夢喰いメリー 第7話

 安易な水着回じゃなかったな。
 メリーが居場所でくつろいでいる間に、幼児が犠牲になるってお話。いや、なんつーか、やるせなさが構造的に示されていて胸にズッシリくるな。メリーが喫茶店で働いている姿も、海辺で夢路たちに心を寄せている様子も、エンギとの対峙で受けたショックを受け止めたり乗り越えようとしていたりする様子も、あざとさがないとは言わないけど、静かに迫ってくる感じ。で、メリーの気が抜けている最中に、河浪付きの夢魔が海水浴に来ていた幼児の夢魔をいびり倒し、幼児の魂が抜けていくのも「あぁそういうもんだよね」といった切なさ感炸裂。
 どうも河浪付きの夢魔は他人の夢魔を喰い散らかしているようだが、何が目的なんだろう?。で、そういう夢魔に器として自分を提供している河浪の履歴も気になる。で、幼児の夢魔だが、これも自分がいつも気にしている、「夢魔はそれを飼っている人間の渇望するもう一人の自分」にもあてはまるような感じだったな。いや、最初やっぱ夢魔は器になってくれている人間とはあまり精神的な共通点がなく、たんに人間を道具として利用しているだけという構造かと思ったよ。幼児なだけに未発達な自我が夢魔として具現化するのは無理があるとか一瞬思ったんだよ。でもよく考えてみれば、自我が確立していないからこそ他人から与えられるイメージに自分の夢を重ねやすいよなと思い直した。でもまぁ河浪はむしろ彼女自身の傷かなんかゞあって、夢魔につけこまれているっぽいけどな。
 最后のメリーと夢路のヒーロー談義も面白かったな。今まで視聴している限り、確かに主人公は夢路というよりはメリーのほうなんだよ。で、前線に立っているのは夢路ではなくメリーであり、夢路自身はあくまで補助役。が魂の熱さでいえば夢路が圧倒的にめそめそしているメリーを上回っているわけで、こゝにヒーロー要素の分担が二人の間で行われている。かといってやはり二人は同じ高さにたっているわけでもない。かといって夢路はセーラームーンでいうところのタキシード仮面の役割も担っており、そこらへん巧妙にいろんな要素が組み合わされているように思う。普通男がヒーローで女がヒロインだろ?、でもそれを単純にひっくり返しているだけなのが昨今のアニメテキストで、そういうのから頭一歩抜け出しているような感じがする。あぁ、これはあるフォーマットの派生系か?といった色眼鏡で視聴する態度を打ち砕いてくれるという意味で面白い。戦いは夢空間で行われており、今までの流れからいうと、性別関係なく夢魔が戦い、器である人間は夢魔を支えるか夢魔に守られるという立場になっているわけで、やはり表面的には夢魔の物語という体裁を取っているみたいだな。
 特撮ヒーローを題材にするのだってアニメスタッフの趣味というわけではなく、ちゃんとお話に絡んでいたし、レギュラーメムバーの紹介も半分以上終わって有機的に行間を読ませる態勢になっていて結構引き込まれてしまうな。