奏光のストレイン 第9話「目の前の自分」

 泣けたんだけど、微妙。
 初めに文句を言わせてもらうと、まずセーラの正体があっという間に関係各方面の方々の隅々にまで広がって2ちゃん状態になっていたこと。メルチセディックが艦長に報告して司令部の要職が知っている分には構わないんだけど、艦橋であの状態はないだろう。もう一人ロッティが真実を知っていたわけなんだが、彼女が言いふらしたのか?。グォールの方々まで知れ渡っているのは軍隊としてどうなんだろう?と思わざるを得ない。とにかく、セーラがいじめられる構図を演出したいのはわかるが、別にグォールの方々がセーラの事を知っていなくとも、敵艦が迫っているからだけで済む話だし、艦長付近の方々とロッティだけで問い詰めのシーンを構成しても何ら問題がないと思うんだが。
 あとはロッティのセーラ問い詰めの場面。まず監禁している部屋の監視体制がアレでいいのか?というのが一つ。画面からは独立した生活ゾーンを緊急に監獄に仕立て上げましたという感じだったが、監禁部屋に近づく不審者を観察する人員が配置されていないのはダメだろう。憲兵のない軍隊が存在しないように、演習艦といえども候補生の犯罪を想定せずに艦が設計されていないというのはちょっとなぁ。これも詰め所の2シーンぐらいあれば済む話。
 セーラから本音が引き出せてロッティの溜飲が下がったわけなんだが、ロッティが監視されている可能性も知りながら銃を片手に部屋に近づいていったのはどういう意図があったのかが不明瞭な点が気にかゝった。後付け的にロッティはセーラの本音が聞きたかったための行動になってしまっているが、別に本音を引き出すようなコントロールを自分に課していたとも思われなかった。「なぜオマエは生きている?」というロッティの台詞の返答として予想されたのがセーラの謝罪だったわけなんだが、ただセーラ自身に悪意があるわけでもなく、身内の兄の(そもそも意図もわからない)しでかしたことだからといって、自分に責任のないことについて謝ることは筋としてない。仮にセーラがロッティに謝ったからといって、ロッティは謝って済む問題じゃないとかいって火に油を注ぐことになる展開が待っていそう。別にロッティはセーラに謝ってもらいたくて押しかけた訳ではないだろう。あやまってもらったところで気が鎮まらないってことはロッティ自身にもわかっていたはず。そう、ただ単純にロッティはやり場のない怒りをセーラにぶつけるために会いに行ったとしか思えないし、そういう心情はよくわかるのだ。ヘンな話ロッティはセーラからの弁明を聞きたかったわけでも殺しに行ったわけでも無いように私には思えるんだけどな。しかしロッティの感情をセーラが受け止めても、セーラは彼女に対して何も言えないというのが普通なんだよな。ロッティは兄に会えないといっているわけで、それに対してセーラは自分も兄が大切な存在だったと返すのはありえないと思ってしまうんだけどなぁ。つーかゆかなは関西人?。
 そしてセーラの身の上話を聞いて自分と重なることに拍子抜けした結果になって(して)しまったわけで。セーラが兄を自分の手で殺すというのは勇み足のような気がするんだが、セーラが兄を慕う気持ちが痛いほどよく理解したロッティの次の行動がどうなるんだろうな?。さすがに手を取り合ってラルフを殺しましょうとか、セーラが兄を殺すのを手伝うなり生暖かく見守るってことは無いと思うんだが、艦内のセーラ糾弾に対してロッティの態度を想像してなんだかなぁですよ。なんつーかいじめられっこをかばって自分もいじめられるってパターンにしたいんだろうか?スタッフは。まぁどうなるかわからんのですけど。
 ドラマ性のためには使い捨てとも思われるキャラの大胆な切り方をしてくるので期待はしたいんだが、どうなることやら。兄を自分の手で殺したいと今回セーラに言わせたのは尺の短さもあるんだろうけど、どうにもあっさりしすぎの感がしないでもない。次回は兄の真意が明らかになりそうなので、このもどかしさも少しは緩和されるのではなかろうか。いや、いい意味で焦らしてくれてもいいんだけど。