水星の魔女#11

 花嫁の父暗殺計画が違った形で発動される&主人公と花嫁の痴話喧嘩。グループ内の企業間戦争なんだろうか?、どうも個人的にはピンとこないのだけども、喩えるなら三菱重工業社長だの三菱自動車だのといった基幹企業の社長が、三菱財閥の総帥の命を狙うとかそんなの?。仮にそうだとすると、ちょっとその争いは想像つきにくいし、現実に起こってる抗争だと、マフィアとかヤクザの暗殺&跡目争いみたいに考える方がイメージが湧きやすいが、そういうのでもないんだろうな。
 主人公周りの話は、ガンダムも変わったなぁという感慨が深い。ファーストガンダムアムロニュータイプという呼称の世代だったのだけども、これは当時の新人類に当たる言葉だと思うが、いつまでも子供のままで大人になることをどこか拒否して社会化から外れるみたいなイメージで、だからこそブライト艦長に殴られて「親にも殴られたことがないのに」と甘えたセリフが特徴的だった。が、もうこの作品の主人公はアムロと同じ社会的に未発達なんだけど、今ドキの言葉でいえば陰キャであって、彼女は殴られることではなく自己を肯定されること、もっといやらしく言えば甘やかされることで天岩戸から飛び出してくる。アムロもこの作品の主人公もまぁ卓越した能力があるからまだしも、コレ、なんのとりえもない一般人だったらどーすんの?というちょっとした心配はある。まだファーストガンダムの若者だったら、ブライト艦長のような大人によってイニシエーションを受けたら、そんなに能力がなくてもいずれ大人として認められ社会化していくわけだが、この作品だと相手による受容はイニシエーションでもないし、主人公は子供のままでいられるという風に「今のところ」はなっているわけだが、能力が買われているうちはその能力だけ利用されるわけではあるが、人格が組織に受容されているわけではなく、能力が時代遅れになるor枯渇してしまうと放り出されること(社員は全員45歳で使い捨てだ!byサントリー社長)になる。しかも主人公は上級国民とまではいわなくても、地方のある程度の規模の社長令嬢なのであって、そこそこ恵まれているのであって、この作品では中流もしくは下層民も描かれていて、彼等は陰キャであることすらどうやら許されてない模様。昔だって金持ちのボンボンは甘やかされて…という認識もあったけど、こう時代が下って、描写される若者も二極化していて、その格差拡大の様子を当世若者事情も織り込んで描いているんだなという感じやね。