英國戀物語エマ 第12話「スズラン」

 やっぱり最終回でした。OPはなし。どうなんだろう。作りこみも適当だし、話の間もよくとっているし、展開自身にも無理はない。パンチが効いていないとは思うものの、それはターゲット層を考えるとスタッフの意図の方が正しい。もちろん私自身も絶賛して他の人に勧めてまわるというほどではないにしても、視聴によって大いに楽しませてもらったし、いろいろ考えさせられるきっかけ(私にとってはこれが一番重要)もつくってくれました。光希桃さんの評価を借りれば、殿堂入りというほどではないにせよ、名作ではあるような気がします。しかし何だろう。この胸に沸き起こる残念感は…
 もったいぶらずに明かしてしまうと、これだけの作品があまり世間に認められもせず埋まってしまうのがとても残念なわけです。きっとターゲット層はF1層、次点はナイーブな女子中高生なんだと思うのですが、たぶん届いていないのではないでしょうか。メイドを題材にしていること、あと水橋かおり(本人の責任ではない。演技も文句の付け所がありません。)の起用など萌え要素が見受けられるのはわかるのですが、スタッフの意図したターゲット層に関してどう影響を与えたのか。ただのオタの呼び水としてしか作用していなかったのだとすると無念としかいいようがありません。ただ難しいところで、女性といっても当然欲ボケした層は初めから相手にしていないだろうし、話の内容からするとより読み込みの深い層は物足りなく感じるだろうし、かといっておツムの足りない層もキツい。あまりこういう表現は適切でないのかもしれませんが、偏差値で言うと40〜60ぐらいの思春期から家庭を持たないぎりぎりの年齢層女子。その中でも禁欲的な思考を持ち(たぶんこの条件が一番厳しい)恋愛を醒めすぎた目で見ない人間が相手なわけです。それでいてアニメに抵抗がない。ニッチといえばあまりにニッチ過ぎると思います。この作品がどの層にどのように作用したのか結果を確かめようがないので、ここで吼えたとして詮のないことなんですが、それにしても埋もれてしまうのが残念な作品だと思ってしまいます。
 話の内容自体について触れておくと、ウィリアム坊ちゃまはいつ成長したんだ?と思わせてくれます。エレノアの描写も過不足なくて光彩を放っていたと思います。もちろんインドの王子様の狂言回しもいい味を出しております。結末のつけ方も無理がなく、かといって視聴者の心に切なさを感じさせる(!?)うまい表現方法だったと思います。もし続編が作られるのならその可能性も残したのではないか?と思われてなりません。本当ならもっとネタばれした感想を書くべきなのでしょうが、(ずっと私はそうしてきましたし)ちょっと今回は未視聴の方にも考えていただきたいとも思い、控えさせていただきました。もっともあとで思いつきで書き散らすかもしれませんが。
 とにもかくにもスタッフの皆さんには珠玉のような作品をどうもありがとうございましたとお礼を申し述べさせてください。