暗黒兵士#6・7

 ヒロインと結婚、村長の後を継ぐ&勇者が来てスカウトされるの巻。まぁなんというか世襲問題だよねー。日本だと武家とか近世近代貴族は長子相続だけど、商人は自分の息子の出来が悪かったら、優秀な番頭だとか部下に娘をあてがって後継者にするという。いやまぁ平安まで遡れば下級貴族の出世手段は上級貴族の娘をゲットしてその上級貴族にバックになってもらうことだったわけで、これも上級貴族にしてみれば他人である優秀な下級貴族の血を自分のイエに迎え入れるということに他ならないわけで…。で、どっちが正解かと言われたら、wwwでしかないのは現代の自民盗世襲二世三世、そして驚くことに四世が家系を自慢してとんでもない世間知らず*1だったことも明らかになってしまったわけでwww。
 しかもバカ息子の方は臣下をその能力ではなく自分の好悪の「お気持ち」で簡単に首を切ったけど、新村長は元々が村の功労者だし、村の隅々にまで目を配って必要なことを淡々と処理してるという次第。
 なんやろ?、他の作品を視聴していて最近思うことなのだけども、近代的価値観というより、前近代的価値観の方がより物語として人々の夢としてかなってるようにも思うし、人々の心情にも寄り添ってるように思える。もちろん夢物語、ファンタジーなんだから荒唐無稽なのは当然として、そこで示されるものが昭和期だったら近未来はこうなる!みたいなものが多かったように思うが、そこで現代は便利な世の中になっているし、科学的にも技術は発展したのだけども、その昔からの発展の延長線上でもっと人類や社会は幸せになれるという話が語られてるのかと思いきや、もう近未来の物語はディストピア社会というものが極めて多い感じ。で、理想の社会として示されるものの社会構造や習俗がむしろ前近代的なものというのはもうねーみたいな。

お隣の天使様#7

 ヒロインの家庭事情の開示。桜並木を散歩中、主人公にヒロインが抱き着いて主人公からいっぱい貰ったというセリフに、OP「ギフト」のインストが被さるあたりでもうこれは贈与の物語なのは間違いないなーみたいな。やっぱり主人公ダメ人間ではないという。
 でもって、主人公の家に親友が、ヒロインの家に親友の彼女が泊まりに来て若者宿や娘宿の様相を呈するという。そしてこの物語の全体の構造が贈与と報恩の連鎖だから、上記の通りこれも前近代的価値観が感動のベースになっているという。これがもし近代的価値観の物語だったら、今回の話も主人公はあくまでヒロインのカウンセラーでしかなく、両者が契約社会での関係だったらお互いの距離がそれで詰まることもなく、ヒロインは自分の悩みをカウンセラーに打ち明けてスッキリ、自分は自分、他人は他人できちんと境界をはっきりさせて必要以上に近づかない…が正解なのだが、それでは無味乾燥そのものなので…。
 あと、鶴の恩返しの構造かと当初は予想してたんだけど、マンションのヒロインの部屋に入るかどうかが一つのポイントかと思いきや、そういう具体的な空間上の問題ではなく、もうヒロインの精神上のパーソナルスペースに主人公はズッポシはまり込んでるわけで、というかヒロインの方から主人公のパーソナルスペースに早い段階から飛び込んでるので、あんまりこだわってもなーという。いやまぁヒロインの家庭の問題はこじれたままなので、そこに必要以上に立ち入ることが新たなミッションなのかもしれず予断は禁物だけどタイトルからするとあまりクライシスを見世物にするというよりは甘々な生活がメインとも思うのでよくわからんところ。
 ただねー、鶴の恩返しもよくわからんところで、なんで鶴の姿を見られたぐらいでヒロインは主人公のもとを去ったのか?という話で、アレ、自分の羽根を材料に高価な織物を作ったとあるけど、それってメタファーなんじゃね?という。要するに自分の身を削って織物を織る⇒自分の身を売ってカネを得るであり、主人公がヒロインの部屋を開けて見たのは鶴が機を織ってるシーンではなく、男を招き入れて売春してた場面なのではないかと…。実際の生態はともかく、鶴は夫婦仲が良い瑞鳥なワケで、一度結婚したら生涯連れ添うと当時思われてた鶴がなぜ機織りの現場を見られたぐらいで一方的に逃げたのかと言われたら、そりゃそれがよっぽどのタブーだったことだったから…と考えるしかなく、おそらく昔の人も鶴が本当に飛び去った理由をそう推測してたんじゃないかなー。もし鶴の恩返しの本質がそうなら(要するに若者が貧困化して結婚できない問題は今まさにこの日本でも起こってることなのだが)、この昔話をベースにしてるという見立ては的外れなのかも。

