3rdQ2023アニメ新番初期短感

英雄教室#4

 竜と拳で語り合うの続きとヒロイン太るの巻の二本立て。こういうバカ騒ぎも主人公が英雄として今まで味わえなかったことのやり直しだろうし、そこから読者層にこのかけがえのない若い時分の貴重な時間を堪能しろ…みたいなメッセージだろうし、まぁさして特に問題があるってワケでもないんだけど、正直あんまり楽しくないというか。竜との距離を詰めるエピソードも、結局子猫や子犬のしつけかよ…という苦笑交じりの感覚。

死神坊ちゃん#16

 鳥男の魔法をめぐっていろいろすれ違ったりその他もろもろ。第1期でも主人公と主人公の弟の関係性が改善してたので、今問題を抱えてるキャラ達も何のかんの言っておさまるべきところにおさまるんじゃないのという感じなので、なんかどうにもノれない感じ。解決に至るまでの苦悶や齟齬とか変化する関係性を楽しむ作品だろうし、そのへんもうまく描けてるんだけど、なんか個人的には前期より今期は気持ちがついていかない。でもってこれ、おそらく原作やアニメ制作の問題じゃなくて個人的な問題のような気がする。


無職転生2#4

 手紙で勧誘を受け学園生活を送るためにパーティーから別れるの巻。個人的にあの若いにーちゃんと主人公の友情物語は結構気に入ってたからこんなにアッサリ別れを迎えてなんか肩透かし。まぁダイジェスト風味と言われたらそうなんだけど、描くべきストーリーは山盛りだしここでの他の他してても仕方がないというのもわかる。
 しかしよくわからんのはヒトガミの登場。主人公は一応死んで転生したという形なので、わざわざ転生先のキャラを超越する存在として登場とか必要ないんじゃないかと思ってしまうんだけど、もしかして主人公が今いるこの異世界での過ごし方によっては元の世界に戻るとかそういう話なの?。ヒトガミの役割は主人公の進むべき道筋をつけるオラクルの役割だと思うんだけど、別に異世界のキャラにその役割を演じさせ主人公の行動に干渉させて強引に軌道修正させればいいし、それすら必要なくって主人公が自己決定権を行使するという形でいろいろな岐路で選択を行うというのはノンフィクションじゃないんだから作者の自在にできること。しかも今回学園からの誘いを断るという判断は順当な選択*1であって、別にこれからの人生を決める重要な決断だからしっかり悩んで決めなければならないというそういうタイミングでもない。
 主人公が悩んだり落ち込んだり自暴自棄になるという展開も、彼なりに転生前より一生懸命生きて決断して行動したその結果なのだから、わざわざヒトガミなる存在に干渉させる意味が分からない。これ、ちゃんとヒトガミが主人公に絡んでくる理由を示してくれるんだろうか?。この物語がいろんな他の作品の寄せ集めで、そのバランスがよいだけって話はしたけど、それでもご都合主義や妄想で溢れてる他のなろう作品に比べてダントツで整ってるから、わざわざ介入させる意図がわからんのよな。

ダクギャ#4

 ヒロインの本性が明かされる話。なんかこれアカンやつ。一気に切れ込んできていきなり物語の解像度が上がった。テケトーにオカルトを取り扱って読者をけむに巻くんじゃなくて、オカルトの本質である、「本当に怖いのは生きている人間そのものである」というところをちゃんと押さえていて、視聴してる最中に目からうろこが少しずつ剥がれていくのがわかった。なんか今期で一番面白い作品になりそうな予感。

3rdQ2023アニメ新番初期短感。

 ほぼ#4まで視聴し終えたのでとりあえず整理。7月第一週は公開されてたアニメも少なく、その少ないアニメの出来が非常に微妙だったから今期は明らかな不作と感じたが、そういう作品もシナリオが大分落ち着いてきて惨状という有様ではないことがわかった。ただ、やっぱり他のシーズンと比べ自分の好みに合う作品は少なめ。いちおう続編も含めて整理したい。

