AUO#7

 ケモ耳少女のいるところに魔獣が現れるようになって…の巻。主人公にフォーカスをあてたら確かに彼女は人助けに興味がなくてあくまで彼女自身の武を極めるという個人的な事情で行動してるのはわかるんだけども、物語全体としては人助け&トラブルシュートなので、正直他の物語との違いがよくわからなくなってる。他の作品だと主人公が巻き込まれ体質ってのはよくあるんだけど、この作品だと主人公がわざと巻き込まれに行く体質となっていて、じゃぁ事件はどうして発生するの?といわれたら、主人公自体は俺TUEE体質だから事件が寄ってきても撃退するし、だからこそ事件の方から避けてしまってるので、事件の発生に関しては主人公の関与が希薄で、主人公が輝くための舞台を無理やりでっちあげましたー…みたいな感覚がどうしてもつきまとう。
 要するに水戸黄門。彼女自身に知名度もそれに根差した権威もないけど、彼女が現れたらそれで事件が一気に解決*1しちゃうデウスエクスマキナなのだから、そういう構造から脱却しないとエピソードが薄っぺらくなっちゃうような気がするが…。なんかここに来て一気に萎えそうな予感。


翔ついに五凸。

 探索レベルも200になって実質イベントはこれにて終了。限凸アイテムは取り切ったし、配布キャラも5凸のポイントを取り切ったから交換し忘れということもない。まだ覚醒アイテムを取り切ってないのだけども、ガチャSSRの限凸もゼブたん以外手をつけてない以上、そんなにシャカリキになって取る必要性もない感じ。
 なんかぼんやり考えていたのだけども、イベントシナリオや翔のキャラシナリオはそれぞれ単発で読む分にはそんなに大したことがないのだけども、複合合わせ技で見たときに個人的な破壊力が凄かった。
 そもそも悪の組織側は翔を単なるバイトの女子高生として見てたわけじゃなく、チョコに魔力を込める地上神騎として、同じコンプレックスを持ち、同じ目的を共有する仲間という扱い方だったので、おそらく翔自身に悪の組織に対して共感を持っているはずだし、イベントシナリオのトラブルシュートも、翔は悪の組織を倒すためのバトルをやってなくて、爆弾の解除みたいな自分のしでかした不始末の処理。で、主人公側は、翔がどうやら騒動の原因だと目算をつけて、結果的に彼女にその所業をやめさせようと接触しに行ったわけで、最初っから彼女を悩ませていた原因だとか彼女が抱えてきたコンプレックスに寄り添おうとしていたわけではないという状況。’主人公は成り行きで彼女の事情を把握したのであり、別に彼女に同情はしていても彼女に共感をしても居なければ好意的な感情も抱いていない。結局彼女を組織に受け入れたのも、彼女が主人公にメロメロになった事情はさておくにしても、翔が地上神騎だったから仕方なくであって、もしそうでなかったら一般人として放流されてたハズ。
 キャラシナリオにおいても、そもそも翔は幼少時VDでトラウマになるほど精神的な傷を受け、ずっと王子様的立ち位置で周囲に女の子ばっかという環境だったから男に免疫が無く、いうなれば主人公に誑かされたのでメロメロになってるだけではあるのだけども、もう最初っから主人公は翔を数多くの女のうちの一人としてしか認識しておらず、彼女を自分にとっての特別な存在として扱ってない。慎重に事を進めるといえば聞こえはいいが、彼女の求愛に対してもったいをつけて保留を繰り返すというテキスト。
 お楽しみの段階になっても、主人公は経験豊かだから一般的な女に対する接し方で彼女に向き合っているわけであり、お互い盛り上がった…という話にはなってるが、冷静に考えると通りいっぺんのことをやってるだけという話になってる。しかも主人公は彼女の求めにいっぱいいっぱいの様子で継続的に満足させられるだけの力量を持ってないという始末。
 対して怪人側のことになるが、これがもう絶妙で彼女が捕縛されたのもおそらく組織に加入して時間も経っておらず経験不足だったからだと推測されるが、主人公側はこの分だと無理だと判断したら撤退しろと言ってないとか、経験不足なんだからツーマンセルで経験深い隊員と組ませてたりもしてないし、怪人としては軽くあしらって簡単に捕まえることができたんジャネーノ?と思うんだけども、注目すべき点はその後の展開からするとバトル時に彼女を殴ったり叩いたりするなどの傷つけることはおそらく一切してないということ。しかしまぁ捕縛されるということはもう大前提でそこを崩せば直後のお楽しみにつながらないとはいえる。
