Free! 第12話

 いや、これは普通にありえんだろ。
 なんと凛が岩鳶のチームでメドレーリレーに出るという展開。ファンタジーだからといってなにやってもいゝってことではないとは思うんだがな。しかもこれは自分でもダメな展開だと思ってた怜除け者。とはいえ、これは一時的なものであり、凛や遙のわだかまりを取り除くための非常手段という形になってる。これだと第2期は明るい展開になるとでもいうんだろうか。まぁざっと言えば、物語開始時は現状正常ではなく、そうでない原因があるから、最終回にかけてそれを取り除くというもの。その取り除くということができるのも、彼らが大人ではないからであって、社会人であれば制約が多くてとても通用しない手法のように思える。解決手段は決まってるんだけど、それをやりたくてもやれないからドラマになるんであって、デウス・エクス・マキナと同じ構造になっていて萎えた。そもそも物語の開始時には凛は水泳部にすら入っておらず、それなら初めっから凛は岩鳶高校に転校なりでもして最初の4人として格闘すればよいだけの話。ベターハーフならぬベタークォーターが離れ離れになっているという悲劇を作り出すために初期設定を捩れさせ、そのひずみを解消するためだけに1クール使ったのだとしたら恋に恋するがごとく、結局物語の筋もなにもシチュだけかよと思わなくもない。
 なんかつきあいがよいと言われそうだが、一応続けて第2期も視聴するつもり。第1期の山場はやはり自分がそう感じたとおり第8〜9話にあったようで、これはまだ自分で自分を把握できていないキャラが、把握できないという状態のまゝ、精神状態の転換が行われたという描写で、これは年齢を問わず「言語化できないまゝ自分のアップデートが行われる」というのをよく表現できていたというもの。これは天啓でもなんでもなくって、自分の日常の経験が積み重なり、いろいろな徴候、示唆、きっかけでそれが起こるというのがなんとも見ていて心地よかった。これは自分がそういうのに出会ってないだけなんだとは思うが、おそらく活字ではなかなか表現しづらいことのようにも思え、冷静に考えると感情の起伏という観点では全然クライマックスでもなんでもないのだが、妙に自分的には評価できる側面だった。もしスタッフがこの部分を最重要視していたのであれば、むしろそれ以外の部分は全部枝葉末節であって、その枝葉末節の部分に文句を言うのは的外れということになる。精神上の転換点なんて正直ドラマでも一部でしかないので、ターゲット層を考えても繊細なものを扱っていたんだなというしかない。評価はやはり第2期を視聴し終わってからでないとフェアじゃないとは思うが、第1期を振り返ってみると、これはちょっと他のアニメファンにもお勧めしがたい作品ぐらいとは言っておこう。12話視聴し終えて基本仲違いが解消したゞけなんて悲しすぎる。