Steins;Gate 第22話

 糸の色はピンクだったんだ。
 うーん、いろんな要素がてんこ盛りのようだったので、二度見したらまたもや大泣き。なんか冷静さを保っていられないな。
 冷静に考えたら、ベータ世界線にもどるまえの今回の世界も、たしかに紅莉栖の言うとおり、紅莉栖は生きていて、当然タイムリープしたあともおかりんは(たぶん)記憶を保持したまゝ生きているはず。おかりんはあの世界線の記憶を手土産にベータ世界線に移っただけの話であって、衝撃の別れのように思うんだけれど、移る前の世界線ではきっとおかりんと(たぶん私も岡部のことが好きだと言いに来たに違いない)紅莉栖は結ばれてハッピーエンドの結末を迎えたはず。要するに今視聴者が見ているおかりんの主体は、複数の世界線を移動してその世界線のおかりんに憑依する、言わば「もう一人のおかりん」であるはず。だから実は今回の世界線のおかりんにとっては悲劇でもなんでもないんだよな。「さまよえるおかりん」にスポットライトがあたっているから、彼こそは確かに悲劇の主人公ではある。いや、もちろんその世界線の「さまよえるおかりん」に憑依される、「大家のおかりん」だって、その世界線ではまもなくまゆしーが死んじゃうから、結局のところ悲劇を迎えるしかないわけだが。
 今回もっとも胸を打たれたのが、「おまえの苦しみをおれは知っている」という構造。視聴者としては実はおかりんがそうであったように、まゆりの死だけでなくおかりんや紅莉栖の苦しみに対して麻痺してしまっていた。だから、あゝやって台詞として言われると、それは確かにわざわざ台詞とすることであるのか?といった疑問は湧くのだが、自分としてはいや、確かにわざわざ言語化されることによって思い知らされることゝなったわけで、ありがたいことこの上ない。本当なら二人は言葉を交わさずともお互いの苦しみをわかっており、自然に求め合うという流れになるのだ。だが、それでは悲劇として際立たない。技巧といわれゝば技巧なんだが、こういう物語である以上必須の構造だったんだなと、見終わってから気付いてしまった。
 で、もうひとつ面白いのが、まゆしーがゴール宣言をすることで、実は物語が一旦終わっていること。今日は実は最終回だったのだ。が、最后のヒキでボーナスステージが始まってしまったという形を取っている。自分なんかは実はまゆしーも紅莉栖も救える選択肢をおかりんは選ぶことが出来た…という結末を予想(期待)していた。だって、この物語のミッションはそれこそ鈴羽ことジョン・タイターが言ってた通り、「おかりんが救世主になって世の中を救う」ということであるからだ。そのミッションが終わるまでは物語が終われない。いや、もちろんこの物語が悲劇であるとでもいうのなら今回で物語を終わっておくべき*1ではある。が、この物語のミッションがおかりんが救世主になって世界を救うことであるならば、少なくともラボメムは全員救われるべきなのだ。それもヒロインである紅莉栖が死んだまゝってことはないだろってなもんだ。まぁ昔話のフォーマットだわな。主人公がミッションを達成してご褒美であるヒロインを手に入れるってのは。

*1:例えば、まどマギは悲劇だからまどかは死なねばならなかった。