勇やめ#12

 魔王が賢者の石を諦めてENDの巻。うーん、結局この話って柱の部分では「勇者が魔王に生き甲斐の再設定をしてもらう」ということで終わってるので、正直大したことないなという。もう後半部分は如何に主人公が生きる意味を失っていたかをグダグダ見せられてるだけだったし、前半部分の組織改革の部分からするとどうにも袋小路に陥ってるように見えて仕方がなかった。なんだろ?、魔王はおそらく獣人族の少女が泣き出すまで賢者の石を取り出すつもりが、あの涙で翻意したという風にも見えるので、この辺の構造はまぁちょっとかけ離れてはいるが聖杯伝説のパーシヴァルのように一番の愚か者が一番成果を得るという形と似ているし、主人公が魔王軍にかけた温情が最後返ってくるという、「人は本当に欲しいものは与えることによってしか得られない」という構造になってるので、そのへんよくできてはいるんだけど、ただ、やっぱり物語としてはねぇ。
 なんか人間と魔族の共存というテーマが仕込まれていて、個人的にはそれもどうかなぁという気がしてる。前にあった説明だと、賢者の石は世界を豊かにするエネルギー源のようなものだったと思うので、人間側の賢者の石を奪わず、勇者の賢者の石を持ち帰れば魔界も人間界と同じように豊かになり、別に人間と魔族で争う必要は無くなってしまうし、もともと人間界と魔界は分かたれていたのだから、賢者の石を持ち帰ってその人間界と魔界の裂け目をふさげば元通りになるだけであって、そもそも共存することの必要性が無い。
 これが現実社会の話であれば、例えば既得権益層が地球上の豊かな土地を占有し、その結果既得権益層から弾かれた貧しきものは貧しい土地にしがみつくしかなく、そうなれば両者の格差は拡大し、ではその格差で既得権益層がより強い力を得て、貧しきものから更なる搾取を行う…というのが世界史の辿ってきてる、そして今なおその既得権益層は合衆国を筆頭とした欧米各国による先進国によって維持されてきてることなのであって、そういう世界の現実をもってきてるのならまだしも、この話は上記の通り、元々交わることのなかった両者が裂け目を通じて出会い、魔族がただ人間側の豊かさを羨望し、魔界の貧しさに追い立てられるという形もあろうが、別に魔界がそれ単独で豊かになれるのなら別に人間と争う必要もないわけで、勇者が魔族を撃退するのも当然の話だし、魔族の境遇を聞いて、では勇者が賢者の石を与え魔界が豊かになったらそれで魔族の羨望は消えて、人間界と魔界を断絶すれば永久に問題は解決するのであって、主人公の当初の解決法が一番の冴えたやり方だったのでは?という。
 というわけで、なんやろ?、前半部分はテーマからして説教臭いという問題はあったけど、構成力は良かったと思ってたからそのまま無難に話を進めればいいものを、後半に入ってからオヤ?とも思い、で、終盤の結論から( ゚Д゚)ハァ?になってしまった。マネジメント講座部分だけだったら、小ぢんまりとまとまるしかなかったから、なにかしらの壮大なテーマを盛り込む必要があるのはわかるんだけど、なんか繋げてはいけないものを繋げてしまって奇妙なキメラになってしまったのでは?という風に個人的には思ってしまった。今ドキのテキスト作品はラノベであっても物語上の大きなミッションを見誤ることはないと思ってたのにな…。

トモダチゲーム#12

 番外編で、運営と場外乱闘するのかと思ったら騙りだったという。今回微妙に思わなくもないんだけど、最後で運営とは別というあたり、雑なゲームだとも思うし、別に運営が裏で手を引いていたでも構わない感じかな。原作者がすべてを考えているのだから、そのへん手口が似ているのもそうだろうといった感じで、別に内容的にはちゃんとフォーマットに従ってたから個人的には問題ない。最後主人公が気絶したからノーカンとかはよくわからん感じだな。それまで主人公が脅迫されていたとはいえ合意に至ったから傷を受けたというのであれば、今回のツンツン頭は脅迫されずにゲーム参加を決めたのだから当然ツケは消えてないハズ。なので、今回は罰が保留されたというだけで、今後の話でそれを主人公が何らかの形でツケを返してもらうことになるんだと思う。まぁあのツンツン頭があのようなことをしでかしたのであれば、それはトモダチゲームに参加してその内容を彼に伝えた人間がいるということだから、それは運営のルール違反で、それも何らかの形で提示があるのでは…という気はしてる。
 しかし、どう考えても続編がありそうな終わり方だったな。別に続きをほのめかす終わり方でなくても、気になる人は原作読めENDでもよかったという評価なのだけども、自分の中では青年誌向けの内容の作品でありながら、出来の良い方だと思っていたから、もしかすると自分以外の評価も高いのかもしれんな…。
 というわけで、すごろくゲームは、なんというか、情報の隠し方やチラ見せの仕方に思い切りの良さがないなぁといった感じで、どうにも不完全燃焼といったところなのだけども、他のゲームには瑕疵がないとは言わんけどおおむね満足してたから割と好意的な評価。正直なところ、今回の主人公の勝ち方は途中から予測できていたのだけども、だから先の展開がバレバレだからつまらなかったということはなく、勝った後のドラマに十分迫力あったからアレでよかったと思う。こう最初の情報から視聴者が答えを予測できるよう情報はなるべく開示しろとまでいわないんだけども、明かすなら明かす、隠すなら隠すでドラマが十分に楽しめるものだったらそれでいいんだよな。それがすごろくゲームではどっちつかずだったから、アレは迷走してたと個人的には思っているが。
 試練として出てくるゲームは心理学上の知見を応用したゲームになっていて、今のところ、どううまく対応しても参加者が損をするようになってるようなズルをしてるのではなく、この手のゲームに必須の「チームの信頼度が高ければ高いほど、そのチームの得られる利益は大きい」という原則を基本守ってるように見えるので、それはある意味公平性があるのかなといった感じ。あと、やっぱり物語が愚直なまでに「友情とは何か」とか「信頼とは何か」という一番最初に設定された大テーマに沿って進行するからかな。まぁ続編があれば視聴するだろうし、なければなしでこれはこれで十分楽しめましたという。

バディゴル#12

 大会予選と、本戦前夜。主人公とライバルが仲が悪いんだか良いんだかといった感じだが、主人公は今までカネの貸し借りの関係で人間関係で揉まれ続けたのが、そういうの関係ない関係性に触れ、ライバルは今まで周囲に気遣いをされて誰とも気の置けない関係を築けなかったのが、下らないことで口論したりして人と人との壁が崩される経験をして、箱入り娘が箱を飛び出す準備ができていく様子がもう青春真っただ中という感じ。
 まぁ本編はそんな感じでお約束ばかりでちょっとばかし物足りなかったんだが、エピローグでちゃんと視聴者のメートルを上げてくるのがこの作品らしいという。しかし、ライバルの母ちゃん、前は娘のために主人公のこと余計な存在だと思ってたハズなのにえらい手のひら返しだワナ。