 で、まぁお楽しみの段階になるわけだが、これ、前にも言ったけどおそらく捕縛されたらどうなるかの数々の実例はおそらく先輩隊員から聞かされていたと思うし、上記のように前もってたとえ指揮官から自分で危ないと判断したら逃げろと言われてなくても、逆に指揮官に危ない状況と判断されて(もしくは自分で判断できたら)直ちに逃げろと言われていたとしても、「自分がここで撤退すると街の人を守れなくなるから、たとえ負けることになっても自分が踏ん張って戦うことが必要」と考えたはずなので、そうなるともうこの後の展開は自分の組織と相手の組織の戦いとその事後処理については双方のプロトコルに従った結果でしかないわけなんだけど、まぁ要するに自業自得とか自己責任の範疇。
 で、いよいよコミュニケーションの場面では、これまた前にも言った通り言動が乱暴であっても怪人はちゃんと相手の様子や表情、ちゃんと相手がどういう状態なのかを確認して会話を交わしながら深い関係になっていくし、そのなかでどうすれば一番相手が気持ちよくなるかということを探り当てて彼女が満足するようにふるまってるわけだ。怪人もそれなりに経験豊富なのがセリフから窺えるが、怪人に合う女はいなかったようだし、そうなればその女は手下に渡していたわけではあるが、なんと怪人はそういう数ある女の一人としてではなく翔を怪人にとってかけがえのない存在として認識して、翔も同じ気持ちなことに気づき、お互いがお互いをなくてはならないものとして求めあうという展開になっている。しかも怪人は翔の貪欲な求めにもいくらでも応じられるという度量を持っていたという。
 で、まぁ話にはケリをつけなくてはならないから幸せの時間は長くは続かないということになるわけだが、よーく考えたら、他のヒロインだと催眠光線だとか、キメセクで薬の効果で舞い上がってただけとか、どうにも抵抗できるような状況でなく強制的に従わされていただけ…みたいな状態ではない。なので、そういう外部的要因から従わされていたのだったら抑圧から解放されたら自然に元に戻るのだけれども、翔の場合、薬で惑わされたわけでもないし勝負自体はプロトコルに従って自分からお願いしたわけだしで、結局怪人に対しての想いは彼女の内発的な感情によるものなんじゃネェの?という末路になっているのにちょっと驚いたという次第。
 まぁこうなったら翔は正義の味方としてもう使い物にならないだろうし、では翔が自分から正義の味方を辞めるか?と言われたら辞めないんジャネーノ?、おそらく組織に所属し戦いに参加し続けていればいつか愛しい人に会えるかもしれないから…なんて思っちゃうのだけども、この作品世界、隊員が一般人に特定されないように変身後の姿は大衆に認識阻害させるような技術を使ってるから、翔にもそういう技術とかクスリとか使って記憶を操作することぐらいやるんジャネーノ?wwwって感じ。そうなると、ついに最後までそういうクスリとか人格操作をしなかった悪の組織側と、隊員として使い続けるためにそういうことをやりかねないだろうし、おそらくこの事件の後は確実にやってるだろうという正義の味方であるはずの主人公側の組織、どっちが正しいことをやってんの?という話。最初っから翔のコンプレックスに共感して彼女を仲間として人格を尊重して、彼女の求めるものに真摯に向き合ってくれるし、他の誰よりも彼女を一番として可愛がってくれる怪人がいる悪の組織側と、翔が悪さをするから事情はともかく止めに来て、彼女を色恋方面で誑かして仲間にし、組織に加入してもたくさんの女の中の一人として埋没するし事実上飼い殺しにされる正義の味方側、どっちに所属するほうが翔にとって幸せだと思いますか?と言われたら個人的にはもう明らかで、人助けとか世のため人のための組織が本当に正しいのかどうか*2みたいな矛盾をはらむそういう物語になってるのがなんか侮れんという。

*1:仮に解決しなくても、自分と対戦相手のどっちの実力が上なのかは作者の匙加減でしかなく、構造自体は変わらないので

*2:こういう状況なら主人公やその組織がすることは組織論としては正しいので