メタルー#13

 正体を現した人形遣いと戦って勝つ話。あーなるほどね…。前回までやたら自己決定権にこだわるセリフばっか強調してなにか不自然に感じてたんだけど、ようやっと腑に落ちたという感じ。要するに自分たちが自己決定権を持っているというのは勘違いであって、そう思わされてるだけなんじゃないかというのが答えであるし、本作最大のテーマだったというワケだ。まぁこれはなるほどで、日本人は日本が民主主義の国だと思ってるようだし、法治国家だとも思っているし、なんなら近代国家であることを疑いもしていないけど、アベが仮病から政権に復帰して、しかも暗殺されて数々のアベの悪事が暴かれることになって、もう今となっては日本は民主主義の国ではないし、法治国家ですらないし、ましてや近代国家であるなんて何の冗談をおっしゃってるんですか?みたいなことが次々と証明されてきてる現状そのものを表してるという…。
 かといってねぇ、この作品における「ネアン」と呼ばれる人を模したアンドロイドたちが仮に自治権を獲得したとして彼らが彼らの集団をうまくまとめられるか?といわれたら、こう思い込みとか熱情とかで解決する問題ではないのでおそらく混乱を引き起こすだろうし、それは日本の現状ともピッタリ一致する。民意を得た旧民主党ですら支持者を裏切って自民盗の政策をゴリ押ししたし、今リベラル達の主張がことごとく裏目に出てるタイミングなので、かといって権力層である自民盗を頂点とする政官財トライアングルが権力の座に居座るのもマズいけど、それと同格の勢いでリベラル達が権力を握ってもロクなことにはならないというのも容易に想像がつくわけで…。でもまぁそれでも我々が前に進むためには既得権益層と戦って彼らを排除しなきゃ話にならないし、権力層のバックにいる合衆国、ようするに本作でいう簒奪者を真っ先に叩かなきゃならないのも間違いのないところで、それを示してるのがヒキの描写ではあるんだろう。
 うーん、なんか難しいな。この作品の場合、結果として権力層の思い通りにキャラは動かされているように見えてるけど、主人公達は旅を通じて現実の残酷さややるせなさを目の当たりにしてるし、それではいけないと必死で抵抗しようとしており、確かに現状を変える力は持っていないし現状を変えられてないけど、そこにはちゃんと抵抗の意思があってちゃんと現実と切り結ぼうとしてますよ…ということが最終回で描かれていたけど、物語として面白かったか?といわれると、そこはイマイチだったかな…という。まぁ結論が結論だし、物語としてクライマックスでちゃんとカタルシスが得られてメデタシメデタシみたいなシリーズ構成にしにくい素材ではあるのでしかたがないのだけども、これ、今の若者に伝わるの?という点を見てもそれは難しいんじゃないかなーという感じ。自分は若者が決して諸手を上げてアベを支持してたとも思わないんだけど、しかし確かに彼の扇動に乗っかって支持してた若者も決して少なくない数いたことも間違いないと思っているし、自分の利益のためなら喜んで民主主義を破壊する手伝いをする層は日々ますます増えてるんだろうなという風にも思っているので、この作品のメッセージはなんか砂漠に水を撒くようなもんだろうなとぼんやり思ってしまうとかそんなの。今の日本がしんどいのは、自民盗がロクでもないのは昔からだけど、リベラルの劣化が著しいことなんだよなー。だから、仮にこの作品のメッセージがリーチしたところで、そのリーチした層がどこを寄る辺にしたらよいのか?と考えると、なんか唸るしかないというか…。
 この作品を視聴していて後半あたりからリコリコを思い出すことが多くなってたんだけど、あちらはあちらで主人公側はこちらとは正反対で、むしろ権力強化側に手を貸してしまうというなんか萎える構造になってたんだよな…。主人公のライバルである緑髪の男の方がまだ自律の気概を持ってたワケで、その辺はこちらの作品の方が主張として自分にはしっくり来てるんだけど、どうにもね。出渕裕がなんでこんな歯にものが挟まったような作品を作るのかと、今までは出来の微妙さに辟易してたけど、最終回に至って彼がなんでこういう作品を作らざるを得なかったのかそのへんはなんかわかるーみたいな思いもあってこれが時代の変化なのかなと思った次第。

