魔王さま2#24

 戦いは終わったが、特に正式な和解がされることもなく、メインキャラは無事に四畳半に戻ってくるところでEND。話が全然終わらないのでなんじゃこりゃと思ってたら、原作は完結してるけどこの第2期はまだ原作の途中らしい。自分てっきりシリーズが終わってるからラストまで今回のこの2期で描いてアニメも終わっちゃうと思ってたから、その宛て推量が外れてげんなり。原作既読層はこれまだ途中なんだよというのがわかってたのだろうけど、未読だからなぁ。こんな終わり方をするからにはおそらくアニメ続編をやるなんらかの見込みがあってのことなんだろうけど、この2期でも1クール目と2クール目にかなりの時間が空いてたからあるとして次いつやんの?という感じ。
 2期として転移元の人間と魔族の間になんの違いもなく、というか天使すら同じ括りで「人間」とまとめられるらしく、人間と魔族はわかりあえるよということが示され、いわゆる天使側は彼らが本当に天使なのか天使を僭称する人間だとしても、本来人間を魔族の間になんの違いもないのに、意図的に分断して魔族側を弱者として差別することによって、自分達の特権的地位を得ていた…とまんま自民盗やんけという構造を示したのは物語上は大きな進展だったとは思う。ただ、そういった世界(社会)の構造を示したところで、その構造に今のところ何の変化も起きてないから、のちの展開でその変化を描くのかもというのが想像できるというだけの話で、別にこれでわざわざ原作をチェックするつもりもないからめんどくさいなぁというのが本音。
 しかしなんだかなぁと思うのは、現代日本を舞台として、転生元の人間の代表として勇者、魔族の代表として魔王を一緒に行動させ、「文化習俗の違う集団も同じ釜の飯を喰えばわかりあえる」というのがどうにも見当違いのように思われてならない。こういう流れはヘルクの1クール目にも見られた構図だけども、よくよく考えてみたら日本は近代化以前は地方で方言や文化はともかくローカルルールの違いこそあれ、ほとんどの国民が農民やそれに準ずる職業に就き、大体似たような生活をしてきたわけで、日本人ならこういうスタイルだろうという典型的なステレオタイプみたいな同質性があった。そして高度成長期までは人の移動が盛んにおこなわれ、テレビラジオなどの通信手段で、生活水準の向上とともに、同質性も高まっていったし、人が首都圏に集中してそこでリトルトーキョーのようなタコツボ化現象が起こるのではなく、地方の文化の混淆が行われ、それが上述の放送による伝達によって日本をさらに同質化する働きが起こったのであり、今同じ日本人なのにディスコミュニケーションの度が高まってるのは、日本がバブル期を経て豊かになり、多様性の重視が叫ばれたり、自民盗による意図的な国民の分断が行われた結果なので、日本人が同質性を失ったのは歴史的に見て日が浅い。
 なので、違う者同士生活基盤を共有すればわかりあえるというのはオカシな話なのであって、つい最近まで同質性が高かったのに、なんでこんなに国民同士が分断されてるの?という疑問を投げかけることこそが現代的なテーマなんじゃネーノ?という気がする。
 主人公もよくわからん話で、最初は彼が魔王から転落したから、贅沢な暮らしに馴れた特権階級が四畳半生活をして下々の苦労を知って彼が貧富の差のない人間や魔族の区別なく人格の尊重があたりまえになるような世界を目指すというのも、いや、魔王は幼少期恵まれた生活をしてないというのが今回のOP映像で示されていたわけで、別に下々の苦しい生活をわざわざ追体験する必要なかったんじゃね?というのと、いやカネを通じて人々がいがみ合わないような社会システムを勉強したとか言ってるけど、資本主義の負の側面*1を余りにも軽視し過ぎてないのか?とか、なんか社会問題に気が向いているように見えながら、全然底の浅いところで終始してるんで、社会に対するメッセージとしてもちょっと力不足なのではという気がしてる。ただ、今後の展開でその自分の疑問がちゃんと突き詰められているのかもしれず、そのへんはなんともいいようがない。
 いやー、ホント原作既読層はこういう展開になってるのを知ってるからこそそれを承知の上でこのアニメを視聴するかどうか決められるけど、未読層は割とストレス必須な作りになってるのは原作付きのアニメだともうデフォルトになってるのかな…。今期で物語が完結すると思い込んでたのは自分の勝手な判断と言われたらそうなんだけどさー。

スパイ教室#24

 リーダーのキャラソンでEND。なんか続編がありそうな雰囲気のエピローグだったな。これにて打ち止めってんならあんなエピソードを入れる必要が無いからまってりゃそうのうちにってところかも。
 1期は割と楽しんで視聴してたけど、2期はボチボチやったかなー。スパイなんて敵の裏をかいてナンボなので、作品としても読者を翻弄させて意表を突くってのは悪くはないんだけど、いちおうスパイものだったらスパイものとしてのお約束として話の骨格を作ってるから、正直ミスリードが過ぎると感じることもあって微妙なところ。全体的に見たら問題はないと思うけど、とにかくシナリオのお行儀が悪い作品なのは間違いない。
 そういうのを呑み込んでしまえば、2期のメインであるお色気ちゃんのスパイらしからぬ行動も、それは何らかの主張があってやってることというのは後半になって読めるようになったから、メッセージ性としてもそんなに悪くなかったと思う。いやまぁライバル国のスパイが英雄を求めるあたりなんかは、要するにスリーパーセルなわけでスパイの技術としていちおうあるとされてるものだからそれはそれで結構なんだけども。
 見る人を選ぶと思うけど、そこそこクォリティは高かったんじゃないでしょうか。来期続編があるスパファよりこっちの方が断然上と思ってたけど、2クール終わってみたらそんなに差はないなという。どっちが好きかと言われたらこっちなのは変わりがないけど。

お嬢と番犬#1

 家がヤクザの女子高生とその世話係とのラブコメ。Aパート見た段階では微妙だなーと思ってたんだけどBパートでそれなりに切れ込んできて退屈せずに済んだ。ただ、なんてーのか、男の方は主人公の幼少時からの親役なのでおそらく彼女の本心もわかってるだろうし、その上でのグルーミング巧者とも思うんで、手のひらの上でもてあそばれてる感じなのかねぇといったところ。小中学生の頃から孤立していて、ほんでもって主人公が精神的にダメージを受けてる時には男からその都度欲しい言葉を貰ってたんだろうから、そりゃそうなるでしょwwwって感じ。組長の目の前で妙齢の親族を抱きかかえて何の叱責も受けず、手を回して高校にでも入れちゃうのだから、まぁわからんけどゆくゆくは男に組みを譲って、だからこそ婿として考えられてるぐらいありそうで、もう他人が入り込む余地もないし、ラストなんかもうベッタリとした共依存関係できっと王道展開のまま終わりそう。
 しかし26で若頭?。高校に二人とも裏口入学させることのできる力を持ってる組で26そこそこの若者が若頭って相当のやり手なのでは…。
 あと、どうせそのうち慣れるんだろうけど@梅原のキャスティングは違和感があった。イケボなので自分も好みの声質なんだけど、キャラ絵と合ってないというか、ただあのキャラ絵、目元なんか実際の@梅原とよく似てるんだよなー。

*1:現代日本では為政者が国民に自分の負担が軽いと思い込ませることによって搾取が成立してるし、そういう支配する側が国民を騙すという構造はまさに今回のクライマックスのテーマと一緒なので