リンカイ#4

 新入生選抜で競う話。なんか難しいかも。自分は十分楽しんでるんだけど、ドラマ性は希薄で苦しい描写は漂白済みみたいな印象で物足りなく感じる人は多いような気が。レース結果も終わってみればそういうことか…と納得できるし、ヒキのライバルによる主人公に対する失望もシーンの後に納得するだけの理屈付けをちゃんとしてるから飽きないけどね…。
 トレーニングで自分を追い込むシーンはあるけど、だからといってスポ根というイメージはほとんどないし、むしろ淡々と筋力トレーニングを続けるってあたりも個人的には暑苦しくなくて好印象だけど、ストレス描写をできるだけ排除して、要所要所でキャラ同士を衝突させるので作り物っぽく感じる人もこれまた多いだろうね…。


アンメモ#4

 ヒロインが王太子を鍛える話。大分話は散漫になってきてるけど、主人公とヒロインのかけあいとか関係性で楽しめてる感じかな。ヒロインは歳取ってるのに外見は少女なので、ふとそれに気づくとちょっとした違和感がある。あとこの心地よく感じる関係性も、各キャラクターの卓越した才能あってのことなんで、そのへんのメリトクラシーが見え隠れするのがちょっと不穏というか。


出来そこ#4~6

 第一部完の巻www。なんか自分、この作品ナメてたは…。#6を視聴してかなり時間が経っているけど、感想がまとまらない。結局主人公は自分を出来損ないとののしって家から追い出した父親を倒すのだけども、その父親の酷薄な態度も、最愛の妻を愛するが故のものだった…という形をとっていた。ぼんやり事態の推移を見守っていた自分も、「こりゃ父親との和解に帰着するんだろうな」と思ってたから、闇落ちした父親をそのまま殺してしまうことになってちょっと驚いた次第。
 今回の話で、この作品で述べられてる「ギフト」について一悶着あるわけだが、主人公父子(子は主人公の兄弟)は庶民にギフトを捨てさせて権力を握ろうとするのだけども、どうやって捨てさせるかというと「自己決定権」がいかに素晴らしいかを滔々と述べるのだ。この作品におけるギフトが現実だと何を意味するのかがわかってないとこれがどうにもしっくりこないのだけども、例えば人が生まれながらにして持っている、能力だとか適性だとかそういうものだという可能性もあるし、前近代のように生まれながらにして固定されている身分とかそういうものである可能性もあって、しかもこの作品いかにもなーろっぱなのであって、もちろんファンタジー世界を通じて現代性を問いかける作品ではあるんだろうけど、作品の舞台は異世界であって剣と魔法のいかにも前近代的な世界観なので、自己決定権が悪魔のささやき*1であり、ギフトに従って生きるのが正しいという主張ならば、まさに近代の否定wwwって感じでぶっ飛んだという次第。
 昨今のトレンドでは人を能力で選別して就職などで差別することに対する疑問、つまり、その時点で歩い人が高い能力を持っているというのは結局のところそいつが親ガチャに勝って、能力を伸ばすだけの豊かさを生まれながらにして得ているのであって、本当に全世界の人類を親の経済力と無関係に同じ環境で育てた場合、もしかしたら他の人間の方が貧乏人に生まれたがゆえに才能を伸ばしてもらえなかっただけで、親ガチャに勝った人間がその時点で高い能力を有してるからと言って高い報酬を得られる職業や地位にいることが公正だとは決して言えない…というものであって、これがメリトクラシー批判といわれるもの。この作品においてギフトを持っているかどうかを試すのに宗教が絡んでいるけど、別にこれは入試や就職において選抜試験を課すことと同義なので、主人公が勇者として類稀なる資質を持っているにも関わらず、ギフトを持ってないと判定されるその選別方法が正しいなんて言えないし、その選別方法も上記メリトクラシー批判の文脈で言えばそもそも正当性があるかどうかも疑問なので、そういうことも一切合切含んで結構トレンドも取り入れてて面白いと感じた次第。
 ただ、鍛冶屋エルフ(鍛冶の適性があるのは通常ドワーフとされる)の件もそうだし、主人公も元勇者が転生して無双こいてるわけなんで、単純なメリトクラシー批判でもないし、近代批判というワケでもなく、外形的に見たらもう支離滅裂な主張が錯綜しているのだけども、別に能力云々については人それぞれジャンということであればそれはそれでなんもオカシクはないので、この粗削りさを楽しめるかどうかがキモかも。

*1:これ、若者に見果てぬ夢を見させて競わせ、特権階級が上澄みを掬い取ったり多数の若者を奴隷化してるので、きわめて現代性も高い