白聖女#12
以前よりも二人の距離が縮まった形でEND。んー、1クール費やして進展したのはこれだけか…と思わなくもないんだけど、これはもう仕方がないというしかない。聖職者は地域共同体にとって上位の存在であって、だから共同体の誰かと結婚するということは権力と深い繋がりができるので、宗教で平等を説いているのならば村の誰かの娘と結婚するのはすごく難しい問題。なので神父とか仏僧などはタテマエ上妻帯してはならないとなっていたわけだ。それが新教が出てきて牧師は結婚してもよいとなったとしても、聖職者が宗教の教義に真摯であればあるほど、また地域共同体の成員が敬虔であればあるほど、制度上結婚してもよいとなったところで二の足を踏むのは当然で、その状態がこの物語の二人の環境に反映してると考えるのはそう的外れでもないハズ。カメラが出てきたから近代であることはほぼ確定だし、かといって電化しているようではないから現代でもないハズ。なので、宗教改革があって相当の年月が経っていてもなお旧教の影響が残っていた…というのが物語の初期設定となってる。
なので、男の主人公に関しては、祖父が村にとっての恩人のようであり、彼自身も村のために尽くす善人であることは村人全員の認識なのであって、結婚適齢期の、村のために尽くす若者にそりゃ女の一人や二人ぐらい世話してやらないと…となるのは人情なのであって、描かれていない*1ものの村の女で彼と結婚したいというものがいてもおかしくない。ところが男の方は最初っからそういうつもりがないので村人もどうしたもんかと思ってたハズ。
そこに、村の誰ともつながりのない、まぁ’いっちゃぁなんだがどこの馬の骨とも知らぬ女がふらっとやってきて、聖女としてその予言が村を救う、で、その聖女が男の家に転がり込んで一緒に暮らしてしまうし、どうやら二人はまんざらでもない様子と来れば、そりゃ村としては二人がくっつくことを応援することで「村の恩人に伴侶という贈り物を送る」ことができるわけだ。聖女自身も彼女の予言で村を救っているから男とも属性的にも釣り合うわけで、もう初期設定からして二人の関係が完成してるというワケ。なので、上記で触れた通り、魅力的なサブヒロインが現れてヒロインと男を取り合うことにはならないし、普通は男が女に懸想する(男から女に求婚して、その求婚を受けるかどうかは女が決める)ラブコメになるのに、男の方は気になる程度にはしているが女にのぼせ上がることのない朴念仁で、むしろ聖女の方が猛アタックする形になってるってのは、まぁ最初の作り込みが良く機能してますねーといった感じ。
まぁこういうサブカル作品にとどまらず、日本のテキスト作品はホント宗教の中身に触れないものが多いよなーと思うんだけども、この作品、外形的には宗教を扱いながら、あたかも宗教の中身には触れないようでいて、ちゃんと特定の宗教をガッチリ織り込んで物語を構成してるので、見かけののほほんとした雰囲気に反して結構考えられてるなという印象を受けた。リアリティ…というのとはちょっと違っていて理念上の問題なんだけど、言語化してしまうと堅苦しくなるし、男女の機微を宗教上の教義で説明しちゃったら台無しだから、そのへんちゃんと水面下にすべて沈めてしまってるのもなかなかねぇ。
アンファルス#13
二つの村をまたいだ事件の全貌を解き明かして鳥籠使いの旅はまだまだ続くEND。うーん、前回感じてたようにやっぱり尺が足りなかったみたいやね。対になる被害者たちの名前を憶えてないから、せっかくの緻密な推理の理解が追い付かないのがもったいない。ツイッターを確認したら、今回の謎解き原作だと50ページもあるらしくて、そりゃあんだけ圧縮してたら余韻も何もありゃしない。ただ、概要というか骨格はぼんやりわかるんで、凄みは感じられたと思う。ただ、開始5分ぐらいはダイジェスト風味どころか、映画の予告編のようなぶつ切り状態でこれはさすがに気になった。
うーん、終わっちゃうの？という名残惜しさ。細かなところで気になるところはあるんだけど、物語としての面白さは十分だし、しかもほぼ毎回安定してたように思う。キャラデザとしては明らかにおおきなおねえさん向けなのだけども、話の内容的には女向けというよりは男女関係なく楽しめる作品のような気がするがどうか。
しかし、原作は第四巻まで刊行、アニメ化は第三巻まで、最新刊の第四巻は本編から外れた短編集のようで、しかも遅筆なようなので、アニメの続編？、ないだろーなーという感じ。話の構成を思うに、なるほど遅筆なのもわかるって感じだけど、商業作家なら一年に一巻ぐらい出さないと、いくら出来が良くても逃げる客もそこそこいるんじゃネーノ?。いやまぁ自分なんかは俄かファンですらないので、原作者もファンもこの状況に納得してるんなら自分が言うことなんかどうでもいいとは思うけど。自分の場合、わざわざ購入してた皇国の守護者や陰マモがどうなったかを身をもって思い知らされてるので…。
