魔法少女まどか★マギカ 第9話

 キュウべえの言い分が、それこそ子鼠・ケケ中と同じ。
 本当に感情をエネルギーに換えることができる技術があったとしても、人間が育つために増えるエントロピーを超える感情エネルギーがそもそも得られるはずがない。まぁそりゃ魔法少女なんてファンタジーが前提なんだから、設定としてそういうことがあってもいゝわけなんだが、こゝはキュウべえのおためごかしと考えたほうが自然。世のため人のためという感情が極大を迎えるのは、たしかに人間の一生のうちでは少年少女の時期だろう。そしてそのために使い捨てにされても疑問に感じる確率が最も低い時期でもある。特別攻撃隊なんていゝ例だろう。あれ、30代だとか40代の酸いも甘いも噛み分けた世代だったら、上層部の意図なんてた易く感じとってしまうわな。
 そして搾取する側はその世代のエネルギーというか、行動力が一番美味しかったりする。先の特攻隊の例で言えば、少年少女より幼ければ「いたいけな」と非難されるし、少年少女より歳を喰ってれば上手く騙せない。そしてスキルや体力のバランスが一番いゝのが10代後半から20代前半。スポーツ選手の全盛期が大体それに当たるだろう。それより歳を喰えばスキルは上がるが身体能力は劣化するしな。そういう人生の一番充実した時期のエネルギーをキュウべえは搾取したいはず。感情がないだのというのも怪しいな。そもそもウソをつく連中ってのは感情のコントロールが上手い。宇宙のエントロピー云々もどうなんだろ?。キュウべえ自身のあのぬいぐるみのような身体が本体でないのは前にも見たこと。まぁ、もしかするとキュウべえは永遠といっていゝほど寿命が長くて、それで宇宙のエントロピーが極大になるのを本当に防ぎたいと思っているのかもしれないんだが。
 しかし、杏子が結局のところ自殺とはね。そりゃ死に場所、死に時を今までずっと捜していたゞけなんだろうなという気はする。さやかを助けようとするのはいゝんだが、そのさやかに理解されていたわけでもないようだし、やはり自分の運命を知り、死に場所を得たんだろうなと考えるしかない。なんか切ないよね。さやかも上條に理解されなかったわけだし、結局のところ無駄死にになってしまっている。この、「他者に対する善意なんて無駄でしかない」という構図は、いや、この作品では悲劇にしちゃっているけど、いわばさやかと杏子は「それが大人になること」という提示なんだろうなと思う。そうなると、ほむらは少女でありながら大人という立ち位置を確保して、なんとか何か大切なものを守るために格闘する…という、まぁ「理想の大人」というものを示す存在なんだろうなという気が今した。