ドラゴンクライシス! 第9話

 たゞのハーレム展開だと思っていたら、実は日頃影の薄い実咲担当回だったという。
 しかも絵に取り込まれたきっかけが実咲であり、絵からぬけでることが出来たのも実咲のおかげという構造。なんつーか、理由など無く竜司のためになら死ねるとのたまったアイの漢っぷりに清々しさを感じた。なんじゃそりゃ。でもこの激情のアイがエンドロールでは一番末端なんだよな。ローズはいわずもがなで、英理子がよーわからん。4人のヒロインが竜司のことが好きという構図になっているのだが、英理子は恋愛感情とは違うと思っていたので、他の3人と一緒になっているのに引っ掛かりがある。
 まぁそりゃ人それぞれに「好き」の形がある…ってのでファイナルアンサーなんだろうけど、これが難しい。所詮この作品ってのが、魅力的な女の子をスキマ無く用意する→視聴者と主人公を同一視させる→モてたかったら主人公と同様に振舞えという構造になっているわけで、ゲストヒロインは居れど、基本この4人で埋められていると見て良い。
 で、分類軸には2種類あって、一つが身内と他人という分離軸。もう一つが主人公を性欲の対象としてみているかどうかだ。前者は今回の描写でわかるように、身内がローズと英理子、他人がアイと実咲だ。で、後者なんだが、竜司とセックスしたがっているのがアイと英理子であり、竜司とは抱っこで満足しちゃうのがローズと実咲だ。まぁ自分的には明らかだと思うんだが、拙い判断を示すと、セックスというのは他者の視線を嫌うものではないかと思うのだ。だから、ローズや実咲のように食い物を竜司の口に運ぶという接触を他者に晒す行為はセックスを意識したものではない。
 そうなるとたゞの接触で満足する身内がローズであり、他人が実咲、セックスの相手と見なしている他人がアイであり、身内が英理子というカテゴライズで構造が完結する。となると、必然的に英理子は竜司に恋愛感情を持っていないという結論は否定されてしまう。で、そうなると真実の吐露の場面で、他の三人が素直に竜司が好きといっているのに、英理子だけが好きとは言っておらず、まるで過去の責任を償うために義務感で竜司の面倒を見ているといわんばかりの発言が隠微なものになる。彼女は竜司が好きなのに、それを唯一言っていない。彼女は真実を言ってはいないけれど、かといってウソも言っていないわけだ。
 で、絵に入ったばかりのビアンカは別にして、真っ先に絵から救出されたのが英理子であり、ストーリーのラストの台詞が英理子のである。で、竜司と過ごした時間が一番長いのが英理子であり、そういやEDで一番露出が多いのが英理子であり、こうやっていろいろ確認してみるとメインヒロインは間違いなく英理子ということになる。だから、冒頭で実咲担当回とは言ったものゝ、実咲は踊らされているだけで本質は英理子担当回ということになる。だからして、恋愛感情が演出として描かれていないだけで、意識的にせよ無意識であろうにせよ英理子は身も心も竜司のモノになっているって構造が面白いよね。
 だからといって本作が姉萌え作品なのか?と言われゝば、それは多分に違っていて、正統派ハーレムアニメではあるんだけどな〜。