ろうきん#6・7

 主人公が最初に世話になった貴族に招かれる&冒険者傭兵のパーティーに加わって商品のマーケティングを行う話。んー大分忌避感は無くなってきた感じ。弓で獲物を狙っても命中率が低いとかちょっとリアリティ寄りで感心してた。とはいえ、直後の主人公のボウガンの性能との対比でわざと外させるシナリオにしてるだけなので、そんなに手放しで喜べるものでもないんだけど…。食事の描写はとんでもスキルとネタが被ってるので新鮮味はないけど、ちゃんと抑えてくれてるのはありがたい。ただ、男が料理しないというのは現代人が勘違いしやすいところで、傭兵と言えども戦争の折にすべて自分で持参とは考えにくいので、輜重兵あたりには糧食担当兵もいただろうしなんなら食事を作っていてもおかしくなくて、そこになんの戦闘スキルもない女が同行してたとは考えにくいので、男の一部は食事を作っていたはず。あとは今回の水着云々かなー。異世界に転移した時点で、その世界の服飾関係はおおよそ見当がついてるはず。今回の話だと一般庶民がバカスカ香水を使ってたはずもなく、作中でも川で水浴びも抑止されていたから、傭兵たちはものすごくにおっていたはずで、それでも肌露出の低い服を着てたのは…となれば、割と自発的に気づくはず。しかしまぁ今回の話は読者サービスだろうからこんなのだとは思う。
 まぁ最初っから荒唐無稽なファンタジーってのはわかってるし、コメディなんだからそこにリアリティとかシリアスなドラマ性とか期待する方がオカシイというのはそうなんだけど、個人的にはおそらく異文化理解の部分、現代人がアタリマエと思ってたことを異世界人は違う考え方とか対処法なんかしていて、その違いに感心したり驚いたりする感情の新鮮さに惹かれてるんだろうとは思う。
 あと、PMCがいつ出てくるのかとか思ってたんだけど、主人公に対するサバイバル訓練のみ依頼しただけで彼らを傭兵として雇って異世界に同行させ警備をさせるという話ではなかったんだろうな…。

最強陰陽師#6・7

 茶髪ボブの妹キャラのお話のトラブルシュート。管狐に言わせてたけど、主人公の異世界でのミッション、賢く生き抜くだったはずなのに人助けになってるwww。いやまぁ物語的には彼は関係性で傷ついたのだからその部分で良好な関係性を築くというのはミッションの解決の方向性としては正しいんだけど、なんともなー。ただ、今回のエピソード、お涙頂戴のストーリーとしてはなかなか整ってたし、主人公が俺TUEE E系統のキャラでありながら、能力や力ですべてを解決するというものにはなってなかったし、出した妖怪も陰陽師らしく敵の精神を削るようなものだったからモチーフの使い方も良い感じ。これを力と力のぶつかり合いにしたら単に作者がどっちの実力を上に見立ててそのようにシナリオを組み立てていくかだけになってしまうので途端にバトルシーンが白けてしまう。そういう意味ではこの折り返し地点にふさわしい重厚なお話だったと思う。

*1:ちょwwwおまwwwwそれって売国奴家系図wwwww