リコリコ#10

 おそらく国民を管理するための電波塔が完成するが、テロリストにハックされ主人公が呼び出しを食らう話。うーん、悪役ポジションだけども、民主主義という観点からは緑髪テロリストは絶対的に正しいのでえらい転倒させたなという感じ。主人公個人と緑髪は嫌悪感を軸とした対立構造に持って行ってないので、うまい流し方だなとは思うんだけど、周辺のポジショニングが微妙なので精彩を欠く感じかな。アベが暗殺されて隠蔽されていた悪事が次々と明らかになってそれでも尚世の中は変わらないので、今回の緑髪のよびかけに日本人が応えるのか?と言われると…みたいな。
 うーんなんか難しいな。この作品だとどうしても主人公側を体制側であっても正義、テロリストを悪の側という描き方で、当然そういう視点の視聴者もたくさんいるしいても構わないんだけど、セリフの理念を抽出すると、主人公側は国営マフィアでしかないし、テロリストはむしろ正義のレジスタンスという見方になる。そして主人公もおそらく体制側であることに何の疑問もなく日常を生きてきたんだけども、残念ながらそれは特定できるように描かれてない。彼女の不殺の信念は、彼女の独善によるものなのか、それとも社会と個人との関係を理解してその結果として、組織のやり方は法治国家でも民主主義のやり方でもないから不殺を貫いているのかは、今まで徹底的に隠されてるからちょっと断定できないようになっている。ある意味今までよー視聴者を騙してくれてたな…という感じなのだが、いちおう行間を読めば伝わるようになっていると思うし、それでもなお、キャラの可愛さだとか組織側の描き方を演出によってまだ善であると勘違いしてる視聴者たくさんいると思うんだけども、まぁ単純にブヒブヒな層を喜ばせて人気を得るのは企画段階での至上命題だったろうし実際成功してるんで、実は大きなパラダイムシフトが起きてるけど気づく人は少ないってのでもシナリオライターはまぁ満足というか、やれる仕事はやったぐらいには思ってるんじゃないでしょうかねといったところ。

エクハ#9

 二人っきりの日本出向組とのバレー対決。なんつーか、食費のためにギターを売るとか聞いて貧困とは言わんけど貧乏生活やなと思ってたら、二人の文化資本がスゲーのなんの。なんか自分が中国に旅行した時のことを思い出す。自分はいわばバックパッカーの形式で、安宿ばかり利用してたのだけども、同じような日本人は外国人旅行者の中でも少数だったらしく、ゲストハウスのような安宿はもう欧米人でわんさかだったという。日本人はホスピタリティを重視してキタね~宿は避けていたようなのだが、自分も毛唐もその辺は平気だったというか。欧米だとむしろカネ持ちこそが自分の子弟を自分の足で世界を旅行させて見聞を広めさせるってことをやってるらしくて、カネを払いはするんだが、別に高い料理を喰ったり高いカネで音楽を聞かせたり美術を鑑賞させることだけが文化資本を蓄積させる方法でもないんだよなーという。得意だろうと苦手だろうと、好きだろうと嫌いだろうととりあえず一通り経験させて、それが後々何らかの形で繋がるってのを期待してそうするんだろうけど、日本だと早朝から深夜まで勉強漬けの、学校の課題より塾の宿題優先の中学お受験なのだから、まぁ頭でっかちにはなるよな…という。
 クライマックスでの今回のゲストキャラの感涙は、そういう小さいころからの文化資本の蓄積が本人の実感として表に現れたという話で、最初に自分がこの作品のテーマがそうなんだろうなと予想したように、あー、このキャラ、音楽やスポーツを思いっきりナラティブ消費しとるなーという感じ。
 しかしなんだな、自分相変わらずこの作品を高めに評価してるのだけども、物語に没頭したい人はつまらんだろうなとも思う。全体的に低予算ってのもあるんだろうけど、キャラを売ろうとするようにも思えないし、キャラクター性でもストーリー性でもなく、作品が表現しようとしてる構造がおそらく一番のウリで、こんな売り方で今までヒットした作品を自分は知らないぐらいだから、よくスポンサーがOKだしたなと思う。今回のバレーの試合でも動画の枚数はえらい少ないし、キャラもデッサンが甘いし、ともすれば止め絵の拡大縮小でやり過ごしてるんだけど、構図は悪くないので個人的にはこれでも十分楽しめるって感じなのだけども、そりゃリコリコの作画と比べたらさすがに雲泥の差でしょとは思うんで、この作品の魅力はそこにはないでしょ…みたいな。

カッコウ#19

 主人公がヒロインから兄がいたという話を聞かされる話。うーん、よくわからん。この兄が本当にいるのかいなのかというところから始まって、いるにしても、ヒロインはなんで今まで兄の存在を主人公に黙っていたのかオカシイし、もしいないんだったらあの兄とされる人物は主人公の可能性が高いんだけども、主人公は過去のことを忘れているのだろうかとか、いるいないに関わらずホテル王の目的は何かとかいろいろ現時点ではつじつまの合わんようなことが盛りだくさんでどうにも。自分はてっきり主人公を迎え入れてホテル王の後継者にすることが主目的だと思っていたのだが、兄がいたとしてその兄は勉強ができるようだし、別にその兄につがせりゃいいジャンってことになる。あと妹ちゃんと結婚しても丸く収まるというのがわからん。それだと主人公を迎え入れるって話にもならなさそう。まぁホテル王は触れられたくない話のようで追々明らかになっていくのを待つしかない。
 ただ、兄がいたとして、ヒロインが父親を身勝手といってたから、兄もそれを嫌って出奔したという可能性もあるし、ただそれでも妹と一切連絡を絶つというのも考えづらくてそのへんいろいろ隠してんなーとは感じる。
 しかしまぁ兄とされるキャラがいきなり物語に参入してメインキャラ化してもそれはそれでアリなんかなという気はしてる。ただ、アニメシリーズとしてはこのタイミングで登場させて〆はどーすんの?といった感じではある。尺的にはなんとかなりはするけど、キツキツだろうし、とはいえ連載は続いてるのだから、逆にアニメとしてのまとまりなんてつけるつもりはなく、いろいろ中途半端なところで終わってあのね商法に流すってことも考えられるし。