夜桜#15・16

 主人公たちの根城が攻略されて主人公がイヤボーンならぬ血ボーンする話。おー、だいぶシリアスな話になってきたな。1クール目のスパイ要素がほぼおふざけで、その印象が薄れてきた感じ。ヒロインの父親の行動でやっぱりこの作品の大きな構造は「イエ」というのがはっきりしてきたから、シナリオの出来不出来はあんまり気にしても仕方がないのかな。
 しかし、昨今のサブカル作品、前近代的家族観をポジティブに捉えていてなかなか考えさせられるものがある。先進国では家族が崩壊し、日本なんかでも特に近代化以降、国民を工場労働者として動員するために政府が意図的に地縁血縁を破壊して個人分断化を推し進めてきたわけだけど、戦後の高度成長期に破壊された地縁血縁のオルタナティブとして企業が疑似共同体として機能したが、結局のところバブル崩壊以降会社はその役割を放棄して国内が一気に二重植民地化してしまったわけだけど、庶民の方は庶民の方で戦後教育の失敗で近代市民としての発達を遂げることが出来ず貧困化が進んでしまい、その貧困化した弱者を社会は救うどころか救うフリをして貧困ビジネス化、もちろん政府は意図的に搾取を行ってる側だから格差は拡大するばかり。個人の自由も、経済的背景があってのことだろうけど、弱者にとっては既得権益層に搾取されてるから、なにそれ食えるの?という状況にだんだんなってる。
 そういう状況で、ひとたび生まれ落ちたヒトは何を寄る辺とすればいいのか…という問題に、結局のところ共助公助に頼れないんどころか、政府もNPOも弱者を喰いモノにしてくるんだったらイエ制度に戻るしかないんじゃネーノ?という主題はまぁなかなかにして面白いテーマではある。いやだって、そもそも特権階級はイエ同士の繋がりで権力を維持してきたんだから、もともと力の無い庶民がやれ自己決定権だの個人の自由だとかを振りかざして個人分断化されて搾取されるがままになってしまうのはあまりにもアホなんじゃね?という結論に達しつつあるんじゃなかろうか。
 まぁそんなわけで、本作のヒロインの血と混じりあうことで主人公は本当の家族になったとかそういう話なんじゃなかろうか…と思いながら視聴してた。まぁ昔だったら結婚した二人に子供が生まれて、その子供がカスガイになって家族としての繋がりが出来たとかそんな話になっていたのだろうけど、主人公とヒロインは一応未成年なので…。