C 第6話 追記

 いやぁ、職場でこの作品を思い出してあれこれ考えてたりしてたよ。仕事に集中しろよとは思うものゝ、いや最近ではこういうことがあまりなかっただけに、印象の深かった回なんだろう。
 頭を離れなかったイシューに、サトウのいう、三國は1万人を救ったかもしれないが、それで投入されたミダスマネーがどれだけの未来を奪ったか?というものがある。これ、経営上のチョンボをして潰れる大企業を政府が「あまりに巨大で潰せない」とえこひいきで救ったりする、あの事例だよな。いや、ホント下請けの中小企業も連鎖倒産するからと国民を脅迫して税金を投入するあのやりかた、自分はいつもおかしいと思っていた。政治屋に賄賂を贈ることのできる余力があり、実際に賄賂を贈っている企業だけが助かるワケだ。そうでない企業は見殺しにするくせにな。でもまぁアレで起こるモラルハザードが、サトウのいう「ミダスマネーが奪う将来」ってことなんだろう。いや、モラルってのは、国が押し付けるから身につくって物じゃなくって、実際に組織の構成員が欲をかいたおかげで何度も痛い目に遭い、それに懲りて落ち着くべきものでもあるから、モラルが形成されるまでに時間も費用も構成員持ちであるわけだ。それを一朝のうちに破壊するわけなんで、それを元に戻すには、モラルが形成されたときにかけられた分だけ必要になってくる。ところが、モラルハザードというものは権力によって強制的に行われるものだから、そもそも権力側がこわれたモラルハザードを元に戻すべきという意識自体がないし、そうやって権力側がモラルハザードを正当化すればするほど元に戻しようがなくなる。過ちがおきてもすぐ対処すれば費用も少なくて済むが、固定化すると費用をかけても元に戻らなくなる。すなわち不可逆性をもつわけだ。そうなると、信用自体がなくなるわけで、通常の取引ですら、モラルハザード以前より費用がかゝるようになる。そしてそれはモラルが元に戻らない限り永久に支出される。それもモラルハザードを起こしていない側の負担が圧倒的に多いという形で。
 まぁそういったわけで、政治屋だとか管理職というものは得てして、「大きすぎて潰せない」などゝ人の命を人質にとって無理矢理納得させる。が、やってることはモラル泥棒だ。勝手に法律で規制したり、職務・業務命令でこれを行えば「強盗」にあたる。三國は人を救うためとか言っているが、その実本当に救うべき人を救わず、投資家どうしというインナーワールドでのえこひいきになっているわけだ。結局やったことって芭蕉製薬の買収なわけで、要するに強欲な経営者も悪いが、そいつのチョンボを救うフリをして自分が得をしただけだ。三國が他にも、市井の貧乏人を全員救っているならえこひいきとは言えないが、ペーパーカンパニーが「すぐ」買収したって事は、前から虎視眈々と狙ってたに過ぎない。
 今のところそれを三國が自覚してやっているという風には見えないが、どう考えてもそう見せてないだけで、アレだけの資産をもっているからにはわかってやっていることだろう。というわけで、折り返し地点の第6話でサトウに三國を疑うよう示唆を受けたってことで、OP動画の最後で公麿と三國が対決するのもなるほどと思えて来た次第。ホント、大きくて潰せないっておためごかしはかなりの数の人間が騙されているよな。身内だけ救う連中は他人に向かっては自己責任っていうんだから、言動からして胡散臭いんだけどな。