ゼロの使い魔F 第12話

 ニの使い魔なのか!。
 まぁまさか湖底に沈んでいたからってF-4ってことはあるまいとは思っていたが、才人が基地に忍び込むときにはF-15が写ってたからなぁ。でも零戦艦上戦闘機だったからあくまで海軍機にこだわったということなのかな。
 しかし、ホンっっっっとぉ〜に尺が短いのな。もう伏線もためらいも全然無く話が進む進む。なんつーか、途中の手順を省略した料理番組みたいだ。しかも王道展開というより、フォーマット通りのチープな作り。が、不思議なことに、念頭ではそう考えながらも話の進め方がまずいと感じることはなかった。ホント人間ってそれを押せばた易く感動できるスイッチがあって、それを押されゝば必要十分な存在なのかもしれないな。
 しかし、結構見どころがあるのだ。一番驚いたのは才人が立てたルイズフラグ以外は見事にへし折ったという決断。フツー視聴者サーヴィスを考えるとするとハーレムエンドだろと思うのだ。もちろんもしこの作品が続くとしても、ルイズ以外のヒロインは才人に思いを寄せていてそれなりのドタバタは描けるような余地は残っているんだけど、ヒロインを集合させて全員の目の前でルイズ一穴宣言をするとか、ティファニアとの使い魔契約を消滅させるとか、「ほゝぅ」と思わざるを得ない。
 今回の話で一番目を惹いたのが、才人とルイズの結婚式で、証人および立会人としての神父がいなかったこと。普通宗教ってのは通過儀礼のときにしゃしゃり出てくるものであって、誕生・結婚・葬式なんかは大抵媒介者としての役割があるもの。だが、才人やルイズにそれぞれ付添い人はいても媒介者はいない。祭壇があっても“神”に誓うという形をとらない。むしろ一人の人間と一人の人間の合意のみで結婚が成立し、それを出席者が証人(というより二人が夫婦になったという告知を出席者にしているだけのように思えるが)他者をまったく寄せ付けていない。これは結構特異な方式で、まぁ地球とは違う価値観だからツッコむのもアレなんだけど、普通二人が個々の存在ではなく、ペア組みをしたというのは社会的な形態変化が行われたということを示すので、それは二人だけでなく周囲の合意も必要とされるのだ。人間というのは個々の存在であっても一人で生きていけるものではなく、たとえ没交渉の度合いが強くとも社会の一員であることには間違いが無い。個々の人間の集合体である社会というものに支えられて生きているわけで、また結婚というシステム*1も社会的な仕組みなのだから、当然にして社会の合意が必要とされる。二人で合意したから周囲の連中は文句を言わずに認めろというのは、もちろん実際の結婚はそのようなものだから別に問題は無いが、たゞ建前として“社会の承認を受ける”という形をとることが重要視される。そういった意味で宗教人でなくとも媒介人(つまり二人もしくは両家以外の他者)は必要とされてきたわけで、当人同士で合意したからそれだけで成立というのは人類史上あまり見受けられない。ルイズやティファニアが巫女として祈りを捧げていたという描写がありながら、結婚式で宗教は場の提供だけになっていたというのは意図があると見るべき。
 あ゛〜、あと、やはりビックリさせられたのは、最后ルイズが才人と一緒に現代日本に来たこと。結婚の報告を才人の親にしに来たという描写だったのだが、前回ルイズは才人をもとの世界に帰してさよならしたわけなんだが、ルイズは彼女の意思で両方の世界を行き来できるという提示になっている。つまり、彼女の前回の決断は世界(彼女の命を含む)と才人のどっちを選ぶか?という誠にもってエクスチェンジレートの悪い選択を迫られたときに、才人を選んだということなのだ。たとえ口で「世界が滅びようとあなたが大切」と言えども、本当に実行できるか?と問われて実際に本心から実行したのがルイズということになる。あの場では周囲の理解が得られたが、才人を逃がすことによってフツーは他の人間を敵に回すことになるはずで、もちろん自分が一人でその責めを負うという覚悟で彼を逃がしたわけだ。彼女がすんでのところで死にそうになるときにも、彼の名を呼ぶことはしても召喚したわけでもないし、そのへん今期とくに直近の数話は彼女の成長が示されている。まぁ上記で結婚の時に立会人一人がいるいないで大騒ぎをしたが、実際には才人もルイズも社会的存在に成長しましたよ、それも経過を周囲の人は見守っていましたよ、だから結婚するのに反対する人はいるはずもなく、第三者による確認も要らないんですよという風に見ることは出来る。
 まぁそんなこんなで、やはりダイジェスト風味ながらツボはきちんと押さえた最終回だったと思わざるを得ない。ちゃんと泣けたよ。

*1:一人の人間が一人の異性を占有するわけだから