すなのなかにきえたタンネさん

 をネットで検索してみた。4〜5年前には、この物語の概要しかわかんなくて題を検索した時にえらい苦労した思い出がある。HP名ははっきりと覚えていないんだけど、なんちゃらマダム(なんちゃらの部分が思い出せない)とかいうトコの掲示板らしきところでぶち当たって、当時最深部で宝物を発見したような喜びを感じた次第であるが。
 いまだと題名も著者名も覚えていたので、検索だと一発なんだが(というかそれを検索とは言わないと思うんだが)、やっぱりヒット数は少ない。立川市中央図書館の一ページがヒットして、実はタンネさんシリーズというものが結構あったらしい。初出は「こだま」という雑誌?で、1966.10というから、オイルショックがまだ到来しておらず、高度経済成長真っ盛りの時期である。
 そういう時期に、顧客の我儘に振り回されて壊れてしまう人間の姿が描かれるってのはかなり深刻な話で、そういや「ひまわりっ!」でも「忍びの者たち」ってのがそういう位置付けの本だったよなというのも大変含蓄が深い。高度経済成長期は、日本が輝いていた時期だと全肯定で捉えられることが多いが、実は金と引き換えに大切な何かをドンドン捨て去った時代でもあるんだよなという想像がたくましくなる。
 しかも、それが小学3年だか4年だかの教科書に採用されているわけで、決して努力バンザイでないこの話が国定教科書に載るという、今では考えられない事態に羨望を感じてしまう。今だったら経団連の圧力で検定によってこんな話蹴られるだろう?。特権階級顧客のために死ぬまで働かせようとしてるしな。で、今は沖縄で日本軍がやった悪事を、都合が悪いからってカルト団体を審議委員にしてまで揉み消そうとしているわけだ。まだ昔の文部省のほうが国民のほうを見て仕事をしていたかもしんないな。
 まぁそうやって、顧客満足度が幸せをもたらすとは限らないよというメッセージを受け取ったか受け取らなかったか、そういう話をきいて育った世代が、今顧客満足度*1とやらに振り回されてこき使われ、使い捨てられているわけだ。なんともはや。

*1:という名の特権階級による搾取制度