第8話「スターダスト・メモリー(後編)」

 戦闘準備の風景から。戦闘開始は輸送艦からの魚雷発射で始まりました。なんかシャトルといい、数は揃ってるんだろうけどあんまり見栄えはしません。実は多種多様な攻撃方法が楽しみだったのですが、絵としてはたいしたことがありません。前回あれほど煽り気味だったのに、今回は肩透かしを食らわせるかのように抑制された画面構成になってます。シノンの作戦が見物なのにシェンロンの艦長が無視したために崩された格好になってます。それでもアマテラスは2対1から1対1の態勢にまで持ち込み、敵艦を撃破します。シェンロンは撃破され、シノンの目論見は大きく外され包囲網から命からがら逃げ延びます。シノンがワープの実現可能性を検討するときにシメイの煽動で戦う羽目になったとリオから知らされます。ワープ準備画面ではアップテンポの曲がかかりますが、逃げる場面なのでちょっと苦しい。追い詰められた乗員の気持ちが次に向かって一つになっているということなのでしょうが、スタッフ的にどんな表現が込められているのか今ひとつ読みきれません。
 前に述べたとおり、前回のイケイケな雰囲気とは対照的に冷静な描写が続きます。沈んだ2艦の描写も淡々としています。しかし、艦内で何が起こっているのかは十分想像がつきます。あと前回と違って割と冷静であるという場面はところどころに見受けられるのですが、むしろ次に述べることに関連がありますのでこの辺で。
 さて、いろいろ考えてみたんですが、今回のテーマは大人の覚悟と子供の動揺だと思いました。今まで散々会社の逃げ切り世代がとか述べてまいりましたが、むしろ腰の座った大人の対応みたいなのがよく描写されていたかと。いや、年齢とは無関係ではありますが。
 ベルモント提督の狼狽振りに対してリー提督の覚悟。キスカ艦長に対してのウォン艦長。アマテラス乗員に対してのシノン。ヘルマン報道官はちょくちょくいい指示も出してはいるのですが、彼に対してのエルロイ提督。スパイクスに関しては子供と決め付けるのはちょっと抵抗が。彼は視聴者の代表なので。シノンもアマテラス乗員の中では冷静なほうですが、結果的にウォン艦長の同意が得られなかった点やその他から若干弱めに設定されているように見受けられます。だいたい子供側は自分の意見や決断が周囲にどんな影響を与えるかをあまり考えずにそれを振り回すという描写なのに対し、大人側はたいてい見切りが正しくて、どうしようもない場面に陥ったとしてもそこから逃げない描写のような気がします。黒幕の場面だってリオもあの場で言うこともないだろうに。シメイもあの場で自分の目算がどうだとか話さなきゃいいのに。それを言わせたのはストーリー進行上の問題もあるでしょうが、責任逃れの場面をリオに負わせ、甘い見通しで周囲を巻き込んだ張本人としてのシメイを描写したような気がします。前回今回の話が終局に向かって前向きな描写のはしりかと思ったら、実は暗い状況から抜け出すことは出来てませんでしたという確認でありました。次の題が転回点なので、次回である程度の方向性が見られ、その次から終局まで突っ走っていくんだと思います。話数的な勘定から言うと。