絆のアリル#12

 詳細が決まらないままギリギリまで悩んで行き当たりばったりのコラボ配信で予選突破する話。個のオリジナリティと繋がることによって生まれる要素との対決みたいな流れになっているように見えながら、実はあまり関係ないような感じかな。そもそも主人公たちが目指してるバーチャルグリッドアワードにエントリーするまでに、学園内での選抜、つまり今回の予選と、本戦の二段階をクリアしなければならず、順位を競うとあるが実は評価基準がイマイチ良くわからんと来た。#3で学園長が説明をしているのだけども、今までの実績が評価されるが基本スタートは同じとか、使用する楽曲はAIが作ったが課題曲に限るというぼんやりしたもので、そもそも訪問者数でカウントされるのか、訪問したうえで「イイね」などの評価ボタンをいくつ押されたのかとか、そもそもこの動画が学園内だけなのか、学園外にも公開されてるのか、審査員がいるのか、動画を視聴できる環境にいる人は全員なのかとか、そういう具体的なものが一切ないのでなんとも。楽曲も課題曲といいながら、今回の超会議とやらが評価の対象になっているわけで、配信動画が歌やダンスに限定されてるわけでもないし、BGMは別に使ってよいみたいなので、基本なんでもやってよいみたいな感じは受ける。
 なんつーか、主人公がぶっちぎりのランキング上げで予選突破したのだけども、コラボは不利だという噂で周囲がみんなコラボを忌避したから、そのなかで敢えてコラボをやったことで希少性ができたという運要素、そのコラボにランキング上位陣がかなり参加しているということ、そして主人公も当たり外れが激しくてしかしその山師的な性質が期待度を上げたことなど、いろんな要素が絡み合って、結局のところコンテンツの内容*1はともかく「話題性」が稼げたからこそ訪問者数が爆上げしたのだという流れなんだと思う。
 そうなると、なんか動画配信の要素とか、上記で触れたオリジナリティだとか複合要素の卓越性なんてものも本質的には重要でなく、いかに話題性を稼いで観客の耳目を集めるか?という広告代理店のような手法が勝敗を決めるみたいな感じで、正直なんだかなぁという感じはする。いやまぁ動画配信において再生数を稼ぐとかチャンネル登録者数を増やすための本質ではあるんだけど、それって本作のテーマである「繋がり」においては、数が重要であって質はそうでもないって話になるんで、そりゃとにかく目にしてもらわなきゃ評価まで行き着かないでしょってのはそうなんだけど、いやいや、そういう話をこのアニメでしたかったの?とは思うんで、なんかコレジャナイ感は半端ない。コンテンツを作り込んでいくら素晴らしいものになったとしても、宣伝が稚拙で見ても貰えなかったり、見た人には好評であってもバズらないことは往々にしてよくあることなんで、言ってることは間違ってないというか、むしろこの世界はそういうものではあるんだろうけど、なんかズッコケてしまったよ。

久保さん#12

 現在の最新状況と、ヒロイン視点での二人の馴れ初めの話。AパートいきなりEDから始まって、後半は二人の最初の話にOPで終わるという、時系列を逆にして主題歌をそれぞれそろえるという構成。
 二人のこれからはずっと続いていくのだろうし、姉がひとまずの妹の成長を振り返って物語の整理をするということで、最終回としては過不足ない出来。
 メインの二人は周囲の状況そっちのけで二人の世界を作ってるし、主人公はともすれば周囲に問答無用で無視されて下手をすればイジメ、そうでなくても群衆の中で孤立する個人という寂しい状況になるのをよくぞここまで平凡な生き方を肯定的に描き切ったな…という感じ。人間は社会的動物だから、他者とのつながりが一切ないというのもアレだけど、中途半端な関係性がいくつあったところで捌くのに要らぬコストを払うのもなんなので、本作はかなり恋愛要素に振り切っているけど、それなりに深い関係があればそれで十分豊かな生活を送ることはできるという意味で、終始ほのぼのした雰囲気で走り切ったと思う。アニメだとかサブカル作品だと対極に承認欲求オバケが出てくるものも多いけど、それとは反対の方向性でそこそこ緊張感を保てる良作という感じかな。

君ソム#11

 なんか不眠症が(一時的かもしれんが)解消してしまう話。疑似新婚生活やな…と思いながら視聴してたのだが、「旅」という表現を使うあたり、これから長く続く旅の始まりなのか、それともこの旅はいつか終わりが来る、つまり別れの予兆なのか、なんか現段階ではどっちに転ぼうとある意味どうでもいいことではあるのだが、なんか不安にも似た心持ちであたたかくもありざわざわするということもありで。

スキロー#12

 文化祭終わるの巻。モデルの娘がいろいろやらかすのだけども、彼女なりの配慮もあってまぁそんなもん。
 んー、自分はノスタルジー半分で劇的なドラマ性を期待してなかったというか穏やかなのドンと来いで視聴してたのでこんなものとは思うが、しかしまぁ山場も山場らしくなく標高低めだったし、群像劇というにはこぢんまりとしてたので正直物足りなさはあったかなという。主人公が演出する感動の部分も、元子役くんの時々蜂の一刺しのようなセリフもスパイスが効いていて悪くはなかったのだけども、連載が続いているのだろうからもっと本気な山場は作れないのはわかっているのだけども、それならそれでもうちょっとキャラ達のちょこまかとした動きを眺めていたかったな…という。なんか手ごたえというか、ひとまずこの小世界を十分堪能しましたっていうものが欲しかったかな。

*1:おそらく内容の良し悪しはほとんど関係ない