロインの立ち居振る舞いに泣かされたんですけどね。
 そういう描写がありはするんだけど、基本当該場面描写はほとんどなくって、基本ほのめかしで事前にねっとりと準備をして、省略、事後で読者に存在を認識させるという形をとっている。それこそ文学作品は濡れ場そのものを描写するものもある中、これは自制が利いているというのか、いや、なんだろうな?、やっぱテーマは恋愛には無いというか、そういうのが必要ないというか、うまくいえないなぁ。でも行為がそんざいすることの必然性があるのか、無くても十分話は成立するのだが、存在することによって生まれるものがあるんだろうか、そのへんはまだ自分の中で検討してないんだが、いやどうなんだろ?。
 で、主人公なんだが、百合小説という分類はされているけど、アニメに良くある皮は女だけど、中身は男のメンタリティと考えてもおかしくない。というか主人公のあの考え方、感情は実際の女もあぁなのかどうかこちらもよくわかんないのだが、男だってあのような考え方をしてもおかしくなさそうに思えた。但し、主人公とヒロインに性差があったら、この作品のような繊細さは絶対に生まれないわけで、文系青年と繊細な少女が恋愛抜きで友情を深めたらこういう話になるんだろうなという風には思える。いや、こう書くと著者に怒られてしまうが。少なくとも女と女とのかけあいがこんな感じであるというのは自分には確かめようが無い。が、女と女がこういう関係であったらよいなと男の読者が女を神格化して満足する類の小説でないのは確か。そして男同士でこういう会話が成り立つか?と言えばそれもNoと言えるのも確か。仮想世界を組み立てゝ、そのなかで珠玉の関係性を構築したと言えば当たらずとも遠からずか。
 自分としてはこの第3巻でちょっと度肝を抜かれたんだけど、密林ではこの巻だけレヴューがなかった。不思議。それからこの巻でちょっと感動したんでどろぼうの名人だったか、初期作品2巻を早速注文してしまった。今から第4巻を読むよ。感想はこの17日のエントリーには書けなさそうっぽい。

今、はてなでこの巻を含むはてダを見たら全巻中評価が良くなかった。感性が他人と違うんかね。