  • スパイ教室 1期も粗削りな作品とは思っていたが、それでもスパファよりは好みだったと思ってた。最新話で今後の展開にちょっと不安が出てきたけどエンタメとして落ち着くべきところに落ち着きそう。
  • 魔王さま 最新話で作品全体の目指す方向性が示されたので随分すっきりした。元々あまり続編を期待してたわけでもなく、なんで今更続編?という興味の方が大きい。
  • ラス為 物語としての体裁は整ってるけど結局ご都合主義なのでシナリオ自体には期待してない。ただ最新話でのカタルシスの爆発力がとんでもなかったのと、政権批判要素には注目してる。
  • 聖者無双 サラリーマン応援歌的要素多めでそこを念頭に置いたら悪くもないが、正直物語としてはありきたり。いろんな要素の詰め合わせでそこに工夫はあるけど突き抜けるものはないかな。
  • 俺自販機 制限されたコミュニケーションという切り口と自販機トリビアは特色だけど、これもお話としてはぱっとしないかな。
  • 白聖女 ゆるふわ系ラブコメとしてはこんなものだろうし、作品自体がそれ以上でもそれ以下でもないから初回見て気に入ればどうぞってところ。
  • アンファルス ホームズとかルパンとか既存の他作品のキャラで作品馴れさせてるところは安易だなとは思うけど、表現としてはそこそこオリジナリティはあるように感じた。個人的には大時代的なかけあいに魅力を感じてるけど、人を選ぶ作品だとは思う。
  • わた婚アニメ 書店で大衆文芸コーナーにあったから意外だったのだけども、なろう原作らしい。物語の骨格が昼メロなのに、昼メロのような展開の奇抜さがなくひたすら愛されることに耽溺させる方向性なので、それがお好きならどうぞという感じ。自分はラノベコーナーになかったから過大な期待をしてたけど、なろうならこの程度のクォリティなのも納得といった感じ。
  • 好きめが 最初は過剰な映像演出と平凡なシナリオのバランスに戸惑ったけど、結局メイン二人の恋愛関係がずっと続くコメディなので、これもお好きならどうぞという感じ。
  • ヘルク まだ主人公の狙いが見えてないので未知数。話の重心は低いけど、それだけにもたもたしてる感じは否めない。
  • Lv1ルーム まぁ自分四畳半モノ好物なので。あんまり正義の味方に寄らなければ十分楽しめると思うけど…。
  • もののがたり 都度感想でも述べた通り、記号の組み合わせがよくできてるので。話の大筋はありきたりではあるけど楽しめる要素はあるって感じかな。
  • シンデュア 荒廃した世界を生き抜くというテーマであるんだとすると、ロボットを登場させることで話がボヤけるのではないかという気がする。大きな構造としては女の子が空から降ってくる例のやつって感じだけど…。
  • 夢見る男子 年頃の男子がいきなり賢者モードになって周囲と一定の距離を保っているようだけど思春期特有の不安定さも持てあましていて…という意味では正しく青春モノなんだけど、切り口にオリジナリティは感じられるがお話にパンチはないかなという感じ。
  • 菓子転 才覚で大人たちと渡り合う部分はスカッとするけど、突然話が崩れたりするので。
  • ゾン100 今の生活に不満なら、自分で自分の殻を打ち破れというテーマとしてはまぁよくできてるかなという。ゾンビ化する人間としない人間の決定的な差がよくわかんないのでご都合主義ではあるんだけど、都度感想で述べた通り基本的には赤木智弘の希望は戦争がベースにあるのかも。
  • 死神坊ちゃん この作品ならではのテイストがあるので、それが合えばどうぞという感じ。活劇のような爽快さがなく、鬱屈した感情だとかすれ違いのようなもどかしさがラブコメとうまくミックスしてるけど、個人的にはちょっと視聴意欲減退中。
  • 英雄教室 トモダチ感覚でつきあえる先生を現実社会で求めて学校が崩壊してしまったから、今度は先生のようなトモダチを模索してるのか?という感じ。元々の設定からすると社会人枠の大学入学とか、定時制高校や夜間中学で学ぶという実例があるけど、結局主人公とそれ以外の生徒に人格的な差が見られなくて平凡な萌え作品って感じはする。
  • 無職転生2 話は整ってるけど結局どこかで見たようなエピソードの寄せ集めという感じ。なろう系ではたしかにクォリティ高めだけどメッセージ性にオリジナリティがあればもう少し楽しめるのにな…。
  • ダクギャ 大味な記号の処理やなと思ってたけど、結構物語を構成している要素が有機的に組み合わされて見ごたえは十分と思い始めてる。
  • ライザ 最初はあまりにバカバカしくてそのうち見る気をなくすだろうと思ってたけど、シナリオはずいぶん落ち着いた。恋愛要素を取り除いているのでそのへんも個人的には好印象。やはりヒロインのムチムチっぷりの破壊力は抜群。
  • レベル1 これもサラリーマン応援歌的作品として見たらこんなもんじゃねといったところ。明らかにおとこのこむけだろうし、気が向けばどうぞってところかな。
  • あやか シチュエーション先行型であまり話が面白くなりそうな予感はしない。まぁおんなのこ向けだろうし、キャラの配置はよく考えられているけど、顔立ちは端正でもキャラ自体にあんまり魅力は感じない。
  • てんぷる お色気重視のおバカな作品だけど、B級だと割り切って視聴すればそこそこ楽しめるかもといったところ。
  • ライアーライアー 都度感想で述べてる通り、物語の大筋は悪くないけど、おそらく本作のウリであるはずの個々のキャラ達の対戦バトルに全然気分が乗らないので。
  • ななつま キャラ達の心意気とか瞬間湯沸かし器っぷりには勢いがあって好ましいんだけど、肝心のお話がね…。自分ハリポタは原作を読んでもいないし映画を見てもいないんだけど、ハリポタを越えられないんだったらオリジナルを目指した方がいいんじゃね?と思う。
  • かのかり 現代の流行要素をふんだんに取り入れて、各キャラの心の揺れ動きをよく描写してると思う。この手の作品は割と現代的要素を取り入れただけとか、魅力的なキャラを作った段階でそれ以上伸びないことが多いんだけど、本作はよくキャラを動かせてると思う。
  • デキ猫 仙狐さんでもしゃちされたいでもそうだが、家政婦を雇えばそれで主人公の抱えてる問題は解決するのに、それではストーリーにならないから家政婦にもストーリーを被せるって、まぁそりゃ天井ができてそれ以上は面白くなるはずがないよなという感じ。でもまぁ広義にはサラリーマン応援歌なんだろうからあんまりツッコんでも野暮かと。
  • アイノイデンシ 都度感想でも述べたが、人権を与えられたAIなんて、機械の体に人間の生体脳を載せたものと等価なんだから、結局人間ドラマ以外の何物でもないって感じ。ただ、AIにリアリティを持たせてしまうとSFになってしまうんで、それやっちゃうと客が逃げるんだろうから仕方がないのかも。
  • 小さい先輩 ベタベタした関係性が妙に胸焼けする感じ。職場が舞台でなければ普通のラブコメなんだろうけど…。
  • 実は 異世界転生モノとしてありきたりな割に今後話は動きそうな感じだけど、結局予定調和なのが予想されるので。


