もしかしてミストルティンの器は河浪じゃなく、飯島だったりするのか？。
そうなると、河浪はパティの器とかだったりするのか。で、夢魔が夢の世界に変えれないのが確定らしいといった前回の次号予告がよくわからんな。今回の話をみる限り、夢路たちが夢魔に手を出せなくなったから、その結果として夢魔が現実世界に来るのを押し止めることが出来ず、夢魔を送り返すことが出来ないってだけだったしな。別に夢魔が夢の世界に帰る方法があるという可能性が否定されたわけじゃない。
しかし、エグいな。わりとこの作品って抽象的な言葉遊びにするのかなと思わなくもなかったんだけど、敵方の夢魔に語らせるところによると、結構ファンタジー要素と思われる事は現実に対応しているらしい。夢魔は器にされた人間の｢なりたかったもう一人の自分｣って予測もそんなに外れてなかったみたいだ。いや、そうだとしても台詞として語らせたりしないと思っていたんだけどな。
となると、コレ、やっぱりというか、男女共同参画社会の負の要素を余すところなく表現してるワナ。由衣は人を支えることに意義を見出していると言っていたが、彼女はいわゆる（専業）主婦のメタファーだ。男女共同参画社会は、経団連・自民盗による女性の労働力化だと常々言っているが、あのときも、｢家庭で才能を埋もれさせるのではなく、社会で自己実現しろ｣という主張が垂れ流されていた。で、企業に採用時の男女平等を押し付け、学校の教育課程も興味関心重視の教育に変えられた。その様子がこの作品でも余すところなく表現されている。
それはまず、夢魔が喰い物にしているのがほとんど女・子供であり、決してまともな人生観を持っている男が餌食になることがない。今回夢魔の器にされたのも、男であってもチャラ男クンであり、彼は自分の夢を追い求めてまともな就職につかなかったフリーターのメタファーになっている。いや、男女共同参画社会が本格化してからもう20年以上経った今では、まともな就職観を持った人間ですら正社員の道がほとんど閉ざされているという、なんとも救えない現実になってしまっているわけなんだが。で、特に社会に出る寸前の女に見果てぬ夢を見せているのが飯島という学校の教員であるというのがまた救えない構造になっている。昔の教師だったらアイドルだの絵描きになりたいだの生徒が言ってたら、バカ言うんじゃないと一喝していたところだ。で、夢を見させて資格商売で食い物にするのが今の風潮なわけだ。
となると、メリーだのエンギだのが、夢を人質にされて手を出せなくなって困っており、というか、器にされた人間の夢を壊してきたことに罪悪感を深くしているようなんだが、実はメリーやエンギが夢魔を倒してきたということの意味は、むしろ見果てぬ夢を見ていた人間の目を覚まさせるという、実はまっとうなことをやっていたということがわかる。まぁ昔の構造で言えば｢オラ、東京さ出て一旗挙げるわ｣という風になるよう唆したのが飯島であり、｢いや、そんな叶いもしない夢じゃなくて、もっと現実を見ろ｣と諭してきたのがメリーやエンギということになる。で、この作品世界のモブキャラはそういう見果てぬ夢を見せられているという大きな流れに巻き込まれており、もちろんそういう構造にしている組織なり親玉なり（まぁ結局のところ巡り巡って、そういう構造にしたのはそいつ自身ってことになるのだとは思うが）はいるのだろうが、今は明かされていないな。勇魚自体は由衣と同様、どう考えても人を支えるのが生き甲斐というか彼女のキャラ、もっと踏み込んで言えば彼女は夢路の配偶者になるべき存在なのだが、飯島に唆されて絵の道に踏み込まされていっている。もちろん今までゞ、勇魚に絵に関する類稀なる才能があるという描写はなかったから、彼女が自分を見失っているという経過になっている。
しかし、アレだな、結構ミスリードが多いようだが、そういう作品だとすると、エンギはエンギ自身が死ぬと由衣がどうなるか？と指摘されて動揺してたが、由衣や夢路は彼ら自身人を支えたいという動機でエンギやメリーの｢仮の器｣になっているだけで、エンギやメリーが由衣や夢路の夢を体現した存在ではないから、あんま夢無くし病みたいなことにはならないと思うんだがね。いや、もちろんエンギやメリーが倒れでもしたら、夢というより由衣や夢路が人を支えたいという思いを直接踏みにじられることになるわけで、そりゃ多大なショックは受けるだろうケドも。
しかし、自分で自覚して人を支えることに誇りを持っている由衣が輝いて見えるのは意外だったな。逆に勇魚は父親の影響で自然というか、天然に人を支えており、絵を描きたいという夢にふらふらっと来るとは思わなかった。むしろ勇魚の場合、夢路の世話女房って構図が続くのかと思っていたよ。で、夢路は不遇な境遇に同情して錯覚してメリーに恋心を抱くというラヴコメになるのかと思っていた。が、夢路は恋愛感情でふらふらせず、愚直とまで言える態度で人助けに邁進するんだよな。安易な客寄せ手法をできるだけ使わず、直球勝負での主張をしてきているらしいことは素直に感心できる…といったら偉そうか？。