ダンジョン飯#13・14

 妹ちゃんがまたいなくなってふりだしに戻るの巻。うーん、またかよーみたいな脱力感。かといって妹ちゃんをパーティーに復帰させて別の話を組み立てるのもまた原作者にとっては違う話なんだろうなとも思うから、このへんは読者も我慢のしどころなんだろう。
 しかしやっぱりTTRPGの作りだよなー。ファミコン時代からのJRPGと違って、TTRPGはコミュニケーションを通じてしか情報が手に入らないし、ゲームマスターとプレーヤーが共同して一つの物語を作り上げるのではなく、プレーヤーはゲームマスターが用意してるはずの答えを探るのが大きなミッションだから、むしろ謎解きとでもいうべきだし、もうそういう構造は本作の根幹に据えられてる感じ。原作は漫画だし、アニメ化されることで、読者や視聴者は自分が積極的に情報を取りにいかなくても済むようになってるし、そのへん親切設計なTTRPGとでもいうべきもんだけど、物語としてスッキリしてないし、かといってそのへんは文学作品とは違うものだし、やたら説明口調が多くてコミュニケーション過多に感じてしまうのもまぁ仕方がないんだけどね…。

ゆるキャン△3#1

 人気作の続編。前期が大名旅行で終わってたからちょっと心配だったのだけども、高校生らしい話になってて少し安心。映像もハイクォリティだし見ごたえは抜群だけど、個人的にはちょっとクドいかなーという印象はぬぐえなかった。

まどめ#1

 ラノベ原作のアニメ化。公式サイトのイントロ読んで、異世界ハーレムに近い印象を持ったので結構楽しみにしてたんだけど、#1みたらどちらかというとイケナイ教に近くて、しかもイケナイ教よりもダメな雰囲気がプンプンする…。モテないクンが女をモノにするためには、権利意識の肥大化した女を相手にしてはならず、自分がカネを持っていて女は経済的に依存するしかない立場でなくてはならず…という時点でもうダメだ―と思うしかないんだけど、男が貴族出身でないことや、異世界転生でボーナス貰ってるとかでもないのがまだ救いかもなーというところ。

花野井#1

 少女漫画原作のアニメ化。愛が重いメンヘラというより今流行の発達障害っぽい男にロックオンされた、これまたアセクシャルな主人公との凸凹恋愛モノか…と思ってたら、どうも見終わったところでの自分の大枠としては、これ見合い結婚のメタファーなのでは?という感じ。まぁどう考えても年齢的にはどちらも第二次性徴を終わって、子作りのために発情してる時期だと思うんだけども、女は女でそういう動物としての衝動がイマイチ足りないし、男の方もそういう発情期のオスの行動というよりは何かに精神的に追い立てられてるような雰囲気を感じる。男の方は特に眉目秀麗で学力も高いという話だったから、承認欲求に飢えてる感じはしないし、現段階はいろいろ隠蔽されてる模様。
 ただなー、男の姿はパッと見、「女は女というだけで男より優遇されるべき、男は女のすべてのお気持ちに寄り添うべき」のキチフェミにとってはまさに理想の男子像なんだよな。ただ、今回彼がフラれてたようにそういう姿はとても生物としては不自然で、女がマトモであればあるほど「何コイツ、怖っ」ってなるのがフツーだろうし、これを理想の男としてるキチフェミですら、男のこの過剰適応を見て「何その態度、イヤミでやってんの?」とまるで自分を非難されてるように感じて逆ギレしそうだしで、それを恋愛脳に毒されてない主人公を通じてその歪さを暴くって感じのメッセージ性を受け取ったようなそうでないような…。
 自分の子の見立てが正しいかどうかわかんないし、ただそうであると仮定してその構造を把握してしまったのだとしたら今後の二人の関係性を深めていく展開はダルくてみてられそうにない可能性はあるんだけど、とりあえず#1としては全然自分にフックしたというところ。

WB#1

 マガポケ連載のアニメ化。週マガの文字列がOP映像に見えたからそっち連載かと思ったのだけどもネットのほうか…。ただ、公式サイトのイントロ読んでかなり興味が湧いてたし、#1ではそこそこフックしたので期待外れってことはなかった。
 現状地方では、学力高めの層はそこで少年期を過ごしても、都市部の大学に進学してなんなら就職ではその地方に戻ってくることもないし、地方はそうやって選別の結果マイルドヤンキーが残るって構造になってしまってるから、マイルドヤンキーのマイルドを取り去って、残された人々が地方を支えるという筋立てなんだろうなとは思ってたから、今のところ当たらずとも遠からずといった感じか。
 自分がいま住んでるところも、地元の高校生が授業の一環で地元の商店街の振興策にいっちょ噛みするって試みが数十年前に行われて、地方紙でも取り上げられてたのだけども、それで商店街が商店街の形を残したまま生き延びるということもなかったし、少子化の流れも止まらず、振興策に取り組んでたその地元の高校の商業科(まぁ別にヤンキーがそこにいたわけではないが)もなくなってしまい、大局で見たら地方の衰退というマクロ経済を個人や資本力の無い(仮にあったとしても)共同体の努力で何とかなるというものでもないとは思うから、ある意味これはファンタジーでしかないのだろうけど、ただ、これ以上の少子化は何としても食い止めたいと必死な自治体に住んでるものにとっては何らかの示唆があるかも…という意味で今後も期待してるという感じかな。