ゼロの使い魔 総評

 いやぁ、終わったねぇ。第3期が終わってかなり間が空いたんだけど、もうてっきり続編は立ち消えになったんだろうなと思っていた。だから、この第4期があると聞いたときにも特別深い感慨も無く、せっかくだから最后までつきあってみるかぐらいの態度だった。
 で、壮絶なダイジェスト風味でげんなりとはいわないまでも、常にもったいないという気持ちが先行していた。そもそも第1期を視聴するにあたっても、当時流行っていたツンデレもので、しかも当時随一のツンデレ声優釘宮理恵のキャスティングで、「世の中の男が見むとすツンデレなるものを見むなり」といった感じで、それはそれは軽い気持ちで感想対象作品にしたのだ。で、その第1期もやはり軽い作品という印象だったのだが、割とジュブナイル的青臭さはありながら、構造はしっかりしてるなという意外な印象を持った。
 今回けっこう乱発したが、シリーズ通して安っぽい展開が目白押しで、エンタメ方面に寄り添った作りではあるんだが、じゃぁ実際にどのようなエピソードがどんな役割を負わされており、そしてそれがどのように配置されているのか?を考えると、わりと現代の社会問題も仮託した構造のしっかりした骨組み*1が見えてきたりもする。「ホラホラ、オマエらこういうの好きなんだろ?」という投げかけもありながら、じゃぁ読者に媚びた話作りばかりでもないというのが割と面白かった。バカップルぶりにもやりすぎといった感じはするのだが、それでも感情面でのバランスは取れているような気はしたな。噛めば噛むほど味わい深いってほどでもないんだけど、見てくれの派手さとは裏腹に下ごしらえのしっかりした料理って感じで、そのへんは上手いなと思った。終わってみれば少年ヒーローものにありがちな、主人公がみんなの支援を得て超人的な働きで強大な敵を倒すってんじゃないんだよ。才人は結局のところルイズの魔法の力とか、戦闘機の技術力を借りて倒したのであって、どこにでもいそうな平凡な少年が、ちょっとずつ成長して、別に誰も思いつかなかった凄い方法を考え付いたわけでもなく、単に人の想いに応えて自分のやれる精一杯の小さな決断をしたってのがね、メッセージとして親しみを感じるというか。あたりまえのことをだれでも出来る方法で、ちょっとした勇気でおこなったってのがね、まぁテーマなのかと。しゅごキャラだとかプリキュアが小学校低中学年ぐらいまで向けの童話なら、これは中高生向きの童話なのかねと思ってみたり。
 正直第3期までの話はほとんど忘れちゃってるわけなんだが、そのためか第4期のダイジェスト風味には参ったという印象だ。だが、これだけ間が空いたというのもきっと第3期で弾が尽きたんだろうなという想像しか浮かばない。きっとこの第4期を作る予算というかスポンサーとかゞなかなかつかなかったのかなと。まぁ自分は原作のファンというわけでもないし、なかったらなかったでそれで済んでしまってたと思うんだけど、実際にこうやって終わってみると、話を〆るところまで続けてくれて感謝という気持ちだ。きっとこの第4期放映に向けて奔走したプロデューサー以下のスタッフの頑張りがあったんじゃないかと思うのである。大人が見てこれはちょっと恥ずかしいという外見なんだが、さすがにそうであってもこの作品は一押しなんだよとまで主張するほどの印象は自分には無かったかな。読み込もうとする態度なしで視聴すると安っぽさが目に付くが、読み込もうとするとそれなりにスタッフとのコミュニケーションが成立するような作品であったと思う。おもろ。

*1:さすが、ネタで10代で読んでいないと恥ずかしい必読書に入ってたりするが…。