 フックする作品を見つけるために作品数を多くしてみたけど、そのもしかしては報われることはなかったかな。最終回前でどんでん返しということもあるんで結論付けるのは早計なんだろうけど、そういう作品はそもそも確率的にも数は少ないので…。
 異世界転生モノでも、フツーは転生前はやれ引きこもってしまった状況とかでそのままその世界にいつづけても人生逆転する可能性は低いので、異世界で人生やり直しって理屈付けが前提にあると思ってたんだけど、別に転生前でも充実した人生を送っていたのに突然事故に遭って転生するケースの作品があってなんだかなぁといった感じ。転生前が充実してたのなら普通未練があるはずだが、昔だったら例えば好きだった異性に会いたいとかあって、だから物語のミッションがそのへんに据えられていたけど、それやっちゃうと転生後の生活がネガティブになるからそのへんはすべて無視なんだよな。だから深みが出ないってことになるんだけども、既存の異世界転生モノを脱却しようとして新しい要素を入れたら、既存作品よりオカシなことになるわけでなんとも皮肉なものよのうという。逆に転生前の知識や技術を転生後の世界に持ち込んで無双するってのが控えられていて、その人自身の人格で転生後の世界を生き抜く作品ってのもあって、そのへんは進歩やなとは思うんだけど。


 ダクギャはおすすめだけど他の作品はそれほどでもという感じかな。無職転生2やかのかり、トニカワ女子校編は続編なんで前作が気に入っていたのなら鉄板。そのほか個人的に好きな作品や期待してる作品はあるけど、見る人を選ぶからおすすめというほどではないかな。

*1:まぁヒトガミの助言に従わなかったらとんでもない目に遭っていたということをなにか風の便りかなんかで主人公は知ることになるんだろうけど、そのとんでもない目に遭うという展開も原作者がそうなるように自在に作り上げることができるというだけの話。