神様ドォルズ 総評

 くるくる動く表情にやられながらも、最后までシリーズのミッションを明らかにしない手法ってのはどうなんだろ?と思ったが、結局最后まで楽しめてしまった。途中でこの作品のキモが心の奥深くにある感情の表出(しかも全然隠れていないという)であることに気がついてから、キャラがキれるのを半ば期待しながら視聴してた。もちろん案山子が権力のメタファーであるってのは最初からそれほど隠されていたわけでもなく、でもロボットものに見られるような能天気さが排除されていて、エンターテインメントに振った作品ながら子供騙しという印象はなかった。
 ヒロインも魅力的だったな。崩し絵で極端に表情付けしてるんだが、それがいゝアクセントになっていた。包容力のある母という記号性を持つ日々乃に、甘える娘という記号を持つ詩緒、まひるは少女性を持っており、あくまでキャラが被らないようになってた。もちろんおんなのこ向きに男性キャラも魅力的な配置なんだが、それについての言及は省略。
 ヘンな話、今視聴を終えている5作品、ゼロ魔F、たまゆら、ベントー、イカ娘と比較すると、一番エンターテインメントゝしてバランスがとれていたような気がするな。まぁニヤニヤしながら何が始まるんだろう?とばかりに期待しながら視聴し始めるんだけど、見ているうちに身を乗り出すような展開が現れるって意味ではよく出来たストーリーなんだよな。テーマにしたって、あまり深くは掘り込んでいないが、その分考えすぎて視聴自体が楽しめないってことはなかったし、そういったところではハリウッド的なものと似ている部分はあるんだけど、典型的なハリウッド映画みたいに観客を笑かして泣かせてしまえば仕舞いってことはない。かといって各要素をお洒落に配置したらそれで終わりって現代的なわけでもなくって、情念の深さも描けてるんだよな。なんか自分が今までは社会問題と絡めて感想を書いてきたので、こういう作品だとちょっと書きにくい。なんか難しいな。
 というわけで、ちょっと評価はつけにくい。たまゆらはお行儀が良いからスタッフに好評価をつけてくれってチロチロ横目で懇願されているような気がするんだけど、この作品はあたり構わずとにかくぶん回すって感じだ。おもしろさとかダイナミックさはたまゆらより上なんだけど、じゃぁ物語を振り返ってみるとドタバタが稚拙っぽく見えてしまう。おもろ+をつけるのはどうかという感じだし、かといっておもろだけだと物足りない。そのへんの微妙な位置という感じで保留して、ちょっと評価から逃げておく。あ、繰り返すけど続編は強く希望。